ヘリウムが固体でも超流動することを支持する新たな実験結果 29
ストーリー by hylom
知られざる性質 部門より
知られざる性質 部門より
yamajun88曰く、
液体ヘリウムが2.17K以下の低温で超流動を示すことは古くから知られていたが、近年、低温・高圧下で存在する固体ヘリウムも、16mK以下の極低温で超流動するという複数の実験結果が示されている。今回、それを支持する新たな実験結果が報告された(Physical Review Letters掲載論文、WIRED)。
今回の実験では、従来まで実験が行われていたHe4ではなく、同位体のHe3の高純度サンプルを作成して低温・高圧下での粘性を測定した。すると、He4とは全く違う振る舞いを示した。固体のHe4は低温にするほど粘性が下がり「超流動」するが、固体のHe3はそれとは逆に、温度を下げるほど粘性が上がっていった。この対称的な結果は、固体He4が超流動しているという解釈を支持している。なぜなら、He4原子はボース粒子なので超流動が起こりうるが、He3原子はフェルミ粒子なので超流動は起こらないはずだからだ。
しかし、この実験によってヘリウムの謎が解けたわけではない。固体のHe3の温度を下げていっても完全には固まりきらず、粘性が一定の値になってしまったからだ。これは、予想に反して固体のHe3が超流動を起こしているとも受け取れる。奇妙なヘリウムの謎は深まるばかりのようだ。
一応補足 (スコア:4, 参考になる)
著者たち自身は,低温での温度非依存の流動性は転位(結晶における線状の欠陥)の移動がトンネル的になるからだろう,と推測しています.
低温で何かの移動しやすさがだんだん下がった後に一定値になるのは量子論にありがちな効果で,高温では「熱励起で起こっていたこと(高温ほど起こりにくい)」に比べ「トンネル効果で起こること(基本的に温度非依存)」のほうが起こりにくいことが,低温に下げたせいで前者が激減,低温では後者が支配的になって温度非依存化する,という場合によく見られます.
で,今回の二次元結晶系でも低温で薄膜結晶の表面にあるキンク(乗っかっている上の層の折れている部分というかなんというか.図を見れば一発なんですが……)の移動などが低温でトンネル的になり,それが「小さいけれども温度非依存な流動性」を引き起こしているのだろうとしています.
#ただ,定量的な部分では過去の類似の系に比べちょっと大きいので,そのあたりはもう少し検討が必要,とかそんな感じ.
瑣末なことかもしれないが (スコア:3, 参考になる)
質量数は元素記号の左上に書くのが通例です。このままだと意味が異なりますよ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ [wikipedia.org]元素記号
Re:瑣末なことかもしれないが (スコア:1)
四次元Heなのかもしれない。
Re: (スコア:0)
ドラえもんの屁?
クーパー対の話は (スコア:2)
液体ヘリウムの超流動については、3Heでも十分に温度を下げれば2原子がクーパー対を作ってボース粒子としてふるまうようになり超流動を起こす、という話があった。
ストーリーで「3Heはフェルミ粒子だから超流動しない」と断言してるってことは、固体だと温度を下げてもクーパー対を作れないってこと? あー格子欠陥が、ってことだとしても、欠陥を埋めに来る隣の原子とその隣ってクーパー対になれないのかなあ。
つまり、 (スコア:1)
4He は猫である [google.com]ということ?
Re: (スコア:0)
結論は、まだ無い。
Re:粘性が一定の値になってしまったからだ (スコア:0)
>粘性が一定の値になってしまったからだ
それは光に頼った観測をしているから
Re: (スコア:0)
で、どういう観測をしたらどういう結果になったんです?
// ○○になる「はず」、ってのは勘弁してくださいよ。
なるほどわからん (スコア:0)
He3, He4が繰り返し出てきて、実はさり気なくtypoで入れ替わってたりするのではないかと気が気ではない(重症
オフトピ:超 (スコア:0)
向こうのエロい人は現象等にSUPERと名付けるの好きなんですかね。
Super Ultra Low Emission Vehicle(SULEV)とか、中2を通り越して小学生だよなあと。
極超音速のhypersonic speedはいいと思います。
Re:オフトピ:超 (スコア:1)
我々受け手がsuperやultraにかっこよさみを感じ過ぎなだけでは?
Re: (スコア:0)
超とか極にカッコ良さを感じるな、と言われても難しいです。
それでもSuper Ultraは無いだろと思いますが。
Re:オフトピ:超 (スコア:2)
ウルトラソフト
スーパーソフト
のように段階で分けるべき?
Re: (スコア:0)
それはそれでどっちが上なのかという問題が発生しましたね。
今年からの名称変更も逆に分かりにくくなってる気がしますが…。
Re: (スコア:0)
CGツールにありましたね
SUPER KiD → ULTRA KiD → HYPER KiD
Re:オフトピ:超 (スコア:1)
日本語には「御御御付」という言葉があってね...
Re:オフトピ:超 (スコア:1)
こっちの会社のエロい人は企画・開発に「新〇〇」「次世代〇〇」つけるのが好きらしいです。
Re: (スコア:0)
Super-man Ultra-manの流れでそう感じちゃってんですかね??
Hyper-man ってあったっけ??
Re: (スコア:0)
Ultra Super Delux man なら… (藤子グロ)
Re: (スコア:0)
スーパーマンとウルトラマン、どっちが強い?
ってのは50年前のネタだな。
#デラックスファイターってつおい?
超流動物を固体と呼べるのか? (スコア:0)
浅学な素人の考えだが、それは超臨界流体が液体でも気体でもない様に、超流動物を固体と呼ぶべきではないだろうに。
Re:超流動物を固体と呼べるのか? (スコア:4, 参考になる)
超流動を起こす液体ヘリウムも「一応」液体だから「超固体」ヘリウムも一応固体。
我らがphason先生の解説。
https://srad.jp/~phason/journal/508952/ [srad.jp]
Re: (スコア:0)
なるほど分かりやすい。
従来、He4でそれっぽい結果は出てたけど、それが本当に超流動かは確定ではなかった。
今回のHe3の結果と比較することで、従来のHe4の結果が超流動である可能性が高まったってことね。
Re:超流動物を固体と呼べるのか? (スコア:1)
結晶構造があれば固体。
結晶構造の中で励起子が別結晶しようと融けようと別の話。
the.ACount
Re: (スコア:0)
phason先生の解説がわかりやすかったけど、端的にまとめると、
固体結晶には格子欠陥が生じることがある。というか普通は生じる。
欠陥部分は、隣の原子が移動するなどで移動できる。移動する欠陥部分は、だいたいヘリウム4と同じような挙動になる。(隣のヘリウム4が移動してくるので。)
その結果、欠格部分の移動の挙動が超流動状態になり得る。これが超流動固体。
ってことだってさ。
超流動してるのは固体そのものではなく、格子欠陥部分だった。
これなら確かに固体のままだな。
ただし、格子欠陥が超流動=摩擦ゼロとなった結果として、固体なのに隙間をすり抜けたりしちゃうらしい…。
もう意味分からん。
Re: (スコア:0)
摩擦を相互干渉によるエネルギーロス(熱への転換)とすると、
摩擦ゼロだと相互干渉が起こらないので個体だろうが貫通することに。
Re: (スコア:0)
格子欠陥は原子がない部分の事です
つまり固体表面から外側の原子がない領域はぜーんぶ格子欠陥です
Re: (スコア:0)
super flow アニマル?