デジタルモーターとは関係なくても発揮されるダイソンイズム!
ダイソンといえばパワフルな掃除機、そこから派生して扇風機やドライヤーなど独自のテクノロジーでいっきにブランド力を高めてきた印象があります。
そんな同社の最新製品ラインは、なんとスマートランプ。ほかの照明器具と一体どんなところが違うのか......今回は、米GizmodoのAndrew Liszewskiによるレビューをお送りします。
ダイソンの製品を目前に「値札に見合う価値があるのか」と考えたことはありませんか? たしかに、初めてダイソンの掃除機が登場したときは類い稀なるイノベーティブな存在感を放っていました。紙パック不要、コードレスでパワフルな掃除機は、圧倒的に競合他社と差をつけていたはずです。
同じことは、スーパーソニックヘアドライヤーにもいえます。5万円近い高値ではありながら、さすが普通のドライヤーとは違う...!と高く評価されたものです。このようにわりと良い流れで新たに登場したのが、スマートランプ「Dyson Lightcycle」ですが、実際に使ってみるとちょっとした風向きの変化を感じずにはいられませんでした。
Dyson Lightcycle Lamp
これは何? :光を自動調整できるスマートランプ
値段:6万9120円(税込、デスク用)/9万2880円(税込、フロア用)
好きなところ:エンジニアリングの傑作品!
好きじゃないところ:電源をつけるのに、何度も再起する必要があった
もともと、ダイソン創業者の息子にあたるJake Dyson氏によって開発されたLEDデスク用ランプは、2012年にアメリカでリリースされています。
それから数年の月日が流れ、全世界向けにつくられた「Dyson Lightcycle」には、色の自動調整やUSB-Cポート充電のほか、必要に応じて明るさを増強できたり、朝方になると少しずつ明るく照明が点いて目覚ましになったり...といったスマートな機能が追加されました。
デザインに着目すると、いわば建設現場にあるクレーンのミニバージョン。スッと細い垂直のラインで、ミニマルな印象です。電源ボタンは下部にあります。全体的にバランスがとれていて、360度回転式のアームも滑らかに動きます。
光の明るさや色温度の調整は、2つの細長いボタン(以下の画像参照)で手動でできるようになっています。ただこの点がちょっと厄介で、ボタンが小さめであることから微妙な調整が難しいのです。
裏にも3つのボタンがあって、これはたとえばモーションセンサなどの機能などに対応しています。デスクに近づいたり離れたりすると自動で電源を入/切できるようになっています。
水平アームの真ん中を走るのは、LEDのヒートシンクとして機能する銅のパイプ。パイプの内部には、LEDを冷やすために一定のサイクルで蒸発・凝縮する液体が通っています。これにより、ダイソンが約束する寿命の延長が可能になるのだとか。また、色温度の精密性もここで維持されます。
聞こえは良いですが、高額な値段と引き換えにほしいランプの機能であるかどうかは微妙かもしれません...。ある意味では、エンジニアリングのためのエンジニアリングなのです。
Lightcycleの機能を最大限に活用するならば、ダイソンの無料モバイルアプリを使わない手はありません。
でもダイソンの扇風機やファンヒーター、ロボット掃除機とはちがって、スマートライトはwifiでなくBluetooth接続式。これにより広い部屋ではリモートでのコントロールができないという難点があります。しかも、アプリ以外に細かい機能をいじる方法はないのです。
セットアップで現在地を特定すると、太陽のごとくランプが時間ごとに色温度を自動調整してくれます。室内で長いあいだ作業する人たちにとって、屋外とのつながりを感じてリフレッシュできるような機能になっています。
ただ、個人的には暖色系の色温度が好みなのですが、なぜか私のランプは一日中、寒色系の色温度を照らす傾向があります。気がついたら自動追跡機能をあきらめて、明るさも色温度も手動でセットしていました。でもこれで、物理ボタンよりもアプリのほうが細かく調整ができることがわかりました。
実際に使ってみて思ったことはほかにもいくつかあるのですが、どれも600ドルという値札を肯定しづらいものでした。
たとえば、Lightcycleは作業用ランプとして最適なのですが、部屋全体を明るく照らしてくれるものではありません。そのため個人的には20ドルのイケアのランプのほうが重宝した気がします。それから私のデスクは壁に沿って置いてあるのですが、Lightcycleが壁にぶつかりがちだったのも使いづらく感じるところでした。
なかでも、動作面で気になった点があります。Lightcycleは時折ソフトウェアアップデートが必要なのですが、クラッシュすることがあったのです。これまでにもアップデートが必要なランプを使ったことはあっても、今回のようなケースは初めてでした。
スマホでも、動作がおかしいときには再起動したりしますが、Lightcycleに限ってはアプリや物理ボタンを使っても電源をオンにできず、再起動するにはコンセントを抜いて完全にリセットするよう促されました。
最後に、このランプは一般の消費者向けかというと、そうでない気がします。機能だけでいえば、安価で手に入る色温度を調整できるスマート電球とほぼ同じだからです。太陽光が恋しければ、外を歩けば良いだけの話なのかもしれませんし。
でも、デスクに張り付いて仕事をする人や、もっと具体的にはグラフィックデザインや写真撮影などの作業をする人にとって、Lightcycleの均一的な光、精密な色温度調整、コントロールのしやすさは便利だといえます。そういった機能は特に必要ない...というその他大勢の人たちにとっては正直なところ、600ドル出して買う必要はいまのところない気がします。
メモ
- ・ダイソンの他製品と変わらず、Lightcycleは高価。機能性が価格を上回る...という実感を得られる消費者は限られる
- ・ある意味、アート。ある意味、超現代的な置物。
- ・WifiでなくBluetooth接続であるため、スマホを使って操作するには一定の範囲内まで近づかなければならない
- ・機能を全面的に活用するならば、アプリが唯一の手段。この価格にして、機能を使わない手はないので、アプリ利用はもはや必至
- ・クラッシュする可能性のあるデスクランプ