イーロン先生とTeslaの歴史を振り返ろう:Model Yイベントまとめ

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  • author 西谷茂リチャード
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イーロン先生とTeslaの歴史を振り返ろう:Model Yイベントまとめ
Image: Tesla/YouTube, Edit: 西谷茂リチャード

Tesla車もそうだけど、Tesla社も知って欲しいの。

いつも通り遅れてくるイーロン先生は……今日は20分遅れのスタートでした。そしてイントロをサラーっと流したあとに、Tesla車たちの傍らからドラマティックなエントランス。

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Image: Tesla/YouTube

絵になる先生=イーロン・マスクです。得意とする科目は会社の数ほどありますが、今日は電気自動車の会社=Teslaのお話をしますよ。ちょっとした歴史と、今年なにをするかをひとまとめ。

あ、あとModel Yの発表内容はテストに出るみたい。

【速報】Tesla Model Yが発表! お求めやすい電気SUV

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https://www.gizmodo.jp/2019/03/tesla-model-y-unveil-realtime.html

歴代のTesla車たちが引き寄せた未来

いろいろな方面からいろいろなイチャモンを付けられた2008年ごろ、Teslaは初代Roadsterを発売していました。たしかに不具合も多かったけど、その当時だれ真面目に作っていなかった「走る電気スポーツカー」だぞ、もうちょっと歓迎してほしかった、と先生。

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Image: Tesla/YouTube
左から「電気自動車は最悪のアイデアだ」「美化されたゴルフカートだ」「電気自動車は空間のムダ」

でもいまや高級セダンのModel Sや、高級SUVのModel X。そして一般向けセダンのModel 3が素晴らしい活躍をしていてTesla=良い電気自動車の認識が広まりつつある世界。

その流れであらゆる車メーカーが電気自動車の生産に乗り出して、Teslaの企業理念である「サステナブル・エナジーの導入を加速すること」がいよいよ現実となり始めました。これにはイーロン先生もご満悦です。

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Image: Tesla/YouTube

ちなみに、とイーロン先生。クルマの名前にはそれぞれ背景があるのだそうです。Roadsterはその名の通り「道行くオープンカー」で、Model SのSはSedan(セダン)の略。Model Xもその流れでXUV(クロスオーバーSUV)の略なんですが、ここで「S…X…」とひらめいたのだそうです。「SEXYで揃えよう!」。

それで満を持してModel Eとして発表しようとしわけですが、すでにそのモデル名で車を出していたFordから「訴えるよ」と釘刺しが入ってしまいます。「FordがSEXを台無しにしたんだ」と笑うイーロン先生。しかたなくEに似ている3でModel 3としたのが、急に数字が登場した理由だったんですね。ちょっと混ぜこぜになっちゃったけど、Yは思惑通り使えてよかったね!

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Image: Tesla/YouTube
左から:Model S, Model 3, Model X, Model Y。しっかりS3XYの順!

これからのTesla車たち

今回のModel Yの発表でチラッとお目見えしたのが、次世代Roadster(電気スポーツ・オープンカー)とSemi(電気セミトレーラー)。発表はすでにされているものの、まだ発売されていないクルマたちです。じつはそれぞれに大きな役目があるんです。

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Image: Tesla/YouTube

新Roadsterは「EVがすべての面でガソリン車より優れている」ことを示すためのモンスタースペックEV。加速力、最高速度など、これまでガソリンで走る高級スポーツカー(Halo Car)たちが誇っていたポジションをぶち壊しに行きます。ガソリン車を買う理由は、よっぽどのことがない限りなくなるわけです。

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Image: Tesla/YouTube

Semiには輸送業界を革新する力と、環境を大幅に改善するポテンシャルが秘められています。トラック運転手をアシストする自動運転はもちろん、ランニングコスト(主に燃料代)が比べ物にならないくらいカットできるので、輸送する人たちは大助かり。陸上のエコ&低コストな輸送はほとんど電車が牛耳っていましたが、そこに食い込める可能性があります。

あと今日はお目見えしませんでしたが、電気ピックアップトラックもイーロン先生の熱望によって実現する予定です。Teslaの充電スポットに居座って、アンチTeslaを掲げるガソリン・ピックアップトラックのアメリカンたちにも、このパッションなら届くかも? うん、届くってもんさ!

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本当に大事で難しかったのは工場づくり

Model 3生産体制の安定に手こずったイーロン先生が、苦労をにじませながら言いました。「クルマのデザインはやればできる。でもそれを量産にこぎつけるのは、100倍くらい大変だ。本当に本当に大変。2018年はたった1年で5年分くらい歳を取ったんじゃないかな。ロケット作りより大変だよ」って。…でも…先生自身がやらかしてた時もアッタヨウナ。

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Tesla一号の工場は、フリーモントにあります。ロケット工場の端っこでデザインしたModel Sを生産しはじめたところ。Teslaがここから始まったわけでありませんが、このあたりからTeslaの認知度が上がり始めましたよね。

で、二号の工場はネバダのGigafactory 1。ここでは世界中のリチウムイオン電池の合計出荷量を超える生産体制が整っています。Panasonicとの強力タッグによるもので、こういった盤石な地盤づくりにTeslaの底力の強さはがあるのかもしれません。全体としてすでにペンタゴンの4〜5倍ほど大きいそうですが、それでも予定している規模の1/3程度。まだまだ余力を秘めています。あと2019年はいよいよ「ソーラールーフ」も「始まる」そうですよ!

これが未来の家か。Tesla、発電できる「ソーラールーフ」を発表

https://www.gizmodo.jp/2016/10/tesla-solar-panel-roofing.html

そしてニューヨークGigafactoryの次に決まった、上海のGigafactoryも急速に建造されているみたい。3ヶ月前こうだったのが:

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Image: Tesla/YouTube

いまはこうなっていて:

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Image: Tesla/YouTube

今年中にこうなる予定だそうです。

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Image: Tesla/YouTube

Tesla×中国のスピード感たるや。もちろん上海ではModel Yも生産される予定なので、再生可能エネルギーへのプッシュも相まってどんどん電気化・エコ化が進みそう。日本は水素戦略。どっちが最後に笑うのか。まだ誰にもわかりません。ブレグジットみたいに。

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Image: Tesla/YouTube

あと工場じゃないですけど、充電ネットワークづくりにも力を入れていたTesla社。2012年はアメリカ西海岸に6箇所しかなかった高速充電ステーションが、いまは36カ国・1400ステーション・1万2000スタンドまで拡大していました。これからもどんどん拡大、メキメキと充実させていく予定で、それプラス、いまよりさらに高速なV3高速充電スタンドも設置されて行くそうです。満充電させようとしたらまだガソリン給油ほど早くないけど、8割り程度までなら相当早いみたい。

10年後には火星で走らせる!とジョークっぽく豪語したイーロン先生。これからも沢山教えてね。

Source: Tesla/YouTube