妥協しなくて良いのがうれしい。
10万円以上する高値のフラグシップスマホが市場でくすぶるなか、格安スマホとはまた違う個性を持った廉価版スマホがめきめきと存在感を増してきています。昨年はAppleのiPhone XRをはじめ、Huawai Mate 20、LG G7など“Lite” や “Fit”と名前のつけられたモデルが続々登場しましたが、Samsungが今回新たにリリースしたのは、Galaxy S10e(750ドルy)。
ほかのモデルと比べて、どのような違いがあるのでしょうか。
Samsung Galaxy S10e
これは何?:ちいさくて安めのGalaxy S10
価格:750ドル
好きなところ:サイズ感、お手頃感、S10と基本的な中身は同じなこと、がっちりめなデザイン。
好きじゃないところ:振動モーターが弱め、背面カメラは3つでなく2つ
Galaxy S10との主な違い
S10eの5.8インチ画面、2280 x 1080という解像度は、s10の6.1インチ、S10+の6.4インチ、解像度3040 x 1440と比較するとやや小さめかつ低解像度であることがわかります。ディスプレイに関していえば、iPhone XRの液晶ディスプレイ、 iPhone XSやXS Maxの有機ELとは異なり、S10eではダイナミックAMOLEDが採用されているのも大きな特徴です。これはS10、S10+と同じく、色鮮やかで美しい画面で、ブルーライト軽減フィルターも使えるようになっています。
S10、S10+との共通点はまだあります。Qualcomm Snapdragon 855プロセッサ、RAM 8GB、そして128GBのストレージ。スピードもパフォーマンスも劣らないっていうのは大きいですよね。 また追加でストレージが必要だという人には、もちろんmicroSDカードスロットを使う選択肢も。最大256GBの内蔵メモリで$850。S10は最大512GB、S10+にいたっては1TBという超大容量展開です。
S10eの指紋認証センサはというと、プレミアムなスマホでおなじみの画面内...ではなく、Galaxy S8やS9のように背面...でもなく、電源ボタン(かつてのXperiaみたいに、右側面にあります)に内蔵されています。
比較してわかる、ちょっと違うところ
仕様書には記載されないようなマイナーチェンジもいくつかあります。
たとえばS10eのフラットスクリーンのかたち。背面から見るとS10eはこれまでのGalaxy端末と同じようですが、前面はS7(あるいはS6)以降すべてのGalaxyに共通してあった丸み帯びた端ではなくなっているのがわかります。
Apps Edgeタブはまだあって引き続きアイコン管理などに使えますが、よりフラットなスクリーンになっているのでこれまでSamsungのカーブがかった画面が苦手だった人にはもってこいです。
振動モーターにも変更が加わったようで、設定を最大にしてもS10+の半分ほどの強さにしかなりません。
バッテリーに関しては、S10 や S10+と比べて小さな3,100 mAhですが、実際のところかなり優秀です。動画再生でバッテリー消費をチェックするテストで、S10eは13時間20分のスタミナ。Mate 20が15時間15分、Mate 20 Proが14時間06分、そしてOnePlus 6T が14時間37分だったのに続いて、昨年テストしたスマホのなかではトップクラスです。ただし、Galaxy S10は15時間09分という結果だったのに比べると、結構大きな差があるのがわかります。
S10eのカメラも良い!
カメラに着目すると、S10+のようなトリプルカメラや2眼のフロントカメラもありませんが、S10eでもワイドアングル撮影や被写界深度エフェクトによってポートレートモード撮影は可能。
正直なところ、カメラが1つ少ないだけで、S10eとS10、S10+での撮影には違いがないように思えます。ディスプレイも鮮やかで、パフォーマンスもほかのAndroidスマホと比べたら劇的に速いです。
ただPixel 3と比べると、画像のクオリティの違いが多少見えてきます。ウルトラワイドアングルレンズよりも、2倍望遠レンズを採用してくれたほうが便利だったのに...とは思うんですけど、このあたりは個人的な好みの問題かもしれませんね。
スマホはぜったい小さめ!と、どんどん大きくなるスマホの時代の流れに対して強い意志を貫いた人たちにとっても、S10eはもってこいです。なんといっても片手で使いやすい。
使用感についてほかのモデルと特に違いが感じられたのは、ロックを解除したとき。スクリーン内の指紋認証センサー搭載のスマホに共通しているのは、ずばり高値であることだと思います。
S10の画面に採用された超音波センサでもそれほど素早くロック解除ができるわけでなはなく、S10eの側面につけられた静電容量センサに比べて遅くなることさえあります。あとはロック解除の位置に慣れればもう同じである気がします。Razer Phone 2のサイドについた指紋認証センサよりも、S10eのほうがボタンが独立していて見つけられやすいです。
結局どれにする?
スマホの買い替えを検討しているけれど予算につまずいているという人にとって、S10eは最適だと思います。S10のようなプレミアムなスマホと150ドルの差額(S10+だと250ドル)でほぼ同じユーザーエクスペリエンスを得られます。
もし迷っている人がいたら、それは大きな画面、バッテリー寿命の長さがどれほど重要かというポイントに絞れるのではないでしょうか。でも3モデルあるGalaxy S10のなかで、S10eこそ1番だというわけでもありません。手が届きやすい廉価版フラグシップスマホと比較すると、ほかのモデルが見劣りすることはあるかもしれないですけどね。
同じような価格帯のPixel 3と比べても、S10eは「スーパープレミアムなスマホを数千円節約してゲットできるお得感」を実感させてくれます。S10eは単に低価格なだけじゃなくディスプレイのクオリティも、パフォーマンスも妥協する必要はありません。
メモ
- ・S10にあってS10eにはないもの:背面のカメラ2倍望遠カメラ、スクリーン内の指紋認証センサ
- ・値段が高い他モデルと同じところ:ダイナミックAMOLED画面、パンチホール型セルフィーカメラ、ワイヤレス逆充電
- ・画面は5.8インチでわずかに低解像度
- ・バッテリー寿命がすばらしい。独自テストでは13時間20分持続
- ・S10+と比べて、S10eの振動モーターは弱め