人は運動によってどれだけ長く生きられるの?

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  • author Daniel Kolitz - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
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人は運動によってどれだけ長く生きられるの?
Illustration: Angelica Alzona (Gizmodo)

みんな「運動は体にいい」「運動しなきゃダメだよ」ってすごく言いますけど、本当に、本当に運動って体にいいんですか? なんだか100%信じきれないというか...。

いや、運動が面倒臭いからしない理由を作ろうとしてるだけじゃないんですよ。だってジムでウェイト挙げるのは楽しいわけじゃないし、自転車も、ランニングも...スクワットなんか楽しさのかけらもない。

でも運動が体に良くて長生きできるって言われたら、やってみようかなと言う気になるかも。運動で寿命を伸ばせたりするのか、専門家のみなさんに聞いてみましょう

Benjamin Levineさんの答え

テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター内科教授

死を避けたい、たとえば循環器(血管とか心臓とか)の病気で死ぬというのを避けたいとしましょう。でも、循環器系のトラブルを避けられても、ガンで死んでしまう可能性はあるんです。毎日自転車に乗ってエクセサイズをしていても、車にはねられて死んでしまうこともあります。人生において「競合リスク」と呼ばれる出来事がたくさんあります。なので、その人が誰なのか、何歳なのか、それぞれの人生におけるリスク要因によって人生の閉じ方は変わってくるのです。

運動が色々なリスクを軽減することはわかっています。特に循環器疾患については、どの循環器かにもよりますが、最大50%もリスクが減ります。この50%という数字はその人の健康状態、また潜在する循環器疾患や過去に心臓発作などを起こしたことがあるかどうかなどによって変わって来ますが、とにかく循環器系での死のリスクが軽減することは確かです。運動によって伸びる寿命が何ヶ月、何年という数字を出すのは難しいですが、もっと重要なことは運動で体が引き締まり、強くなり、より良く生きられるということです。

私が運動についてアドバイスする際は、歯を磨いたり、服を着替えるような感じで運動も生活の一部にする必要があるといつも言います。週に4、5回運動すると良いでしょう。最低でも1週間に1度1時間くらいの長い運動を楽しくおこなうことを皆さんにおすすめします。ダンスのクラスでもいいですし、テニスもいいでしょう。家族や恋人と公園で自転車に乗るのも楽しいと思います。

運動自体が何かにはこだわりません。とにかく長めの運動を楽しくやると言うのが重要なのです。また週に一回は強度の強い運動をすることもおすすめします。そして週に2、3回は自転車に乗ったり走ったりなどの「中度の運動」をおすすめします。会話はできるけど、歌えはしないというのが中度の運動の目安です。

Larry Tuckerさんの答え

ブリガムヤング大学運動科学教授

人がどれだけ長く生きるか、あらかじめ知ることはできません。しかし、運動している人は座りがちの人よりもずっと長く生きることはわかっています

運動によってどれだけ寿命が伸びるかを計算する方法は色々あります。ひとつはテロメアを測ることです。テロメアは染色体の端にあるもので、加齢とともに縮むとされているテロメアの長さで、その人が生物学的に何歳なのかを推測することができます

私が以前、5,823人のアメリカの成人を対象におこなった研究では、男女ともに毎週運動をしっかりしている人のテロメアの長さは、運動していない人たちのものよりずっと長いとわかりました。そしてその人たちのテロメアは生物学的に運動していない人よりも9年も若いことが判明しています。この研究では何十もの運動の種類も測定しています。強度の強い運動を1日35〜45分間、週5回していた人たちのテロメアは一番長かったのです。中度の運動をする人は、たとえば1時間とか長めに運動するのが良いでしょう。とはいうものの、強度の高い運動がテロメアを絶対に長くするというわけではありません。もちろんよい方向にはいくと思いますけれど。

Angelique Brellenthinさんの答え

アイオワ州立大学運動生理学博士研究員

年齢、性別、喫煙 、肥満、高血圧や糖尿病などの病状などを考慮しても、ランナーは非ランナーよりも平均で3年長く生きることが私たちの調査でわかっています。さらに私たちの研究で、1時間走ると7時間寿命が伸びると算出しています*。

他の研究でも運動をする人はしない人よりも平均で3〜4年長く生きるとされています。しかし、ほとんどはウォーキング、自転車、水泳など自己申告のアクティビティからの算出です。筋トレのような運動によって起こる長生きの可能性についてはあまり研究されていません。最近は筋トレも有酸素運動と同じように大切な役割をしているという証拠もたくさん出て来ています。

どちらにしても、寿命が伸びるのは長期間の運動によるので、自分が楽しめて健康的に感じる運動を選ぶべきです。色々な運動がありますが、実はウォーキングのような一番シンプルな運動こそが持続性のあるものなんです。

*編集部注:1時間の運動を行う期間について、原文では明記されていませんでした。1日あたり1時間なのか、1カ月あたり1時間なのか...もちろん走り続けることで寿命が無限に伸びるわけではありません。

Hirofumi Tanakaさんの答え

テキサス大学運動健康学教授

継続的な運動はほとんどの臓器や組織にとって多くの利点があります。また運動は、心臓発作や脳卒中など心臓血管からの起こる早死にのリスクを減らす役割もします。もし心臓発作を起こしたとしても、運動している人は受けるダメージがより低いと言われています。しかし継続的な運動が寿命を延ばすという確固たる証拠はないのが事実です。

以上、専門家の皆さんのお話でした。運動、しないよりした方が良さそうですね。ちょっと走ってきます!