こんにちは。セールスコンサルタントの伊庭正康です。

集中して資料作成をしなければならないのに、メールやスマホをチェックしてしまうようなことはありませんか。実は、その一瞬が、大きなロスとなっているのです。

ニューヨーク大学のアダム・オルター教授の研究では、「1通のメールをチェックするのはたった6秒。しかし、一度でもメールチェックするだけで、元の集中した状態に戻すのに、約25分かかる」と言います。思った以上のロスが発生しているのです。

そこで、今回は、そんな誘惑に打ち勝ち、集中力をキープするための方法として、わずかな時間の休憩(プチ・ブレイク)を効果的にとる方法を紹介しましょう。

伊庭 正康 株式会社 らしさラボ 代表取締役

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リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社 らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理など、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。近著に、『仕事の速い人が絶対やらない段取りの仕方』(日本実業出版社)』『数字を上げる人のセールストーク・営業のキホン(すばる舎)』など著書多数。「無料メールセミナー」も好評。公式サイト

集中力が途切れる、疲れる前に休憩をとる

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Image: LanKogal/Shutterstock.com

実は、集中力を維持するために重要なことは、気合いを入れることではありません。うまく気合いを抜くからこそ、集中力を維持できるのです。つまりはメリハリです。

では、どのような休憩が効果的なのでしょうか。

心理学の見地では「頭を休める休憩」のこと。たとえば、散歩をしながら、山を眺めたり、木を眺めたり、いろいろなものに注意を向けるといった行為のことで、専門的には「選択的注意」と言います。集中している状態に、選択的注意を差し込むと、リフレッシュして、頭がリセットされる効果があるのです。

オフィスや自宅で仕事をするなら、窓の外を眺めるだけでも、気分が一新するのはそのため。コーヒーを淹れる、トイレに行くといったような、次への準備の時間に充てたり、デスクまわりの整頓周囲の片付けなど、後まわしにしがちなことに時間を充てるのもおすすめです。


効果的な「休憩のタイミング」とは?

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では、いつ休憩すべきか。「25分に1回の休憩を挟む」と良いでしょう。

これは、集中力を長く維持するテクニック、イタリアの起業家でもある作家のフランシスコ・シリロ氏が考案した「ポモドーロ・テクニック」に基づくメソッドです。ちなみに「ポモドーロ」とは、イタリア語で「トマト」のこと。シリロ氏が使っていたトマト型のキッチンタイマーが由来となっています。

もう少し解説すると、まず、25分間は集中しながら作業し、すぐに5分休みます。また25分の作業をし、5分休む、これを4回繰り返した後で、20分〜30分インターバルの休憩を挟むといったようにメリハリをつける方法です。こうすることで、長時間にわたって集中力を維持できるのです。

やり方は至ってシンプル。キッチンタイマーやスマホのタイマーを25分にセットして作業をするだけ。最近では、ポモドーロ・テクニック用のスマホアプリもあり、Google Chromeの拡張機能には、Strict WorkflowFocusMeなど、25分間だけメールやSNSを閲覧できなくする強硬なサービスもあります。自分のワークスタイルに合うものを使ってみてください。

やってみると気付きます。メールチェックをしようと、手が動きそうになりますが、むしろ「ここで、中断するわけにはいかない」といった感情になるのです。これこそ、ポモドーロ・テクニックの効果。そして、25分やりきってから休憩に入ります。

ここで休憩を取ったことが、その後のタフな仕事に良い影響与えるのです。

作業時間は、最長時間で見積もるのが最適

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Image: LanKogal/Shutterstock.com

では、1日の作業をポモドーロ・テクニックで行う場合、どのように作業時間を見積もれば良いのでしょうか。

まず、目の前にあるタスクをすべて書き出し、その中から今日1日で達成したいタスクを選択します。しかし、タスクにどのくらいの時間が必要なのか、わからないこともあるでしょう。

そんなときは、楽観値ではなく、悲観値で考えることがコツです。

ほとんどの場合、思った以上に時間がかかってしまうもの。最長時間で予想を立ててみてください。計画は悲観的に、行動は楽観的に、これが原則です!

今回は、効率的な仕事をするためには欠かせない「集中力を高める」方法として、わずかな時間の休憩をとる方法を紹介しました。つい、スマホに手が伸びてしまいそうなとき、ついメールチェックしてしまいそうなとき、または、少し体がだるいと思ったときなどに実践すれば効果をより実感できるはずです。


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