世界で最も酒飲みが多い都市はどこなのか?

By Rawpixel

地域が違えば異なる種類の酒が飲まれているように、都市における飲酒事情には、アルコール消費量に関する国別の統計調査だけではわからない文化や背景があります。イギリスのメディアThe Guardianが、アルコールの消費に関する調査結果と文化のつながりから、世界で最も酒飲みな都市はどこかを探っています。

Where is the world's hardest-drinking city? | Cities | The Guardian
https://www.theguardian.com/cities/2019/mar/07/where-is-the-worlds-hardest-drinking-city

◆キエフ(ウクライナ)
東ヨーロッパの旧ソビエト諸国は世界で最も飲酒の多い地域の1つで、ウクライナの首都キエフも例外ではありません。キエフでは飲酒が男らしさの象徴になっており、ウクライナ人男性の過度の飲酒を重く見たキエフの市議会は、午後11時から午前10時までの間、アルコールの販売を禁止すると決めたとのこと。The Guardianの取材に対し、地元のジャーナリストDaria Meshcheryakova氏は「法規制より、世代交代のおかげでアルコールの消費量が減るかも知れない」と答えています。というのも、キエフで最もアルコールを消費しているのは中年男性で、インターネット世代の若者たちはアルコールには興味があまりないためです。

By orcearo

◆ヴィリニュス(リトアニア)
世界保健機関(WHO)の調査によると、リトアニアはヨーロッパで元もアルコール消費量の多い国です。一人当たりの年間アルコール消費量は純粋なアルコールに換算すると15リットルで、これはアルコール度数12%のワインボトル167本に相当します。このため、リトアニアの首都ヴィリニュスは世界で最も飲酒量の多い都市の候補地ですが、一方で、必ずしもヴィリニュスの人たちが大酒飲みとはいえないかも知れません。なぜなら、ヴィリニュスは週末の観光スポットとして人気があるためです。「都市部のヴィリニュスよりも、失業者が多く娯楽が少ない農村地帯の方が飲酒量は多そうだ」とジャーナリストのZiville Raskauskaite氏は指摘します。事実、リトアニア企業連合の報告によると、リトアニアの農村部に住む人々がアルコール依存症を抱えている割合は都市部に比べて2倍にも及ぶとのこと。

◆ケープタウン(南アフリカ)
南アフリカはアフリカ大陸有数のアルコール消費地で、ケープタウン大学の調査によると、南アフリカの成人のうち7人に1人がアルコールの飲み過ぎだとのこと。その理由はおそらく、ケープタウンがヨハネスブルグなどと並び、南アフリカでも有数の大都市だという点にあります。ヨハネスブルグの金融機関に勤めるMunya Shumba氏は、「ヨハネスブルグやケープタウンの飲酒量はニューヨークやロンドンと大差ないよ。ニューヨークやロンドンと同じ銘柄のビールやウイスキーが手に入るし、仕事が終わる時間になるとバーやパブは満員になるからね」と話しています。

By vadymvdrobot

◆ウィントフック(ナミビア)
南アフリカと国境を接するナミビアの首都ウィントフックでは、アルコール消費の問題はより深刻です。2017年にウィントフック警察は自動車と歩行者の接触事故が起きた際は、運転手だけでなく歩行者にもアルコール検知器によるテストを実施することを決めました。ナミビア警察のスポークスマンによると、「2016年の1月1日から10月4日の間にナミビアで発生した交通事故により、147人が死亡、832人が重軽傷を負いました。被害者の大半は事故の直前に酒場でアルコールを飲んでいたのです」とのこと。

by Secretaría de Movilidad de Medellín

◆ソウル(韓国)
韓国の首都ソウルでは、度数20%の焼酎が飲まれています。Euromonitor Internationalの調査によると、韓国人が消費するアルコールの量は典型的なロシア人の2倍もあるとのこと。このため韓国政府やソウルの企業は、過度の飲酒やグラスの飲み回しによる肝炎の感染を減らすため、「1-1-9運動」を導入しました。これは、仕事の後の飲み会は「1つの店だけ」「注文してよい酒は1種類のみ」「午後9時には解散」というルールです。

by brian kong

◆ムンバイ(インド)
インドではスコッチウィスキー市場が急成長していて、スコットランドの蒸留酒の輸出量を急増させているほど。米国ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)の研究者Max Griswold博士は「インド全体のアルコール消費量は多くありませんが、特筆すべきはムンバイやデリーなどの都市部における55歳以上の女性による蒸留酒の消費量が増加していることです。高齢の女性によるアルコール消費量の増加は他国に類を見ません」と述べています。

The Guardianは「結局のところ、世界で最も酒飲みが多い都市を決めるのは困難です」と結論しつつ、「各国の政府にとって、国民に適度な飲酒と飲み過ぎの線引きをさせることは、酔っぱらいが道路に引かれた線をまっすぐ歩くよりも困難な道のりになるでしょう」と締めくくっています。

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in メモ,   , Posted by log1l_ks

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