リコーのコンデジ「GR III」レビュー:ポケットに入って画質は本格的。このカメラだから撮れる1枚がある

  • 73,488

  • author かみやまたくみ
  • X
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
リコーのコンデジ「GR III」レビュー:ポケットに入って画質は本格的。このカメラだから撮れる1枚がある
Photo: かみやまたくみ

こんなに楽しいカメラがあっていいのでしょうか。

ぼくがカメラに求めるのは「持ち歩く気になること」です。スマホで写真を撮り始めたぼくにとって、いかに高性能であろうともカメラはプラスαで持っていかなければならない“荷物”です。必携品のスマホでも写真は撮れるのですから。わざわざ持っていく気になるだけの性能があるのか否か、そんな目線でカメラを選んでいます。

CP+2019で触れたリコーの「GR III」は小型・高画質路線を貫いてきたGRシリーズの最新機種であり、ポケットサイズながらセンサーはAPS-C。持ち歩きのしやすさにも画質にも期待が持てます。刺さらないわけがありません。レビューのために使ってみると癖を感じる部分もありましたが、「常にカメラで美しく撮れる」というのは控えめに言って最高です。

Ricoh GR III

DSC05341
Photo: かみやまたくみ

これは何?:ポケットに入ってハイクオリティな写真が撮れるデジタルカメラ

価格:12万1500円(税込)

好きなところ:コンパクトさと画質を両立しているところ、低照度でも使いやすいところ

好きじゃないところ:AFに癖があるところ(特にマクロモード時)

コンパクトで速写性も優秀

R0000083
Photo: かみやまたくみ

このコンパクトさがGR III最大のウリであり、魅力です。ズボンのポケットに入るサイズです。どこにでも持ち込めますし、どこででもスッと抜き出せます。

撮るのも速いです。電源ボタンを押してから撮れるようになるまでの時間が非常に短く、スマホでカメラアプリを呼び出すよりもすばやい撮影が可能です。シャッターボタンを押してからの反応も速く、編集部・綱藤が「GRってこんな速かったっけ?」とつぶやいていたくらい。

携帯性に優れ、すばやく撮れるという性質上、スナップカメラ・旅カメラとして極めて優秀です。

R0000057
立ち止まりにくい観光地の人混みで一瞬の隙を狙って。少しクロップしています。
Photo: かみやまたくみ


R0000036-2
観光地の往来で人通りの少ないタイミングを見計らって。少しだけクロップしています。
Photo: かみやまたくみ


R0000373
移動中に適当にシャッターを切ったもの。
Photo: かみやまたくみ


ポートレートも撮りやすいです。仕事の合間に同僚たちが見せるちょっとした表情なんかもさくさく拾えました。

R0000465
居眠りの証拠を押さえるなど造作もありません。
Photo: かみやまたくみ


R0000413
気分転換にカメラをかまえる人が多いギズ編集部の一幕。
Photo: かみやまたくみ


R0000493
真面目に考えているようでたぶん何も考えていないときの顔。
Photo: かみやまたくみ


R0000177
プログラムオートや露出AEでポートレートを撮る場合、「被写体がカメラを認識し、軽く表情をキメられる」くらいのスピード感がスイートスポットです。すばやいカメラですが、一呼吸置いてシャッターを切るほうが失敗しにくく綺麗に撮れる感じです。
Photo: K.Yoshioka


GR IIIを持っているのが当たり前になるのに時間はかかりませんでした。撮る枚数も格段に増え、多く撮ればうまく撮れるものも出てくるわけで、「オレ、写真うまいんじゃね?」という幸福な錯覚に浸れる回数も激増。

「ポケットサイズでこの画質」が生み出す中毒性

GR IIIのセンサーサイズはAPS-Cで、有効画素数は約2424万画素。レンズは焦点距離が35mm換算で28mm、開放F値が2.8。ボケ感・解像感ともにすばらしいです。寄り気味でパースをつけた絵は本当に撮りやすく、綺麗ですね。以下、特に記載がない作例はISO100で撮影しています。

R0000019
F2.8で撮影。開放付近でボカして撮るのは得意中の得意。
Photo: かみやまたくみ



R0000017
マクロモード・F2.8で撮影。6cmまで寄れます。
Photo: かみやまたくみ


R0000286
F3.5。
Photo: かみやまたくみ


R0000283
最大F値は16。水の中もすっきりと写っています。
Photo: かみやまたくみ


R0000266
F16。
Photo: かみやまたくみ


R0000305-2
F16。中央付近はかなりキリっと写ります。
Photo: かみやまたくみ


R0000292
F16。
Photo: かみやまたくみ


R0000326
F16。周辺部分は精細感がやや失われています。風景写真だとそれなりに目立ちますね。
Photo: かみやまたくみ


R0000350
手前が白飛びしているように見えますが、ギリギリ飛んでいません。
Photo: かみやまたくみ


使っていてダイナミックレンジ広めに感じました。快晴の日中など、ハイライトや影が飛びやすい状況でもそこまで設定に苦労しなかったです。

レンズが単焦点なので工夫が必要なシーンも多いですが、的確なアングルを見つけられただけいい絵になるのであまり苦にならないですね。持ち運びが楽なので、足で適切な撮影ポイントを探しに行く敷居も低いですし。GR IIIとのシンクロ率が上がれば撮れる枚数がますます増え、さらに楽しくなっていきます。

低照度でも使いやすい

ダイナミックレンジの広さは低照度でも生きます。その場に漂うエモみをうまく写真に収めていける感。レビュー期間後半は暗いところでばかり撮っていました。

ノイズが本格的に目立ち始めるのはISO2000〜3000くらいからでしょうか。5000でもそれなりに見栄えはし、SNSやWebの記事で使う分には実用範囲かなーと思います。

基本的にマニュアルで撮影しています。

R0000573
ISO100・F2.8。日の出直前の微妙な雲の色合いが出せました。
Photo: かみやまたくみ


R0000581
ISO100・F2.8。
Photo: かみやまたくみ


R0000436
ISO250・F6.3。少しクロップしています。
Photo: かみやまたくみ


R0000074
ISO1000・F2.8。ノイズはまだあまり目立たない感じ。
Photo: かみやまたくみ


R0000639
ISO1000・F2.8。ISO1000〜2000くらいはふつうに使えると思います。
Photo: かみやまたくみ


R0000231
ISO1600・F4.5。
Photo: かみやまたくみ


R0000651
ISO2000・F2.8。
Photo: かみやまたくみ


R0000662
ISO2500・F2.8。
Photo: かみやまたくみ


R0000078
ISO4000・F2.8。ノイズは目立ちますが、色飛びがなければ結講見れます。
Photo: かみやまたくみ


R0000425
ISO5000・F6.3。マクロモードで撮りたかったのですが、うまくフォーカスせず断念。
Photo: かみやまたくみ


携帯性が高くシャッターチャンスを逃しにくいうえに対応力も高め。想像以上にオールラウンドに使える性能で、かなり懐が深いです。すぐに飽きるカメラではなく、かなり長く使えるのではないかと。

AFに癖あり

ただ、AFが妙に効きにくくなることがあり、それにはあまり慣れられず終いでした。被写体を中央に捉えても延々と迷い続けて焦点がちっとも定まらないときがあるんですよね。マクロモードで発生しやすく、諦めてノーマルモードに切り替えてしまうことがほとんどでした。マクロモードのAFには謎が多く、明るいところでも延々と迷い続けることがありました。ノーマルモードでは滅多に発生しないので、決定的な問題になることはありませんでしたが…。

※低照度・暗所でのAF性能を改善するファームウェアのアップデートが4月23日に公開されました。

外観とユーザーインターフェース

UIについては素朴に使いやすいなと。

DSC05327
Photo: かみやまたくみ


DSC05339
Photo: かみやまたくみ


DSC05329
動画録画ボタン
Photo: かみやまたくみ


DSC05342
バッテリースロット&SDカードスロット
Photo: かみやまたくみ


UIでいちばんよかったのは背面液晶が綺麗なこと。ちゃんと撮れたことがすぐにわかるのは大事。背面液晶はタッチ操作に対応していて、フォーカスもできればメニューも選べます。強いていうなら、液晶はチルトしてくれてもよかったかなーと。レンズが広角な関係で下から煽って撮りたくなるシーンがとても多いので。あ、ファインダーはありません。

GR IIIだから撮れる1枚がある

あれこれ書いてきましたが、スペックで因数分解して見ていくとGR IIIというカメラの真価がかえって見えにくくなる気がしますね。その良さはやはりスマホでもフルサイズでも撮れない写真を撮れる可能性を秘めているところにあります。

SDカードの中には「GR IIIがなかったら撮らなかったな」という写真がたくさん残っています。たとえば、作例で出した同僚たちの写真なんかはスマホではうまく撮れなかった気がします。オフィスって結講ライティングが厳しいですから。かといって、わざわざフルサイズを持ち出すかと言うと…?

GR IIIがあれば、そんなささいな一瞬で遊び、楽しみ、切り取ることができるのです。

プラスα:GR IIと比べて

DSC05337
(左)前モデル GR II、(右)GR III。GR IIIのほうが若干コンパクトです。
Photo: かみやまたくみ


DSC05338
デザインや設計に共通しているところは多いが、GR IIIのほうが筐体サイズもレンズも小さくなっています。
Photo: かみやまたくみ


前モデルGR IIと比較すると結講なスペック差があり、価格差を考慮しても今買うならGR IIIがいいように思います。

・画素数:1620万画素→2424万画素

・手ブレ補正なし→あり

・さらにコンパクト化

・価格差は約3万円:GR IIの価格は8万9100円(税抜)

Source: Ricoh

2019年4月25日18:45:誤字を修正いたしました。

GR III ほしい?

  • 0
  • 0
リコー

シェアするX