これぞ、3Dプリントの良い使い方!
ながーい1日の終わりに、足元からドッと疲れを感じたことはありませんか。足の形状やサイズは人によって違うので、インソールの柔らかさや大きさも合う/合わないがありますよね。
自宅でスマホを使って撮影し、3Dプリントされた特注インソールが郵便で届くというアイデアを実現したのは、薬局やスーパーでもよく見かけるドクターショール。
99ドル(約1万1000円)という価格に見合うのか...? さっそくレビューしていきます。
これは何?:3Dプリンタとスマホアプリでつくられた特注インソール
価格:99ドル
好きなところ:専門家にみてもらうよりも安くて簡単
好きじゃないところ:アプリで足の写真を撮るのが難しい
アプリでの撮影はちょっと面倒だった
インソールを特注するのに、専用アプリでさまざまな角度から4枚、自分の足を撮影する必要があります。カナダのスタートアップ企業「Wiivv」が開発した最新の画像分析技術によって足の形状が特定できるようになっています(ちなみに、かかと部分にもWiivvのロゴが印刷されています)。
これにより足のサイズと形が記録されるのですが、正確なものを撮るために壁と垂直に白い紙を地面に置く必要があります。ただこれが難しくて、家の壁の99%くらいにすそ板がついていたことから、背景が平らだと認識されず、アプリに何度も拒否されてなかなか次のプロセスに進めませんでした...。同僚にも試してもらったところ、彼らからも同じ意見があったのでこの部分は改善の余地がありそうです。
というわけで写真を撮るプロセスは正直ちょっと面倒でしたが、できあがったインソールが自分の靴に完全にフィットしたのには感動しました。これなら市販のインソールのように切って整える必要もありません。
アプリで撮った画像が承認されると、約1週間後に特注インソールが郵便で届きました。歩くたびに足への衝撃が吸収、分散されるようデザインされているのがわかります。足のアーチ部分が支えられているので、より自然な歩き方ができるようになっています。
もともと私は父譲りの平らな足が原因で、長い1日の終わりに多少痛みがでることがあるのですが、先日このインソール装備でNew York Toy Fairに参加してきたところ、これまで我慢してきた足の痛みに、お金をかけて向き合ってもいいんだ!と、思わず納得しました。
3Dプリント部分のナイロンプラスチックはとても硬く、最初の頃は結構気になったのですが、10分くらい経つと存在を忘れるくらい慣れました。
気になるコスパ
人によって足のかたちはちがうので、同僚のVictoria Song、Emily Lipstein、Beth Elderkin、話をした靴専門の処方士にも感想を聞いてみました。
・慣れるのに1〜2日くらいかかりましたが、その後はもう救世主的な存在でした。私の足のかたちは平たいほうですが、歩くのも立ち作業も以前と比べてかなり長く耐えられるようになりました。
・冬なので最近はそんなにあちこち行っているわけではありませんが、いつものように1日4kmほど動いているなかで、このインソールは大助かりでした。
・唯一好きになれなかったのは、靴のなかで微妙にインソールが動くところ。 おそらく滑らかなプラスチックよりも、底部にある程度の安定感があると良かったのですが。
・99ドルという価格に見合うかというと、そうは思えないです。もともと土踏まずのアーチが大きいので、自分に合ったインソールは重要だと思っています。たとえばSuperfeetのようなブランドなら、ニーズに合ったインソールの種類が豊富で、値段も60ドル(約6,600円)くらいでそこそこ良いものが手に入るはずです。
少しフォローすると、ナイロンプラスチックを使用しているため十分なサポートと耐性があって、妙な位置にズレて心地悪くなる...というようなことは起きないはずです。でもアーチ下にほかの素材がなかったら、たとえナイロンでも使い込めばいずれ消耗してサポートも弱まるはずです。
つづいて、ほかのインソールと比べたらどうなのかという点についても考えてみたいと思います。
千円ほどの価格で、薬局など身近な場所で手に入る既成のインソールよりも、このインソールは約1万円にして大幅な改善が見られるのはたしかだと思います。とはいっても、ハンドメイドで5万円以上以上するような、特注のインソールに匹敵するものだとはいえません。
前出の靴専門の処方士が指摘する通り、Superfeet や SOLEといった企業が多様な足の形状に対応した安価なインソールを扱っているのも消費者としては気にかけておきたいところです。また、1万円というと、インソールに限らず履きやすさにこだわったスニーカーを1足買える値段でもあります。
メモ
・薬局で買えるインソールブランドの決定的な進化版。ただし、足の痛みの根本的な原因(足の形状など)を補正するものではない
・自分専用のインソールをつくるうえで撮影が必要。きちんと角度を選ばないと画像が認証されず、何度も撮り直さなければならない。それ以外のアプリの使い勝手はよい
・生地パターンと3Dプリント部分のプラスチックカラーを選択できる
・期待通り、ちゃんと機能してくれる。足のアーチ部分が小さくて扁平足ぎみな人も、足の疲れ方が改善されているのを実感できるはず
・半分ほどの値段で同じような効果が期待できるインソールも存在する