肥満が心疾患や死亡のリスクを高めることはわかっていますが、よくいう「ビール腹」っていったい何なんでしょうか。その中を覗いてみましょう。

適度な皮下脂肪は、心配無用

皮下脂肪は、全身にまんべんなく存在します。

たとえば耳たぶは、脂肪でできています。皮下脂肪は触ったりつまんだりできるので不快に思うかもしれませんが、危険とされているお腹の脂肪とは種類が違います。

身体は、遺伝子やホルモンの指示に従い、いたるところに皮下脂肪を作ります。

女性はお尻や太もも、男性はお腹につきやすいとされていますが、実際はその両方であったり、どちらにも当てはまらない人も多数います。

皮下脂肪は健康体でも存在しますが、内臓脂肪があると、より目立って見えることがあります。

気にすべきは、内臓脂肪

「おなかの脂肪」はよくないと言われますが、それは腹部の中の脂肪を指しているのであり、脇腹のぜい肉のことではありません。

この内臓脂肪、健康リスクとの相関がいちばん高いのですが、筋肉の壁に隠されています。

お腹を押すと、柔らかい皮下脂肪の先に、硬い筋肉の壁を感じるでしょう。内臓脂肪は、その向こう側に位置しているのです。

心疾患、インスリン抵抗性、慢性炎症性疾患などのリスクを高めるのが、この内臓脂肪です。

健康リスクの指標として胴囲を測るのはそのためです。完ぺきではないものの、リスクの指標としてはBMIや体重よりも優れています。

脂肪以外にもお腹が出る理由がある

ビール腹の原因は、ほかにもあります。

たとえば、アルコール消費により肝臓やその他の組織が肥大化することがあります。

生涯にわたって大量の飲酒を続けていると、肝臓が損傷し、肝硬変と呼ばれる状態になることがあります。

ひどいケースでは、腹部に液体がたまる腹水につながることも。腹水は抜くことができますが、症状によっては肝移植が必要になるケースも多々あります。

ビールは悪くない

最後に、はっきりさせておきましょう。

確かに、お酒を飲み過ぎれば、カロリーのとりすぎで皮下脂肪も内蔵脂肪も増えるかもしれません。それに、循環器系疾患のリスクも高まるでしょう。

でもそれ、ビール限定の話ではなく、お酒一般の話です。

つまり、ビール腹とビールの間に関係はありません。お願いだから、ビールを責めるのはやめてくださいね。

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Image: Siora Photography/unsplash

Beth Skawarecki - Lifehacker US[原文