良い感じのリメイクSF映画6選

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良い感じのリメイクSF映画6選
Image: YouTube

最近はやたらとリメイク映画が公開されますが、中でも多いのがSFジャンルでしょう。今の技術を使うことで不可能だった表現が可能になったからという理由で、やたらギラギラと派手になってリメイクされることがあります。そういう作品はたいてい駄作と相場が決まっているのですが、中には「作ってくれてありがとう」と感謝したくなるようなものも。

そんなわけで、今日は「SFのリメイクも良いな」と思わせてくれる6作をピックアップしましたよ。

『ゴジラ』(2014)

よかった、というか1998年のローランド・エメリッヒ監督『ゴジラ』が酷すぎたんですけどね。いや、あれはゴジラじゃなくて巨大イグアナだろう、って。

あの悪夢から16年経過し、ついにハリウッドは「やりなおし」することを決意。それが、2014年のギャレス・エドワーズ監督による『ゴジラ』です。ゴジラ登場シーンは少ないですが、丁寧に書かれた脚本と今のCGIのおかげで、少なくともオリジナルのゴジラを陵辱した悪作にはなっていません。

本作をきっかけに、「モンスターバース」が始動し、2017年には『キング・コング 髑髏島の巨神』が公開し、今年は『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の公開が控えていますし、来年には『ゴジラVSコング』がやってきます。

ただ、どんなにリメイクが作られようと、1954年のオリジナル・ゴジラにとって代わる作品は出てこないでしょう。それに、着ぐるみにはCGにはない魅力と味があります。しかし、ハリウッドが『ゴジラ』を作るなら、2014年の『ゴジラ』は正しい方向を向いていたと言えるでしょう。

『12モンキーズ』(1995年)

厳密に言えばテリー・ギリアム監督の『12モンキーズ』(1995年)はリメイクではなく、フランスの映像作家クリス・マルケルによる30分の短編映像『 ラ・ジュテ』(1962年)にインスパイアされてうまれました。長編と短編というだけでも十分に違いますが、他にも『ラ・ジュテ』では核戦争後の世界が舞台で、『12モンキーズ』ではウィルスによって人類の99パーセントが死滅したという設定の違いがあります。本作の成功を受け、2015年からドラマシリーズが始まりましたね。

わたし(訳者)は難解だったという記憶しかありません。40才に差しかかる今観たら面白いと思えるのかもしれません。

『ジャッジ・ドレッド』(2012年)

『ジャッジ・ドレッド』は、シルベスター・スタローン主演で映画化されたコミック原作の同名映画『ジャッジ・ドレッド』のリメイクです。脚本はアレックス・ガーランド(『28日後…』『エクス・マキナ』『アナイアレイション -全滅領域- 』)で、スタローンの(駄作という呼び名の高い)『ジャッジ・ドレッド』のリメイクというより、コミックの正当映画化

スタローンのドレッドと異なり、カール・アーバンのドレッドはヘルメットを脱がないことがファンを喜ばせました。また、ボス・ママを演じるレナ・ヒーディ(『300』『高慢と偏見とゾンビ』)のヴィランな演技も高評価につながりましたね。それと、スタローン版では見られなかったユーモアのセンスも抜群! スタローンに恨みはありませんが(むしろ好き)、あれは本当に酷かったですね…。リメイクされて本当に良かったです。

『ザ・フライ』(1986年)

『ザ・フライ』は、1958年に公開された『ハエ男の恐怖』をリメイクした作品です。どちらも1958年に出版されたジョルジュ・ランジュランの小説『蝿』を原作としています。

1958年版も当時としては随分と頑張った方だと言えますが、やはり後年のデビッド・クローネンバーグのネチョッとヌルッとしたハエ男のビジュアルにはかないません。(だってハエ頭のマスクってねぇ…)

ちょうど二つのモンスターを比較した動画があったので貼っておきます。

ビジュアルももちろんですが、変わっていくジェフ・ゴールドブラムを愛しつつも恐るジーナ・デイヴィスの演技も素晴らしかった。そして、ジェフの科学者としての探究心とスーパーパワーを手に入れた時のはしゃぎっぷり、変化する自分に恐怖して「助けてくれ…」と呟く切なさ。30年以上前に作られた作品ですが、今でも衰えることなくベストSFホラーの1本と数えられています。

『SF/ボディ・スナッチャー』(1978年)

『SF/ボディ・スナッチャー』はフィリップ・カウフマン監督による、『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956年)の1番目のリメイク。オリジナルの舞台は小さな町でしたが、本作ではウォーターゲート事件の不安を引きずるサンフランシスコになっています。

徐々に見るものの不安を煽るサウンドデザインに、ドナルド・サザーランドとレナード・ニモイ、ジェフ・ゴールドブラムという一流キャスト、プラクティカル・エフェクトが秀逸でした。特にが、が、ね。

『遊星からの物体X』(1982)

南極点望遠鏡で越冬調査員が毎年欠かさず見ているというジョー・カーペンター監督の『遊星からの物体X』は、1951年のクリスティアン・ナイビイ監督による『遊星よりの物体X』のリメイクです。

2011年に『遊星からの〜』の前日譚を描いた『遊星からの物体X ファーストコンタクト』が公開されましたが、そちらも中々のできでした。しかし、ずば抜けて評価が高いのは、プラクティカル・エフェクト満載でクラシックなジョン・カーペンター監督作でしょう。

カート・ラッセルとキース・デヴィッドのやりとりが紡ぐストーリーと、プロダクションデザイン、エンニオ・モリコーネによる音楽、そして当時若干22歳(!)だったというロブ・ボッティンのSFX。どれをとっても文句の付け所がありませんでした。

「物体」が調査員をひとり、またひとりと取り込み、登場人物も観客さえも誰が人間か誰が「物体」なのかわからないというのも巧みでした。最後までハッキリとさせないことで、観客の追求心を刺激し、繰り返し鑑賞させることに成功させているのもアッパレとしか言いようがありません。


いかがだったでしょうか。訳者は個人的に『ザ・フライ』が1番好きです。『ゴジラ』はどうでしょう…。うーん、リメイクではないしハリウッドでもないけれど『シン・ゴジラ』の方が好きだなぁ。