愛用していたのに…。Allo終了にみるGoogleの無策

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愛用していたのに…。Allo終了にみるGoogleの無策
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

Alloって何?と今思ったみなさま。みなさまはひとりじゃありません。

3月12日、Alloがサービス終了になりました。リリース初日から愛用してきた自分は涙目です。

最初は「Googleからまたメッセージアプリ!? これはダメっぷりを見ておかないと」という興味本位で利用をはじめたし、実際ダメなところもたくさんありました。でも使えば使うほど虜になる使いやすさで、Gif対応なところとかも結構気に入っていたのに...Googleのバカ...。

Alloが広まらなかった理由

Alloは「アカウントがなくても電話番号ひとつで登録できる」という、WhatsAppの利点を真似たメッセージアプリでした。Googleは2016年、これと動画通話アプリDuoをコンビでリリースしたのですが、2年半ともたずにAlloはサービス終了となり、Duoだけが残ることになりました。なんでこうなる…。

自分なりに原因を振り返ってみると、やっぱりあれですよね、Googleがデビュー直後からAndroidとAlloのバンドルをやめちゃったのが悪運のツキはじめだった気がします。Android端末を買うと、Duoは最初からインストールされているのに、Alloはわざわざ検索してダウンロードしないとダメなんですね。

もうひとつの原因は、Alloをまだインストールしていない端末にメッセージを送ると、届くことは届くのだけど、途中でサーバー外を中継して、ランダムな電話番号から届くSMSになっちゃって、見覚えのない電話番号からの発信になっちゃったことです。

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くっ...Alloまでなくなるなんて...
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

いちおう「Allo経由」という注記とダウンロード用リンクも表示されるので拡散努力とわかる人もいますけど、それも含めて迷惑メールっぽく感じられ、読まずにスルーする人も周りには大勢いました。

あと、メッセージアプリではよくあることですが、Alloもアカウントには端末と電話番号の登録が必要で、これも普及の足かせになっていました。Google/Gmailアカウントさえあれば利用登録できるGoogleのグループチャット「ハングアウト」とは大違いです。

代わりがない

Alloに代わるメッセージアプリがあれば、ここまで落ち込まないんですけど、なかなかないんですよね…。もちろんAlloの目ぼしい機能(チャット中にGoogleアシスタントに質問したり、受領確認できたり、リンク先をスニペットでチラ見したり、検索ツールでGIFアニメを探して貼ったり)はみなMessages (Android Messagesと呼ばれていたのに、いつの間にかMesasgesに名前が変わっていてややこしい)に取り込まれているので、その点はいいのですが。

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ステッカーはMessagesで残るのも多いけど、ちいさい悲しいペンギンは消えてしまうのか…
Image: Google

問題はMessagesのコアのメッセージ機能がRCSというメッセージプロトコルなことで、これが正常に機能するためには、GoogleやSamsungのような端末メーカーに加え、電話キャリアのサポートも必要。そのため端末とキャリアごとに通信環境がマチマチになっちゃうんですね。

RCSというのは、SMSの次をゆくプロトコルで、最先端メッセージ機能に期待される受領確認、高画質の動画・写真の共有などのことが、携帯電波に頼ることなく複数のデータネットワーク経由でできるのが特長です。

まだApple(iMessage)、AT&T、VerizonはRCSには対応していません(Verizonは年内対応予定)。RCS対応済みのSprint(最初に対応したキャリア)やT-Mobileを見ても、T-MobileはGoogleのユニバーサルプロファイルのRCS導入には準拠していなかったりするので、どんな端末でも正常に機能するという肝心要のところが実現できていないのです。

Alloがゆっくり自滅の道を歩む中、GoogleはグループチャットのハングアウトからSMS送信機能も排除しちゃったので、ハングアウトでAlloの穴を埋めるわけにもいかないし。

そんなこんなで利用者の間では「ハングアウトもAlloと同じ命運を辿るのではないか」という不安の声が広まっています(Googleは否定に躍起)。

生んだきり

隅に追いやられて放置され、死んでいくままにされたAllo。こんな扱いさえ受けなければAlloだって立派なハングアウトの後継になっていたはずなんですよ。機能もハングアウトより上だし、UIとデザインもキレイで、ビデオ通話アプリDuoの相方としても理想です。足りない部分はMessagesやHangoutsで補えば、トータルなメッセージ環境を実現できていただろうし、iMessageが使えなくなるのが不便でこれまでAndroid端末への乗り換えを控えていた人も一気にハードルが下がっていたのではないかと思います。

でもGoogleにはまったくそんなつもりはないようで、Alloに見切りをつけると、さっさとChat(RCSユニバーサルプロプロフィル準拠)をリリースしてしまいした。ChatもRCSもまだPRしていることが完全に実現できているわけではないので、こんな段階でAlloが使えなくなるのは本当に痛いです。