人生がうまくいかないとき、不平を言ったり他人のせいにしたりするのはとても簡単です。

しかし、そんなことをしているかぎり、いつまでたってもうまくいきませんし、ずっと不幸な思いをしつづけるはめになります。

自分の幸せと成功に責任を持ちましょう。成果をあげるためには、考え方を変え、話し方を変え、行動を変える必要があります。

あなたはそれをすることができるはずです。私はあなたを信じています。 あなたは偉大さを秘めています。

本書は、その潜在能力を開発する起爆剤になることでしょう。(「読者のみなさんへ」より)

働くあなたに伝えておきたい100のこと』(ジェフ・ケラー著、弓場 隆 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の冒頭にはこう書かれています。

科学技術にしても、経済情勢にしても、仕事の内容にしても激動する現代は、試練に満ちています。そこで、そんな状況下で成功するために、本書を活用してほしいというのです。

そうすれば仕事で次々と成果をあげ、人間関係を改善することができるはずだから。

きょうはLESSON 3「働きやすい環境をつくる」のなかから、いくつかのトピックスを引き出してみたいと思います。

ネガティブな情報を避ける

環境は心の持ち方に影響をおよぼすもの。

そして、それが思考と感情を方向づけ、深淵を形成し、行動を左右し、やがてなんらかの結果を招くことになります。つまり、常にポジティブであるべきだということ。

ポジティブになるために簡単にできることを紹介しましょう。

毎朝、通勤電車の中でポジティブな環境をつくるのです。新聞を広げてネガティブな記事を読むのではなく、勇気と元気がわいてくる自己啓発書や、業績を上げるのに役立つビジネス書を読むといいでしょう。

仕事を始めるにあたって正しい心の持ち方ができます。(70~71ページより)

ただし著者は、新聞を読むなと言っているわけではありません。

そうではないけれども、新聞を読むのであれば全体にざっと目を通し、読む価値のある記事がどうかを調べる程度で十分だというのです。

具体的にいえば、たとえば凶悪犯罪のような、心に悪影響をおよぼす記事は読まないほうがいいということ。

同じように、テレビのニュース番組を見るのもほどほどにしたほうが賢明。理由は明白です。現代人はニュース番組を通じ、ネガティブな情報の集中砲火にあっているものだから。

ニュースは犯罪や事故などの悲惨な出来事を中心に報道する傾向があり、気分が高揚する明るい話題が報道されることは少ないわけです。

そのため著者は、メディアが流すネガティブな情報には気をつけなければならないと主張しています。

いうまでもなく、心の持ち方がネガティブになってしまい、成功への意気込みがそがれるおそれがあるから。(70ページより)

ポジティブな人間関係をつくる

ネガティブな人は相手の心のなかに、ネガティブな考え方を注入しようとするもの。

その結果、受け手であるこちらの心の持ち方もネガティブになるため、自分自身が抱いている夢がしぼんでしまうことにもなりかねません。

ネガティブな人とは距離をおいて、夢を実現するために努力しているポジティブな人と過ごすことを心がけましょう。

ポジティブな人はあなたにエネルギーを注入し、あなたの気分を高揚させ、夢を追い求めるよう励ましてくれます。

だからこそ、あなたの能力を信じてくれる人とつき合うことが大切なのです。

作家のマーク・トゥエインは「小人物はあなたの夢にケチばかりつけるが、大人物はあなたが偉大になれることを確信させてくれる」と言っています。(72~73ページより)

もし、不平を並べることを好む友人がいる場合はどうしたらいいのでしょうか?

当然ながらその決定は、自分自身がしなければならないことです。

しかし少なくとも、そういう人と過ごす時間を制限する方法を見つけだすほうが賢明だといいます。

もちろん、それは難題かもしれません。友人を見捨てるようなことはしたくないと思っても無理はないからです。

しかし、そういう人と一緒にいても、お互いにあまりプラスにはならないものでもあるでしょう。そうであるだけに、ネガティブな友人とのつき合いを続けるかどうかは重大な課題だということ。(72ページより)

ネガティブな人を避ける

周囲の人たちは、私たちの成功に大きな影響をおよぼすもの。

そして、いままでずっとつき合ってきたからといって、今後もつき合い続けなければいけないというわけではありません。

むしろ、自分自身に悪影響をおよぼすような人からは離れるべきだと著者は言います。

あなたが心の中で何度も繰り返したことは、それが何であれ、あなたの思考と行動に影響をおよぼします。

何度もネガティブなメッセージを聞いているうちに、ネガティブな考え方をするようになってしまいます。(74ページより)

たとえば、自分の夢をネガティブな友人に話した結果、その友人から「そんなことはうまくいきっこないよ」と言われたら、がっかりしてしまうはず。

もしかしたら、ひとりに言われた程度では気にならないかもしれませんが、数人に言われたとしたらどうでしょう?

場合によっては、夢を諦めてしまうことになるかもしれません

しかし、その逆も考えられます。ポジティブな人と一緒にいると、自然と自分もポジティブになれるわけです。

きっとその夢は実現するよ」と元気づけてもらえると、自信を持って努力し、実際に夢をかなえることができるようになるということです。

そこで、もしもネガティブな友人がいたら、まずはその友人がもっとポジティブになれるよう助けてあげるべきだと著者。

しかし、そもそもその友人がポジティブになることを拒み続けるのであれば、自分のエネルギーを無駄遣いすべきではないともいいます。

その友人と接する時間をできるだけ少なくし、ポジティブな人を友人に選ぶことが、自分にとって最大の利益になるという考え方です。(74ページより)

人をほめる

ハーバード大学教授を務めた、19世紀の著名な心理学者であるウィリアム・ジェームスは、「人間の本性のもっとも根源的な特徴は、自分を評価してほしいという欲求である」と言っているそうです。

事実、自分自身のことを考えてみると納得できるはず。おそらく、自分の努力を認めてほしいと思っているはずだからです。

そのため、「よくできたね」とか「あなたのおかげで助かったよ」などと言われると幸せな気分になるわけです。

そしてそれは、他の人たちも同じ。

そこで、自分がほめられることばかり求めるのをやめて、まず人をほめることを始めてみるべきだといいます。

そして著者はここで、相手の努力を認めて評価するときに考慮すべきことを紹介しています。

 感謝の言葉を述べる習慣をつけましょう。誰かが仕事を手伝ってくれたら、メールか手書きのハガキを送ります。電話でもいいでしょう。レストレランでいいサービスをしてもらったら、ウェイターやウェイトレスにお礼を言いましょう。相手はあなたの言葉に感動しますし、あなたも気分がよくなります。

 誠意をこめて相手をほめましょう。しらじらしいお世辞を言うと、相手はあなたに下心があることを見抜きます。ほめ言葉は相手を利用するために使ってはいけません。相手をほめるときは、真心をこめてほめるのです。 (77ページより)

人は、自分一人の力だけでは決して成功できません。成功するには、他の人たちの協力が不可欠だということ。

こちらが周囲の人たちの努力を認め、高く評価するのであれば、その人はいっそう協力してくれるようになるわけです。(76ページより)

会社のために誠実に働く

ポジティブな考え方をすることは、成功するためのもっとも重要な資質のひとつ。

逆にネガティブな考え方は、その持ち主を悪い方向に導くだけではなく、組織内に大きく広がって士気と生産性を低下させます。

それに対し、ポジティブな考え方の持ち主がひとりいるだけで職場の雰囲気がよくなり、仕事がうまく進みます。

顧客の評価も高くなり、売上が伸びます。そして、経営者はそのことをよく知っているのです。(78ページより)

さらにいえば、経営者は従業員に規律と信頼性を求めているもの。

つまり、毎日時間通りに出勤して、仕事に専念することを期待しているわけです。

また同時に、仕事をうまくこなすだけの経験と資格を持っていることにも期待していることでしょう。

そのため著者は、会社のために誠実に働くことが大切だと説いているのです。

ただし、経営者の評価を得るためにこれらの条件を満たそうと努力することは、ゴマすりでも点数稼ぎでもないと主張しています。

なぜならそれは、会社に雇われている人間として当然の義務だから。そしてなにより、自分自身が成功して幸福になるために近道だから。(78ページより)


ここに書かれた法則は普遍的であり、変わるものではないといいます。

たしかにどれも「当たり前」のことであり、しかも難しい表現は用いられていません。

そのため読者は本書と接することにより、忘れかけていた大切なことを再認識することができるわけです。

少しでも心地よく、こころ穏やかに仕事をするために、一度手に取ってみてはいかがでしょうか?

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Photo: 印南敦史

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