ミノムッチつよい。
クモから採取できるクモの糸。あれってものすごく頑丈な天然繊維で、クモ糸を使った産業や研究も世界中で行われてるんですよね。初めて知ったのはニュースだったかな、自然ってすごいなーと思った。
が、そのクモ糸を超える頑丈さをもった天然繊維が発見されたのをご存知でしょうか。その正体は、ミノムシの糸。2018年末ごろからミノムシ糸は注目されていたのですが、このたび農研機構がミノムシ糸の強度の科学的解明に成功。科学的にもマジで強いってことが明らかになりました。
ミノムシの糸は硬い
農研機構と豊田工業大学は、ミノムシ糸の成分であるタンパク質の一次構造および二次構造、高次構造を解析しました。すると、ミノムシの糸は結晶領域と非晶領域が周期的に繰り返した秩序性階層構造をもち、その秩序性はカイコやクモの糸に比べて圧倒的に高いことが判明。この秩序性階層構造のおかげで、引っ張ったときも糸に働く応力が個々の結晶にまんべんなく分散するため、硬い性質を発現するそうな。
高破断強度・高タフネス
また、放射光施設で繊維を伸ばした際の構造変化を調べたところ、ミノムシの糸の高秩序性階層構造は糸が伸びる過程でも崩れず、糸の切断まで維持されることが分かりました。伸ばしても簡単には崩れないという高度な秩序性階層構造は、ミノムシ糸の高破断強度・高タフネスな性質に繋がっているとのこと。
つまり、ミノムシ糸は引っ張りにも千切れにも強い最強繊維であることがわかっちゃったのです。弾性率、破断強度、タフネスのすべてにおいてクモ糸を上回るスペック! クモ糸を武器にする系のキャラに勝てるぞ、ミノムシ糸。
天然繊維の定番のカイコは、1回の糸吐で約1,500mの糸を出しますが、糸を出すのは一度限り。また、天然のクモ糸の採糸は、クモが共食いをするため量産化に難ありとされています(そのため、人工クモ糸の研究も盛ん)。対してミノムシは何度でも採糸可能というのも利点で、産業利用もしやすいと思うんですよね。
強度の構造的秘密が明らかになれば、その構造を模倣してさらに便利な素材が生まれる可能性もあります。鳥の翼や蜂の巣のヘックスに物理的意義を見出すように、ミノムシから始まる新素材だって夢じゃありません。バイオ素材って、身近なところにあるもんだなぁ。
Source: 日本の研究.com