なにが変わったのでしょう?
CEOであったブレンダン・イリーベが退陣してから、Oculus(オキュラス)は、PCを置き去りにしてスタンドアロンVRヘッドセット「Oculus Go」やこれから展開されるOculus Questに注力しだしました。2016年にリリースされたオリジナルのOculus Riftの後継機種の展開を約束していましたが、ここにきて、ようやくOculus Rift Sが発売されましたね。
でも残念なことに...あんまりぱっとしないんですよね。
たしかにRift Sは前機種からアップグレードされています。でも他社製のVRヘッドセットと比較すると、Oculusはもっともっといいものになっててもよかったんじゃないか、という気がしてなりません。
解像度2160×1200ピクセルの初代Riftと比較すると、Rift Sは2560 x 1440ピクセルのLCD スクリーンとなっています。でも、片目の解像度が1440×1600のVive Proや2160×2160のHP Reverbと比較すると、Rift Sの片目の解像度は1280×1440で、他機種と比較してもちょっと低めになるのです。
VR酔いには弱いが快適さはアップ?
さらに、Rift Sの新しいスクリーンのリフレッシュレートはRiftの90Hzと比較して80Hzと低くなっています。10Hzはそれほど大きな違いではありませんが、リフレッシュレートを高くすることで「VR酔い」を低減できるとされていることを考えると、Rift SはVR酔いには少し弱くなってしまったのではないでしょうか。Oculusがリフレッシュレートを低くした理由はわかりません。デザイナーが妥協したか、コストを削減した結果かもしれません。
Oculus Goと同様、Rift Sは新しいタイプのレンズがついており、 Oculusの第1世代で問題となった「ゴッドレイ(黒背景に白いものを表示した時に発生する光の筋)」を低減しています。Lenovo(レノボ)の支援を受け、重量配分と光の遮断が向上し、HaloヘッドバンドもPSVRやHP Reverb(HPリバーブ)と似たようなものに再設計して、Oculusによれば、Rift Sはより快適になっているとされています。
Rift Sにはヘッドセットにスピーカーを内臓しています。3.5mmのジャックで自分のヘッドフォンを接続することも可能です。Rift Sには瞳孔間距離を調整する物理的なダイヤルがありません。Oculusでは、瞳孔間距離(右目の黒目の中心から左目の黒目の中心の距離を測ったもの)をソフトウェアで調整するようになっています。
最大のアップグレードは5台のカメラ
Rift S最大のアップグレードはヘッドセットに内臓された5つのカメラです。フロントに2台、両サイドに1台ずつ、上部にひとつ。これでルームスケールに対応するために60ドル(7,800円)するOculusのセンサーを別途購入する必要がなくなります。部屋を見るだけでヘッドセットがユーザーの動きを追跡できるようになりました。
これらのカメラで、OculusがPassthrough+(パススループラス)テクノロジーと呼んでいるヘッドセットの外をみる技術もパワーアップされました。カメラを通してヘッドセットの中から「ステレオコレクト」ビジョンで外界を見ることができるようになります。 見えるのは白黒の世界にとどまりますが、Passthrough+ では必要なときに外界を見ることができるようになって便利です。これでゲームをしながら壁にぶつかってしまうということがなくなります。VRゲームのレベルをクリアしたらヘッドセットをつけたまま、さっと視界を切り替えて飲み物を取りに行く、とかいうこともできますね。
Rift Sでは周囲のトラッキングにRiftと異なるソリューションを使用していますが、Rift Sは今までと同じコアプラットフォーム体験を約束しており、これからも第1世代のRiftと同じゲームをプレイできます。
VR機能は充実していないが安いのはうれしい
向上点の多くは便利さに焦点をあてていてうれしい限りですが、アップグレードのどれもOculusのVR機能にかかわるものではありません。視線トラッキングもなし、フォービエイテッド・レンダリングも言及なし、解像度の向上はほんの少しだけ。コントローラへの変更は、トラッキングリングを動かした点。これはRift Sのカメラが見やすくなったというだけにすぎません。
喜ばしい点は、Rift Sは第1世代のRiftと50ドル(約5480円)しか違わないところ。HP Reverbより200ドル(約21950円)も安く、Vive Proよりも400ドル(約4万3900円)も安くなっています。(この価格はヘッドセットだけでコントローラもLighthouseも入ってません)。なので、Riftの買い替えを考えている場合や、VRを初めて購入する場合は、Rift Sはフレンドリーなオプションでしょう。もうすぐ実際に試してみる機会があるので、その後もう少し詳しくご報告できると思いますよ。お楽しみに。
Source: Wikipedia