激アツの海底温泉が生み出す不思議な現象。
微生物学を専門とする科学者たちが、カリフォルニア州沖の海底を調査しています。そこはメタンガスが噴出し、水温も高い火山のような場所。ですが、さまざまな生命が過酷な環境に適応し、そこには独特の世界が広がっているのです。そんな世界で見つけたのが、海底に存在する、まるで鏡のようなプールです。
調査団
この調査は、カリフォルニア州の北と南の入り江にて、ジョージア大学のサマンサ・ジョイ准教授率いる国際チームによって行なわれています。彼女たちは地底から排水される熱湯の中で、微生物たちがいかに暮らしているのかを分析しているのです。
この映像を撮影したのは、シュミット海洋学院(Schmidt Ocean Institute)の調査船Falkor号が操る海底探査機「ROV SuBastian」。これは排水口付近のサンプルを採取し、このように撮影もでき、ロボット・アームで人類が出したゴミも拾います。
報道発表にはこう書かれています。
私たちはすべての海底表面に何かしらの生命種族が占有する、特筆すべき塔を発見しました。“生きた岩”に鮮やかな色彩が見られる様子は衝撃的で、生物学的組成と鉱物分布の多様性を反映しているのです
シュミット海洋学院のウェブサイトによりますと、科学者たちは手持ち式のシーケンサーで、採取した微生物のDNAを分析しているとのこと。彼らはこの海で8カ所を訪れ、沿岸ではさらに高度な設備に切り替えて調査をしているそうです。
海底の地質
調査団は微生物だけを調べているわけではなく、地質学的なことも調査しています。たとえば彼女らが見つけた鉱物の塔は、高さ23mで横10mという巨大なもの。極彩色の塔は金属と硫黄も含まれ、366度もの熱湯を噴出しています。にも関わらず、微生物たちはそこで繁栄しているのです。
熱湯は塔の一部にプールの如く溜まっているおかげで、海底の景色が熱湯の層に反射し、上下が反転する不思議な世界を作り出しています。
研究結果はまだ発表されていませんが、それでも信じられないような景色が広がっていることはよくわかりました。