Google Stadiaの競合サービスまとめ。ゲームストリーミング戦争はもう始まってる…!

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  • author David Nield - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
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Google Stadiaの競合サービスまとめ。ゲームストリーミング戦争はもう始まってる…!
Image: Alex Cranz/Gizmodo US

Googleは追いつけるのか?

Googleがクラウドで動くゲームサービス・Stadia発表しました。これは…!と期待は大きいのですが、ゲームをストリームするというコンセプト自体は新しいものではなく、すでにいくつか先行しているサービスがあります。

まずStadiaとは何かをおさらいすると、要はGoogleのサーバ上でゲームを動かして、それを任意のデバイスに最大4Kの解像度でストリームしてくれる仕組みです。デバイスはChromeを動かせるか、Chromecastのプロトコルをサポートするかしていれば、基本なんでもOKとされています。

クラウドでゲームを動かすので、Stadiaではかなりクールなことができます。たとえばデバイスを簡単に切り替えたり、「State Share」といってプレイ中の状況そのものを他の人に共有したりといったことです。でもディテールについてはかなりの部分が謎で、接続速度の問題もあるし、いったいいくらで使えるのかもわかっていません。

Stadiaを使うには、高速なネット接続と、入力側と出力側の両方でラグを最小限にする方法が必要ですが、GoogleはWi-Fiに直接つながる独自のコントローラーでそれを実現しようとしてるみたいです。実際開始してみないと、本当にどれくらい使えるものなのかはわかりません。でも今すでに同じようなことを実現しているサービスがあり、Stadiaはそれらと直接競合していくことになります。以下、そんなサービスをまとめていきます。

Nvidia GeForce Now

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Image: Nvidia

NvidiaがGeForce Nowを立ち上げたのは2015年でしたが、2019年の今でもベータ段階です。そのこと自体、ゲームをストリーミングするのってやっぱり大変なのかな…と不安になるところはあります。考え方はGoogle Stadiaと同じですが、NvidiaのGPUとかハードウェアがゲームを動かしていて、それをWeb経由でユーザーのデバイスにストリーミングするという流れです。

動画の解像度とフレームレートには1080p・60fpsという上限がありますが、Google Stadiaと違うのは、少なくともすでに稼働していることです。1080pの場合は接続速度50Mbps以上推奨されていて、25Mbps以下だと720pに落とす仕組みになっています。連続利用時間はセッションあたり4時間までという制限もあり、時間がくるとセッションをセーブして再度やり直さないといけません。

GeForce NowはもともとAndroid TVのコンソール・SHIELDでしか使えませんでしたが、今ではWindows PCやMacでも使えるようになりました。クラウドにあるリモートのWindows PCにアクセスして、そこに400以上のゲームタイトルから好きなものを選んでインストールし、パソコンやSHIELDにストリーミングする仕組みです。SHIELDでプレイする場合は、いくつか無料のゲームも(最新タイトルじゃなくて数も相対的に少ないですが)プレイできます。

ゲームプレイはクラウド上にセーブされるので、複数のデバイスを切り替えながらプレイできます。無料でプレイできるゲームが(古めのが多いですが)数百タイトルあり、有料で新しいゲームも追加できます。オンラインマルチプレイヤーにも対応しています。

GeForce Nowはずっとベータとはいえ、始まったときよりは進化しています。他社と同様、Nvidiaはこのゲームストリーミングの世界がどうなるかを見極めている段階なのです。正式ローンチまでは無料で使えますが、残念ながら利用できる地域は北米とヨーロッパに限られていて、その地域にいる人でも使うにはウェイティングリストに登録して待つ必要があります。Stadiaの発表を受けてNvidiaも正式ローンチに踏み出すのか、どうなんでしょうか?

Shadow

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Image: Blade

ShadowはフランスのBladeという会社が運営するサービスで、上のGeForce Nowと同じように、クラウドの中にユーザー専用の強力Windows 10マシンを用意します。GeForce Nowと違うのは、このマシンをゲームだけでなく動画編集みたいな重たい作業をするのにも使えることです。そしてBladeいわく、接続速度は比較的遅い5Mbpsでも大丈夫です。

構成としては基本的にリモートデスクトップで、接続が5Mbpsの場合、動画は最大720p・60fpsでストリーミングされます。ただし推奨はもっと速め、特にゲームの場合は15Mbpsで、高速にすれば1080pとか4Kといった高解像度での利用もできるようになります。Bladeいわく、ShadowではAIにもとづく独自技術を使うことで、接続系の問題を事前に予測してそれに合わせた対処ができるそうです。

料金は月ごとに支払う場合で月35ドル(約3900円)、1年分まとめて払うと1カ月分は30ドル(約3300円)になります。どちらの場合も最初の30日は無料トライアルが可能です。ゲームもしたいけどせっかくだから他のこともしたい人には、Shadowがベストかもしれません。ただこのサービスも日本では使えず、使えるのは米国、イギリス、フランス、スイス、ベルギー、ルクセンブルグ、ドイツのみです。

使える機能という意味では、Shadowを使うとWindows 10マシンが手に入るのと同じようなものですが、いくつか制限があります。たとえばVPNの利用は推奨されていないとか、仮想通貨のマイニングはダメ、とかです。ShadowアプリはWindows、macOS、Android(Android TV含む)、iOSで使えます。

最近Bladeは、Shadowのゲーム機能にフォーカスしたセットトップボックス・Shadow Ghostを140ドル(約1万5500円)でローンチしました。コンピューターやスマホのアプリを使う代わりにShadow GhostをTVに直接つなぎ、コントローラーをくっつければプレイできるというものです。

PlayStation Now

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Image: Sony

ゲームコンソールで強固な地位を確立しているソニーとMicrosoftですが、彼らはゲームストリーミングにもすでにきっちり手を出しています。ソニーやMicrosoftがGoogleに虚をつかれたわけじゃなく、どちらかというとGoogleがソニーやMicrosoftを追いかけてる感じです。

ソニーのPlayStation Nowは、ゲームタイトルの数とか対応デバイスは限られているものの、2014年にスタートしたストリーミングゲームサービスです。PS4や専用アプリの入ったパソコンにゲームをストリーミングできて、入力にはDualShockコントローラーを使います。ストリーミングの解像度は720pが上限ですが、接続速度は最低5Mbpsでよく、マルチプレイヤーでも遊べます。

プレイできるゲームは、この記事執筆時点ではPS2やPS3、PS4の750タイトル以上から選ぶことができ、今も増え続けています。どちらかというと最新メジャータイトルよりも古めのタイトルが推されてる感じですが、一部のPS4のゲームはダウンロードしてローカルでプレイできます。PlayStation Nowの料金は月額20ドル(日本向け2,315円)、3カ月まとめて先払いだと45ドル(同5,463円)、あとは米国だと年間100ドル(約1万1000円)のプランがあるんですが、日本にはこれに相当するものがないみたいですね。無料トライアルは日本でも使えます。

PlayStation Nowが使えるのは米国、カナダ、イギリス、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、アイルランド、ルクセンブルグ、オランダ、スイス、スペイン、イタリア、ポルトガル、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、そして日本です。オンラインマルチプレイヤーもサポートされてます。ゲームタイトルをPlayStation 4と別のWindowsマシンで切り替えながら使えます。

PlayStation Nowは、Google Stadiaがやろうとしていることを、より慎重に実現しているような感じです。以前はBraviaのTVとかより多くのデバイスで使えたんですが、その後スケールバックされてしまいました。実際使っている人からは、タイトルが少ないとか安定しないといった声もあります。でもソニーにとってもまだ様子見段階なのだとしたら、それも仕方ないのかなと思われます。

Microsoft Project xCloud

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Image: Microsoft

ではMicrosoftによるゲームストリーミング、Project xCloudはどうなってるんでしょうか? 今まで入ってきた(あまり多くない)情報によれば、すごくStadiaっぽい何かです。「我々が描いているゲームの進化は、音楽や映画のそれと似ています。エンターテインメントはオンデマンドになり、どんなスクリーンからでもアクセス可能になるべきです」MicrosoftのKareem Choudhry氏は2018年10月、こんな風に語っていました

「最先端のグローバルなゲームストリーミングテクノロジー」と称するProject xCloudは、Xboxのゲームをクラウドに載せるものですが、デベロッパーはそのために何もしなくていいとされていて、その点Stadiaより一歩進んでいます。そしてMicrosoftは、すでにゲームコンソール生産やサーバ構築といった必要なノウハウを十分すぎるくらい持っています。

公開トライアルは今年始まる予定で、操作はXboxワイヤレスコントローラーでしますが、一部タイトルではモバイルデバイスからのタッチ操作にも対応予定です。接続速度については、非公開のテストは10Mbpsで実施中とのことなので、Stadiaほど高速性が必要じゃないのかもしれません。

MicrosoftにはAzureやXbox、Windowsといったクラウドやゲームサービス、プラットフォームがあるので、Stadiaの競合の中でもベストなポジションにいるのかもしれません。Project xCloudがいくらでいつ、どこで使えるのかはまだわかりませんが、月10ドル(約1,100円)のXbox Game Passと「何らかの合理的な形で共存」すると言われています。

より詳細な機能とか価格、開始時期などなどはまだわかりませんが、今年6月のゲーム見本市・E3ではもっといろいろわかると期待されます。ソニーと同様、Microsoftは当面従来のコンソールとストリーミングの両方をやっていくことになりそうです。Microsoft自身、Xboxのコンソールは「フラッグシップ体験」としてキープしつつ、ゲーミングサービスはOfficeやSkypeのようにどんなデバイスでも使えるようにしていく、というをしています。

Source: NvidiaShadowTechCrunchPlay Station NowEngadgetMicrosoftWindows Central