子育ての初期段階では、わずかなミスが崩壊をもたらすような気がします。そう、ジェンガのピースを抜く作業に思えるほどに。
そんな時期には、フルタイムをやめてパートになるという選択肢が魅力的に思えるかもしれません。「パートでいいや」と、仕事の範囲も給料も減らしてもらえるよう、上司に交渉しようとしているあなた。
確かに、家族との時間が増え、キャリアも捨てずに済むその選択肢は、Win-Winのように見えるかもしれません。
でも、要注意です。オバマ元大統領の妻でもあるミシェル・オバマさんは、自伝『Becoming』で、パート勤務になるのは「罠になりかねない」と述べています。
出産後ハーフタイムで戻ろうとしたが…
前ファーストレディであるオバマさんは、愛娘マリアちゃんが生まれた数カ月後、シカゴ大学副学部長のポジションに「ハーフタイム」で戻れるように交渉しました。多くの親と同じで、それが自分のためにも家族のためにもなると考えたからです。
これで、キャリアウーマンと完璧な母親を両立できる。ずっとあこがれていた、Mary Tyler MooreとMarian Robinsonのバランス点に立つことができる。そう信じていたのです。
しかし、現実は…
多くの親と同様、オバマさんの理想は、すぐに打ち砕かれることになります。
職場では、それまでと同じ会議に出て、仕事の範囲もほとんど変わりませんでした。
唯一の違いは、給料が半分になるとともに、週20時間の勤務時間にすべてを押し込まなければならなくなったこと。会議が延びれば、家に飛んで帰ってマリアを拾って、午後の習い事に間に合うように送って行かねばなりません(マリアは熱心でハッピー、私は汗だくで過呼吸)。
私にとってそれは、正気の沙汰ではない二重苦のようでした。家で仕事の電話を受けるたびに罪悪感を持ち、職場で仕事中にふと「マリアはピーナツアレルギーかもしれない」と思ってしまうことにも罪悪感を持つ毎日。
自由を増やすためにパートタイムで働き始めたはずなのに、蓋を開けてみると何もかもが中途半端で、人生のすべての境界線があいまいになってしまいました。
パートタイムで戻れることはラッキーだけども…
とはいえ、パートタイムの可能性を検討できる立場にあることには感謝しなければなりません。その特権に恵まれている人は、そんなに多くないからです。
選択肢は、多いに越したことはありません。従業員のワークライフバランスを大切にしている会社は素晴らしいと思います。そして、パートタイムでもうまく行く職種もあるでしょう。
単純なシフト勤務であり、かつ仕事は職場のみで完結するような職種、たとえばER勤務の医師などです。
フルタイムと同じ仕事でも給料は時給?
ただ、多くの仕事は、そのようにはできていません。筆者はかつて、SNSエディターのパートをしていたことがあります。
当初は小さな子どもがいるママにとってこんないい仕事はないと思っていたのですが、いざ始まってみると、週25時間分のお金しかもらえないのに、常にがんばらなければならない自分に不満がたまる一方でした。
仕事でそれなりの成果を出すためには、関連コンテンツ探しやオーディエンスとのエンゲージのために、一部の能力を常に「オン」状態に保たねばなりません。「これってけっきょくフルタイムじゃん!」と何度嘆いたことか。いえ、境界線が引ける仕事なら、フルタイムのほうがずっとマシです。パートの仕事で明確な線を引くのは、あなたが思うよりもずっとずっと困難だと思います。
対策は一人一人違う
タイムマネジメントの専門家Laura Vanderkamさんは、Forbesのインタビューに対し、パートで働くことには「害のほうが大きい」と答えています。
たとえば50%にまで仕事を抑える必要がある人は、パートを選んだほうがいいでしょう。でも、80%の時間に抑えるのであれば、今のままでもいいはずです。だってみんな、勤務時間の80%しか仕事をしておらず、残りの20%はSlackをしているだけですから。
Slackは論外としても、週4日勤務(10時間×4日など)、家事のアウトソース、上司と正直に話すなど、巷にはさまざまなハックがありますが、いずれも一筋縄ではいきません。何もかも手に入れることなど、誰にもできないのです。
とにかく、自分のワークライフバランスを改善するためにパートになるというアイデアは、慎重に考える必要があります。少なくとも、オバマさんにとってそれは罠でした。このことについて、オバマさんはこう記しています。
この教訓は、私の中の「多くの人がもっと早く知りたかったこと」ファイルに入れられることになるでしょう。
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Image: Sean Gallup/Getty Images
Source: Forbes, Scary Mommy
Michelle Woo - Lifehacker US[原文]