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「飲み代は落ちるのに…」ベビーシッター代、経費にならないのおかしくない?

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「飲み代は落ちるのに…」ベビーシッター代、経費にならないのおかしくない?
認定NPO法人フローレンス 代表理事・駒崎弘樹さん

何が必要経費として認められ、何が認められないのか。そんなことが気になる季節になりました。たとえば、飲み代は経費になりえますが、ベビーシッターの費用はなりません。子どもを預けないと働けないのに、個人的な事情として除外されてしまうのが現状です。

厚労省は2016年にベビーシッター代の税額控除を要望しましたが、自民党税制調査会(自民税調)が見送った経緯があります。同省は2017、18年にも税制控除を求めましたが、「長期検討事項」とされ、実現には至っていません。

一方、政府はこのほど、幼児教育・保育の無償化に関する法案を閣議決定しました。10月の施行を目指し、今国会での法案提出を予定しています。

実現すれば、認可外施設やベビーシッター、病児保育についても、3〜5歳は合計月3万7000円まで補助されることになります。

厚労省の担当者は、「来年度(2019年)にどういう要望をするかは決まっていませんが、我々としては補助と合わせて、税額控除も求めています」と話します。

病児保育などのサービスを提供する認定NPO法人フローレンスの代表理事・駒崎弘樹さんも、補助金と税額控除の両方をつけるべきという立場です。税制に対する考えを聞きました。

●議員は男性ばかり「女性が働くこと想定してない」

ーー10月施行を目指し、今国会中に幼児教育・保育を無償化する法案が提出される見通しです。

「未だに待機児童問題という喫緊の課題が解決されておらず、優先順位がおかしいと感じます。幼児教育の無償化をするのであれば、全入も必須です。

ただし、無償化自体に反対というわけではありません。保育園の充実、保育スタッフの処遇改善はもちろんですが、子育てをしながら働く人のために税制控除もつくとなお良いと考えます」

ーーベビーシッターや病児保育は税制控除を見送られ続けた経緯があります。

「女性が子どもを預けて働くことが想定されてこなかった証です。飲みに行くのは仕事の一種という意識があるのにおかしいでしょう。シッターに預けないと働けないんだから、それは経費じゃないかと。

今まで『オッサン』たちは子育てをしなくても良かったから、子育てと仕事を切り離して考えることができました。

しかし、女性も社会進出して、働きながら子育ても、となったら、ベビーシッターや病児保育は収入を得るために必要になってくるわけです。もちろん、男性ももっと育児や家事をやらないといけない。

当たり前すぎて言う必要もないくらいの話なんですが、現状の税調にはそういう意識がない」

――党HPによると、自民税調の役員表にいる40人のうち、女性は小渕優子議員だけのようですね。

「税制は基本的に税調で決められます。権力の源泉でもあるから、税調にかかわる議員は、ベテラン議員が多い。基本は男性、高齢者となるので、どうしても想像がつかないんでしょうね」

図表

●「税制は国からのメッセージ」

――フローレンスでは年間7000人ほどが病児保育を利用しているそうですね。経費になることで負担が軽減される世帯は多いのではないでしょうか。

「そうですね。利用者の方から『これが経費じゃなかったら何なの』という声は良く聞きます。だって、預けて働いているんですから。経費として認められれば、もちろん『助かるね』というのはあります。

ただ、そもそも税制って国から発するメッセージだと思うんです。

たとえば、累進課税が非常にきつい、『高所得者からたくさんとるよ』という国があったとします。それは『我が国はそういう再配分しますよ』『持てる人から持たざる人にきちんと所得を移転しますよ』という理念を表している。

でも、そうじゃなくて『高所得者からあまりとらないよ』なら、『お金持ちはいつまでもお金持ち。貧しい人はいつまでも貧しい人。それでもオッケーだよね』ということになります。どっちがいいか悪いかは別として、税制は国の理念を表している。

国が『1億総活躍』で『女性も輝く社会』と言うのなら、女性を輝かせるインフラをつくらないといけない。国が目指す社会像を税制に込めるべきだと思います」

――税制が変わると、人々の行動も変わりますよね。

「たとえば、配偶者控除は、『女性はほどほどに働けば良い』と言うメッセージを発してしまっていると思います。そういうメッセージが人々に伝わり、人々がそういう風に動いていく。

今でも『103万円以下しか働きたくない』と言う人がたくさんいるじゃないですか。やはり税制というものは、国が使える『人の行動変容ツール』の中で最も強力なものの1つだと思います。

税制は国民の行動を変える。国民の行動を変えたいのなら、税制を変えるべきです。女性が働きやすくなれば、副次的に男性の家事・育児参加も進むだろうと思います」

(税理士ドットコム トピックス)

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