うちに帰って、お母さんにただいまを言うまでがミッションです。
CNNによりますと、SpaceXによる7席の無人テスト用「クルー・ドラゴン」カプセルが、国際宇宙ステーション(ISS)に自律航行でのドッキングに成功しました。「クルー・ドラゴン」は、3月2日にフロリダのケネディ宇宙センターから、ファルコン9ロケットによって打ち上げられていました。
ドッキングの様子を、ロシアの宇宙開発機関ロスコスモスがつぶやいています。
Roscosmos sends its sincere compliments to the colleagues from @NASA in connection with the successful trial docking of the new spacecraft pic.twitter.com/By3500eMQu
— РОСКОСМОС (@roscosmos) 2019年3月3日
そしてISSにいるデヴィッド・セイ・ジャック宇宙飛行士も、初の自律航行で「クルー・ドラゴン」がドッキングする姿を監視していたことを投稿しています。
This morning, I monitored the first time ever approach and automated docking of Crew #Dragon to the ISS. The dawn of a new era in human spaceflight! #daretoexplorepic.twitter.com/Vs4niNvv2T
— David Saint-Jacques (@Astro_DavidS) 2019年3月3日
人類の宇宙飛行に新時代の夜明けが来ました!
このドッキングにはエラーが何も起こりませんでした。これでNASAは予定より数年遅れているスペースシャトルの後継となるプロジェクト「コマーシャル・クルー・プログラム」に向けた安心材料になると同時に、現在ISSに滞在中の宇宙飛行士3名にも素晴らしい報せとなりました。
懸念もあったが
以前はロシアの宇宙通信事業者から、「ドッキングシステムが壊れた場合のバックアップがない」と指摘されたこともあり、「もしドッキングが失敗すれば、カプセルだけでなくISSにも損傷を与える可能性もはらんでいた」とCNNが報じています。
ドッキングについては、NASAとSpaceXはシームレスに行くと確信していましたが、ジョンソン宇宙センターのパトリック・フォレスター宇宙飛行士事務所長は先週、「常に危険に晒されている人命はある」と述べていました。
ロシアの宇宙機関、ロスコスモスは、水曜日にNASAとSpaceXに対しドッキング計画のみを承認したものの……それは「クルー・ドラゴン」打ち上げからわずか2日前だったという経緯もあります。
NASAのジョエル・モンタルバーノISS副課長は、「彼らは我々に、ハッチのひとつかふたつを開け、乗組員たちをソユーズに向かわせ、ISSを保護するような段階を踏んで欲しがっていました」とコメントしています。その意味は、もし失敗したときのため、緊急脱出できるようソユーズ・カプセルに避難して欲しがっていた、ということなのです。
今回はロボット・アームを使わなかった
CNNによりますと、SpaceXは、何年もの間Dragon 1貨物カプセルを使って、ISSに物資を届けていましたが、今回のような自律航行によるドッキングの成功は初。これまではISSから伸びるロボット・アームを使い、マニュアル操作でのドッキングに頼っていたのです。
nprいわく、ISS乗組員たちはヒューストン時間で午前7時7分頃、NASAの従業員らに見守られながら酸素マスクなしでドッキングしたカプセルに乗り、中を調べることが出来たと伝えています。
次に乗る人の感想
7月に予定されている「Demo-2」と呼ばれる有人飛行ミッションにて、このカプセルに乗って有人飛行テストを行なうロバート・L・ベンケン宇宙飛行士は、BBCにこう語っています。
この成功が見られてとても興奮しました。皆さんにこの成功で起こった歓声と喝采が届いたのは知っているので、これが私たちの打ち上げ準備への、一里塚のひとつに追加されました
帰りを心配するイーロン兄貴
ISSにドッキングしてから5日後、「クルードラゴン」は3月8日に大西洋で水上着陸するために地球に戻ります。BBCいわく、これはこのテスト飛行にて、イーロン・マスクが最も心配している工程なのだとか。
大丈夫なはずだが、再突入時に確実に機能するようにしなければいけません。これまでのところ、すべては上手く行っています。もし何も起こらなければ、願わくば有人飛行を今夏にしたいと考えるでしょう
帰りもマネキン人形スターマンが乗っていることと思われます。帰還が楽しみですね。
NASA長官も喜びを表明
NASAの管理者、ジム・ブリデンスタイン氏は声明で次のように述べています。
Today’s successful launch marks a new chapter in American excellence, getting us closer to once again flying American Astronauts on American rockets from American soil. Congratulations to the @SpaceX and @NASA teams for this major milestone in our nation’s history. #LaunchAmericapic.twitter.com/Gk8c9EdXNO
— Jim Bridenstine (@JimBridenstine) 2019年3月2日
今日の打ち上げの成功は、アメリカの優秀さに新章を示し、アメリカにいるアメリカの宇宙飛行士が、アメリカのロケットで再び飛ぶことへと近付きました。私は、SpaceXとNASAのチームが、我が国の宇宙史における重要な一里塚を築いたことを誇りを持ってお祝いします
ボーイングも有人カプセルを開発中
ちなみにNASAはBOEING(ボーイング)社とも「コマーシャル・クルー・プログラム」のために有人カプセル「CST-100 スターライナー」を飛ばす計画でも手を組んでおり、彼らは4月に無人テスト飛行を、それが成功すれば8月に有人飛行へと移る予定です。
Source: Twitter (1, 2, 3), CNN, NASA (1, 2), sky news, npr , BBC