税逃れで有名なあのアマゾンがついに(フランスで)納税するよ

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  • author Patrick Howell O'Neill - Gizmodo US
  • [原文]
  • Kaori Myatt
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税逃れで有名なあのアマゾンがついに(フランスで)納税するよ

やっと払うのね。

巨大でありながら税金を逃れてきたGAFAをはじめとするテック企業。フランス風にいえばLes Gafa。ついにフランス政府が「デジタル課税」をかけ始めるようです。

最近私が住むフランスではデモが繰り返されて、田舎でも非常に緊張した雰囲気に包まれています。確かに税引きされたあとの給与明細を見ると、これで生活しろというのは酷...というほど引かれてる...。その上付加価値税(日本の消費税のような生活税)は20%も。さらに燃料の増税とあって...プチってなっちゃったんですね。法人税もさることながら、年金に保険料に社会保障費もずっしり重く、先日うちもようやく普通の人の手取り一ヶ月分くらいの住民税を払ったばかりなのに、さらに今年から源泉徴収だって。

タックスヘイブンに逃げたくなる気持ちわかります。税のない国に行きたい...。

巨大テック企業はフランスの消費者から巨額な儲けを出していますが、フランスには一銭も入ってきません。市民の怒りの矛先をGAFAに向けてるだけのような気もしないでもないですが…、巨額の国際ビジネスを営んでいる人は気が気じゃないでしょうね。対象となるのは30企業、多くはアメリカ企業のようですが、中国、ドイツ、スペイン、英国企業も含まれているようです。

つい熱くなってしまいました。それでは米Gizmodoの翻訳をご覧ください。


税も自由平等博愛の精神で課税

アメリカだけでなく世界中で税を逃れていることで有名なAmazon(アマゾン)。うん十億ドルも稼いでいながらにしてアメリカで支払う連邦税もゼロドル。そんなちゃっかりさんのAmazonに、ついに業を煮やした政府が立ち上がりました。それは...フランス政府。

税回避する巨大テック企業になんとかして税を課そうと、シリコンバレーや欧州連合(EU)がデジタル税を導入するかしないか頭を付き合わせて話し合っているのを横目に、フライングスタートを切るフランス。どこよりも早く「デジタル税」を導入するつもりのようです。今やフランスでは現在の税制の不平等に反発する「黄色いベスト運動」なるものが全国展開されており、パリだけでなくどこの空気も張り詰めていますから。

フランスの新しいデジタル税はアメリカの現実と対局にあるようで、Institute on Taxation and Economic Policy(通称米国税制・経済研究所またはTEP)の最新の分析によれば、アマゾンは、2018年の売り上げ112億ドル(約1兆2500億円)に対し、アメリカに支払った連邦税はゼロドル。 Amazonはシリコンバレーを拠点に、いろんなところと取引をしており、世界でも最も企業価値の高い会社とされています。ただ、同じくITEPの報告によれば、2017年にいたっては税金がマイナスになるという事態まで発生しています。なんで!?

Amazonにコメントを求めましたが、もちろん回答はありませんでした。

30社を標的としたフランスの「デジタル税」は、欧州でのシリコンバレーのパワーを試す試金石なのかもしれません。 昨年テック企業を狙って課税しようとしたEUでしたが、EU加盟国全員の合意が得られなかったために課税を断念しています。ここでもフランスは特にやる気満々だったみたいですけど。

ル・メール正義を問う

フランスの経済・外務大臣ブリュノ・ル・メールは、「デジタルテック企業への課税は、税に対する正義についての問いかけである」とツイート。その意気込みをうかがわせます。



アメリカで税を優遇してもらっているAmazonですが、このことは注目を集めさまざまな議論を呼んでいます。1月にAmazonはニューヨークシティに「本社」を置くという計画を断念しています。巨額の税控除や優遇措置と秘密の取引を理由に反対派による猛反発を受けての苦渋の決断。また、Amazonはつい先週シアトル計画も撤回しています。これはホームレスや賃貸物件の高騰を抑える目的で巨大ビジネスの本拠地に課せられる “head tax” (人頭税)へ反発するためでした。

巨大テック企業に対する課税を求める欧州の声は、何も政治家や運動家、従業員だけに限ったものではなく、競合他社もまた変化を求めています。

フランスで世界展開しているリテールストアであるCarrefour(カルフール)のCEOアレクサンドル・ボンパールは、アメリカ合衆国や中国などを拠点としながらインターネットで展開するビジネスと地道に実店舗展開する自分の会社とのはざまにある税制のアンバランスさを声高に主張しています。

だって平等じゃないでしょ。(テック企業たちは)付加価値税すら払うことなく、あらゆる税金を回避しながら市場に製品を撒き散らしてきたんですよ。もはやこれを許すことはできないんです」とJournal du Dimanche(ジュルナル・デュ・ディマンシュ紙)にすごい勢いで息巻いています。「売上が同じなら、税金も平等な額支払うべき」だと言っています。

5億ユーロ(約632億円)の増収を期待

ル・メールのデジタル税はフランスでの収入に3パーセントの税金をかけるというもので、これにより5億ユーロ(約632億円)の税収が期待されるとLe Parisien(ル・パリジャン)紙に語っています。 この法案は3月6日にフランスの議会に提出され、国会で協議されます。

世界での総収入が7億5千万ユーロ(約948億円)、フランス国内での収入が2500万ユーロ(約31億6千万円)の企業に課せられるこの税金は、 Google、Facebook、Amazon、Airbnb、Appleをはじめとするテック企業を直撃します。もちろんフランス企業や中国、その他の欧州企業だって対象にあてはまるわけで、いろんな会社に影響がおよぶことは免れません。

欧州委員会によれば、インターネット企業が支払う税金はおよそ8パーセントである一方、通常の企業は23パーセントを支払っているという不条理が明るみに出ています。一部のテック企業は税金をほとんど払っていないか、さもなければまったく払っておらず、これはアメリカの状況を合わせ鏡に映したよう。

ル・メールの法案が公になってから数日しか経っていませんが、シリコンバレーではこの新法について大騒ぎ、一般市民は静かに受け入れの構えをみせているようですよ。

「ルールは守りますよ。ビジネスをする代わりに税金はすべて払っていますし。ルールはルール、今でも、未来でも定められたルールには従わなくてはなりません」Airbnbのスポークスパーソンであるオレリアン・ペロスは米Gizmodoのインタビューに答えてくれました。

ペロルはAirbnbのビジネスモデルは「事業を展開する国で巨額のお金を得ている」他の企業と大きく異なることを強調しています。法案提出後は、国民議会と元老院を行ったり来たりしてその後数週間かけて協議されるので、可決されるまではまだまだ時間がかかりそうですが...。