アメリカ人の71%は自動運転を信用していない

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  • author Matt Novak - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
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アメリカ人の71%は自動運転を信用していない
Image: David McNew/Getty Images News/ゲッティ イメージズ

気持ちは追いついていないのに、自動運転車はどんどん進化してます。

アメリカ自動車協会(AAA:トリプルエー)がおこなった調査によると、アメリカ人は自動運転の車に乗ることをとーっても怖がっていることがわかりました。テクノロジーのおかげで「ずいぶん楽になったなぁ」ではなく「もっと怖くなった」というのが本音のようです。

2017年から恐怖度は大幅アップ

調査によると2017年には63%の人が怖いと答えたのですが、2019年には71%もの人が自動運転車に乗るのが怖いと答え、なぜか恐怖度が大幅アップ! アメリカ自動車協会は、自動運転車を人々が怖がるのには明らかな理由があると分析しています。その理由とは、ここ最近起こっている自動運転車での死亡事故のこと。

2018年3月18日にアリゾナ州で自動運転中のUberに女性がはねられ死亡するという事故が起きました。同じ月にはカリフォルニア州でテスラの「オートパイロット」で自動運転中だった運転手の男性が事故で亡くなりました。こういった死亡事故によって、自動運転の見方に影響が出てきていると言えるでしょう。

「自動運転の技術は公共のステージで進化しています。その結果、消費者がどう感じるかに影響が出てきているのです」と語るのはアメリカ自動車協会のGreg Brannonさん。「自動運転車の技術に触れる機会があると、消費者の気持ちにある自動運転車に対する謎を少しでも取り除くことができて、受け入れる気持ちを持つ扉を開けることになると思うんです」とも語っています。

今回の調査の他の設問では、53%の人がテーマパークや空港などで低速で自動運転車に乗ってみるのなら大丈夫だと答え、44%の人がフードデリバリーや荷物の配達に自動運転車が使われるのなら大丈夫だと回答しました。

技術もそうだけど、心の準備も必要

興味深いことに今回の調査の前までは自動運転車に乗るということに安心感を持ち始めていた傾向があったのです。2017年前半におこなわれた調査では78%の人が自動運転車を怖がっていましたが、2017年後半には63%にダウン。そして今年、再び恐怖感が上がってしまったというわけです。またアメリカ自動車協会は、およそ55%のアメリカ人が2029年までに路上のほとんどの車が自動運転車になるだろうと考えていると言及しています。

アメリカ自動車協会によると以下の通り。

自動運転を信用していない、自分で運転したい、技術が追いついていない、道路状態はまだ自動運転技術に十分整備されていないなど、いろいろな理由を挙げて完全な自動運転車はまだ早いと言う人もたくさんいます。専門家もまだ完全な自動運転車が走り出すのは数十年先だと考えているようですが、来年くらいからは、これよりもさらに高い技術の自動運転車が道路を走り出すでしょう。

また、現在の自動運転の技術が持つ良い点と限界点を理解するドライバーが増えれば、将来完全な自動運転車が登場し、実際乗ることになった時により心の準備ができ、受け入れる気持ちになるでしょう。

現在4人のうち3人が自動運転車に乗るのを怖がっているという状況ですが、これから交通のあり方が大きく変わる前に、まず気持ちの準備をしておかなくてはいけないというのが事実。毎年アメリカでは3万7000人を超える人が交通事故で亡くなっています。そしてその死亡事故のほとんどが現在の「車」が起こした事故です。

自動運転に完璧を求めてしまいがちですが、これまで自動運転車が起こした死亡事故は一年で2、3件。そう考えると、酔っ払い運転や判断ミス、よそ見運転などが多い人間より信頼できるはずなのに、まだまだ機械に任せてしまうというのは、怖い気持ちのほうが大きいものなんですよね。どんどん変わっていく車のあり方に考え方も合わせていかなくてはいけませんね。

Source: AAA