やべえ鍵なくした!という体験がありますでしょうか?
思い返せばそれは私が中学生の頃でございました。その日はよく晴れておりまして、こうした気分の良い日は映画でも見に行きましょうかと、友人たちを引き連れて、私のよく行く街のシネマまで出かけたのでした。
しかし、もう何を見たのかすら頭に残っておりません。果たしてそれが面白かったのか、それとも悲しかったのか。それすらも思い出せないのです。それはそこまでに衝撃的な出来事でした。
アァ面白かった、帰りましょう。となった時、次々と自転車のロックを外す友人たちですが、いざ私もとなれど自転車の鍵がとんと見当たらないのです。確かにポケットに入れたはずなのですが、何度探しても、館内の紛失物としても見つかりません。
さて、困ったぞ。自宅までは20kmほど離れており、中学生の足で歩いて帰るのは難儀でございます。そして歩いて帰ったところで、自転車をこのままにしておくわけにはいかないのです。私の自転車はその当時よく見かける普通の自転車ではありましたが、それまで兄たちのお下がりをずうっと乗らされていた私からすれば、はじめての自分の自転車ということで、それはとても大切に乗っていた相棒なのでした。
そこで私は、この頼もしくも忌々しきロックを破壊するべきなのだという結論に達したのでした。日曜日の人の目も集まる中で、映画館の駐輪場でロック部分にカカト落としを連打する少年を見て、周りの人々はどう思ったのでございましょうか。今であれば通報されていてもおかしくない。いや、当時でも通報されていてもおかしくない状況でございましょうが、私の頭の中にはこの状況を解決できる可能性が、破壊しかなかったのです。
私はフグ、アンディ・フグなのだ。
偉大なる格闘家たちの姿を自分に投影し、何度も後輪ロックの弱点にカカトを打ち込んだ。14の春のことでございます。
それがどうでしょうか。2019年では指紋ロックで解錠できるU字ロックがあるのです。
その名も「U・Be・Lock」は、バッテリーを内蔵しており、指紋センサーに指を触れるだけで1秒で解錠。USB-Cで充電でき、防水仕様。万が一の時は物理鍵でも解錠できるので、2倍の安心感を備えています。
価格は8,980円。もしも時間の流れが可逆であるならば、あの時のアンディ・フグになった少年へ渡すことができるのであれば…。帰宅の代償としてロックとスポークに深刻な負傷を受けた彼の自転車は、どれだけ救われる事でございましょう…。
Source: サンコー