息子のデクスターは、6年生のコンピュータークラスを落としました。「もしかしたら発達障害(ADHD)かもしれない」と思っていたところはいくつかありました。
息子がADHDかもしれないと思った日
Adobe PremiereでMinecraftの動画を編集するという課題を自ら設定し、コーディングを学び始めている息子ですが、「ファイルを開くにはこうします」という基礎のコンピュータークラスでは落第してしまったのです。
そこで私たち夫婦は、先生に相談しました。それは、幼稚園時代から何度も何度も繰り返してきた面談と、何ら変わらないものでした。
先生はこう言います。
授業内容については問題ないのですが、授業にまったく集中しません。
いつもUSBメモリを忘れてくるので、課題を提出したことがありません。
私たち夫婦は、この面談、ブラックホールのように物がなくなる息子のカバン、集中できない様子、私自身がADDであることを総合的に判断して、息子にも注意力の問題があるのではと考えるようになりました。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の症状
ADD(HyperでないADHD)の仲間であるADHDは、子どもにはよくある障害で、実行機能障害として現れます。具体的には、注意力障害、行動制御障害、多動性のほか、ものをすぐになくすなどの症状があります。
1902年には特定されていましたが、診断が増えたのは1990年代のことです。そのころから障害に対する医師の理解が深まり、症例数が増え始めました。米国疾病予防管理センターの推定によると、現在米国の4歳から17歳の子どものうち、11%がADHDを持つとされています。
昔は、集中できない子どもや座っていられない子どもは、「手に負えない」「怠け者」「非行少年」と呼ばれ、居残りをさせられ、叱られたものです
。しかしADHDを持つ子は、それをどうすることもできません。誰から怒鳴られようと、集中することも、行動を正すこともできないのです。
ADHDはどう見分ける?
「誰でも集中できないことくらいあるさ」と思うかもしれません。その通りです。でも、それがこの障害をわかりにくくしているのも事実です。健常な子どもと精神障害を持つ子どもの線引きは、ときに困難なのです。
子どもと大人のADHDを診療しているロサンゼルスの精神科医、Karl Gundersen氏はこう言います。
「これこれの数値がXだから、あなたの子はADHDです」と断言することはできません。そのような検査は存在しないのです。
障害の特定が不可能なわけではありませんが、どんなにWebMD.comでADHDの記事を読んでいようと、親やコンピューターの先生には、診断をする術がありません。ですから、専門家に診てもらう必要があります。
ADHDの診断方法は?
ADHD列車の最初の停車駅は、小児科医です。デクスターのかかりつけ小児科医は、ADHDのチェックのために精神科を紹介してくれましたが、場合によっては異なる種類の医療専門家に紹介されるかもしれません。学校のカウンセラーに相談するのもいいでしょう。
Gundersen医師は言います。
私たちが見るのは、症状の深刻さです。不注意には9つの基準があります。多動および衝動性に関しても、9つの基準があります。診断を受けるには、9つの基準のうち6つ以上を満たし、それらがかなりの度合いであり、2つ以上の環境で障害となっていなければなりません。
我が子の場合、コンピュータークラスの落第は、ADHDではない別の問題が原因であることが判明しました。このように、メンタルヘルスの専門家なら、問題行動の原因を特定してくれるでしょう。
家ではやらないのに学校だけで問題行動を起こす場合、別の原因があるかもしれません。学習の問題かもしれませんし、社会性や交流の問題かもしれません。
ADHDの子どもに対する治療方法は?
調査によると、薬と行動管理の双方を組み合わせる方法がもっとも効果的なようです。ニーズにもよりますが、ADHDを持つ子どもには、AdderallやRitalinなどの精神刺激薬が処方されることがよくあります。
さらに、メンタルヘルスの専門家に、家でできる行動テクニックの枠組みの作成と実施を支援してもらうといいでしょう。
Gundersen氏によると、薬と行動テクニックの組み合わせは、強いADHD症状を持つ人のおよそ8割から9割に効くそうです。
子どもなら、学校からの支援も受けられます。米国の公立校は、ADHDを持つ子どものニーズに合致した特別教育または関連サービスを提供しなければなりません。
でも、気を付けて。学校や医師の見解によっては、ADHDを持つ子どもへの対応を受けるには、親による支援が必要になることがあります。ADHDに対する誤解は、まだまだ散見されています。
11歳の娘がADHDを持つというMolly Fergusonさんはこう言います。
8歳のとき、社会性で苦しんでいた娘のリリーに検査を受けさせました。神経心理学者を訪問したところ、その時点ではADHDの診断は出ませんでした。しかしその後、衝動性、注意力欠如、集中できないなどの症状がだんだんはっきりしてきて。
その4年後、リリーはやっとADHDの診断を受け、適切な治療を受けられるようになりました。
やっと、診断が出たのです。それを学校に見せて、「あなたたちは娘が必要とする支援を提供しなければならない」と言うことができました。
本当に薬を使うべき?副作用は?
Gundersen氏によると、ADHDの薬は大規模な研究が行われており、処方通りに使えば安全で効果的とのこと。それでも薬はやめたいという保護者には、薬を使わない行動管理の方法もあります。
一貫した行動戦略への興味とモチベーションが保護者にあれば、成功しやすいことを発見しました。でも、誰もが長期間にわたって一貫性を保てるわけではありません。子どもはそこから学びます。
治療がうまく行かなくても、障害と真剣に向き合うことが大切です。それは紛れもない事実であり、治療がないことには人生を変える効果があるかもしれません。
いまだに多くの保護者や大人が、精神疾患は一生懸命取り組むことで克服できると考えています。でも、その人たちの頭の中には明確な間違いがあります。支援なしで「克服する」ことはできません。
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Image: Suzanne Tucker/Shutterstock.com
Stephen Johnson - Lifehacker US[原文]