人類が移住するにはかなり険しそうな星。
2月に正式な機能停止が宣言された火星探査車「オポチュニティ」。眠り姫はそのまま起きることがなさそうですが、NASAは彼女が収集したデータや撮影したRAW画像などを大量に保持しています。
そしてミッション・チームが、それらのファイルから壮観なパノラマ写真の画像処理を終え、私たちが大きな画像を楽しめるよう公開してくれました。
15年の活動
「オポチュニティ」は2004年に、「マーズ・エクスプロレーション・ローバー(MER)」計画の一環として、双子の姉妹「スピリット」とともに火星にやって来ました。その後15年近くに渡り、およそ45kmを走破し活動を続けていたものの……昨年6月に火星全体を覆う砂嵐に埋もれ、そのまま電池切れで止まってしまったのでした。
ですがその任務期間中に多くの発見をもたらし、かつては火星に水があったという証拠も発見したのでした。
このミッションの重要な部分の1つは、画像が公開されたときに、それらを一般の人々と共有することでした。以降それは現在も、宇宙機関では普通のこととなっており、我々は火星の驚くべき写真を見て、赤い惑星がどのような場所なのか、想いを馳せることができるようになりました。
撮影について
オポチュニティは略して「Pancam」と呼ばれるパノラマ・カメラで、5月13日から6月10日までの間に354枚の写真を撮りました。これら最新のパノラマ写真には、火星の特徴的な赤みを帯びた岩や、「エンデバー」の名を冠したクレーターの縁、オポチュニティの機体の端っこ、そして移動してきた軌跡といった景色が広がっています。
またNASAは、青と赤の3Dメガネを通して見ることが出来る、3Dバージョンのパノラマ写真も作っています。
生データは白黒
実は「オポチュニティ」から届く生データは、すべて白黒なのです。
「Pancam」には、光を単一の波長(または色)として表示するためのフィルターしか搭載されていないため、1色にだけ対応する白黒画像が撮影されます。これらの画像では、フィルターは3つの波長(753ナノメートル(近赤外線)、535ナノメートル(緑色)、および432ナノメートル(紫色)を除くすべての光を遮断します。そしてモニターの表示色であるRBGのチャンネルに置き換えて統合すると、実際に火星がどんな色なのかが大体わかるのです。
ちなみにですが、NASAがRAWファイルを一般向けにフルカラー画像に変換する方法については、こちらで詳細を確認できます。
「オポチュニティ」は永眠したかもしれませんが、このように彼女が火星の地表で遺した貴重な遺産はまだまだたくさんあります。今後もまだまだ公開されると思いますが、それまでまた別の写真をお楽しみください。