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AIアシスト作曲、“暗闇の洞窟”で演奏体験。ソニーがSXSW出展

ソニーは、米国テキサス州オースティンで現地時間3月9日より開催中の「SXSW(サウス バイ サウスウエスト) 2019」に出展。AIが作曲をアシストする技術や、ソニーの音響・触覚技術を活用して来場者が音楽を協奏できる体験などを紹介している。

SXSWのソニーブース

SXSWのソニーブースは、“Will technology enrich human creativity?”「テクノロジーは人の創造性を豊かにするか?」がテーマ。ソニーの最新技術やプロトタイプを活用した研究開発段階のプロジェクトの展示や、様々な分野のゲストやソニーの研究開発段階のプロジェクトに携わるメンバーとのトークセッションを開催している。

展示では AIアシスト作曲技術によってアーティストとともに新しい音楽を生成し、アーティストのクリエイティビティを拡張することを目指す研究開発及び社会実装プロジェクト「Flow Machines」や、暗闇の洞窟を再現し、ソニーの音響・触覚技術を用いて音楽を協奏する体験ができる「CAVE without a LIGHT」などを披露した。なお、今回のコンセプトやソニーが出展する理由などについては、3月4日の記事で掲載している

SXSW 2019 ソニーブース展示内容詳細

Flow Machines(フローマシーンズ)
ソニー・ミュージックエンタテインメントとソニーCSLが共同で、AIアシスト作曲技術を搭載した「Flow Machines」とその取り組みを展示。「Flow Machines」はアーティストのクリエイティビティを拡張することを目指す研究開発及び社会実装プロジェクト。最先端の機械学習や信号処理技術により、アーティストとともに様々なスタイルの新しい音楽を生成することに取り組んでいる。
Flow Machines
Flow Machines作品:Imaginary Line
CAVE without a LIGHT(ケイブ・ウィズアウト・ア・ライト)
ソニー 品質・環境部、クリエイティブセンター、R&Dセンターによる、視覚に頼らず楽しめるインクルーシブデザイン*の体験型展示。暗闇の洞窟を再現し、ソニーの音響・触覚技術を用いて音楽を協奏する体験ができる。本取り組みを通して、障がいの有無に関わらず多様な人が自分らしく楽しめるテクノロジーの可能性を提示。*インクルーシブデザインとは、多様なユーザーを包含・理解することで新たな気づきを得て、一緒にデザインする手法。
CAVE without a LIGHT
Superception(スーパーセプション)
コンピュータ技術を用いて人間の感覚に介入したり、人間の知覚を接続することで、工学的に知覚や認知を拡張、変容させる、ソニーCSLの研究の枠組み。一昨年・昨年に続き、この研究の一つとして、自らの影に起きる視覚変化により、自分の身体感覚の変化を体験できるシステム「Fragment Shadow」を展示。
Superception
Das Fremde(ダス・フレムデ)
言語がどのように生まれ、どのように発達・変化していくか。その研究をロボットと自律型エージェントプログラムを使って表現したソニーCSLによるインスタレーション。異なる個性や知識を持つ複数のロボットが、互いに語り合うことや、鑑賞者・周囲の環境から影響を受けることによって、新しい言葉を創り出し、新しいコミュ二ケーションを始める。まったく違う言語や見た目を持つもの同士の交流は可能かといった、人間と人工知能・機械との関係性を問いかけるインスタレーション。
Das Fremde

また、SXSW来場者とソニーのエンジニア、商品企画担当者が直接交流する場として、Meet-upラウンジを用意。ソニーの最新技術を活用したプロジェクト「フラッシュダーツ」や「Triporous(トリポーラス)」の展示を行なっている。

フラッシュダーツは、ソニーPCLとアカツキライブエンターテインメントが共同で展示する、ダーツゲーム型のインタラクティブコンテンツ。プロジェクションマッピングと最新式の赤外線センサーデバイスを組み合わせることで、マトに可変性や可動性を持たせ、従来のダーツソフトとは異なる新しい遊び方を提案。プレイヤーの足元には、ソニーのハプティクス技術(触覚提示技術)を搭載した「Haptic Floor」(ハプティックフロア)が設置され、全身で楽しめる臨場感と没入感のあるダーツを楽しめる。

フラッシュダーツ

Triporousは、お米の籾殻から生まれた 天然由来の多孔質カーボン素材で、ソニーが特許を取得した独自の製法により実現した独特の微細構造により従来技術では吸着しづらかった物質の吸着を容易にするなど多彩な特徴を持つ。水や空気の環境浄化、化粧品や薬剤まで幅広い応用が期待される。籾殻という余剰資源を再生活用していることから、循環型社会、地球環境負荷の低減にも貢献しながら新たな製品や産業の創出につながるという。

Triporous

3月9日に行なったトークセッションでは、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)代表取締役社長の北野宏明氏が登壇し、AIの父とも呼ばれているユルゲン・シュミットフーバー氏や、ロボット学者で人間酷似型ロボット研究の第一人者でもある石黒浩氏、マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボの研究者ケイト・ダーリン氏とともに、テクノロジーの進化によって追求される“人間らしさ”とは何か、テクノロジーが人間の創造性にどのような影響を与えるかなどについて議論を交わした。

また、北野氏とソニー・ミュージックエンタテインメント(SMEJ) 取締役 CFO 兼 コーポレート EVPの今野敏博氏が、SMEJ とソニーCSLによる、AI アシスト作曲技術「Flow Machines」を活用した新たな音楽プロジェクトの構想についてトークとデモンストレーションを行なった。

トークセッションの動画