• ビジネススクールを卒業したあと、アンナ・バルチ(Annna Baluch)さんは1記事あたり15ドル(約1700円)のライターのアルバイトを始めた。これが彼女が手にすることのできた初めての仕事だったからだ。
  • その後、別のフルタイムの仕事に就いたが、彼女は副収入を得るため、そのアルバイトを続けた。
  • 仕事とアルバイトの両方がフルタイムの仕事を2つ持っているのと同じくらい忙しくなると、彼女は仕事を辞め、フルタイムでライターとして働くことにした。常に狙っていたわけではないが、大好きなことを自分の仕事にしたのだ。

MBAを取って卒業する2、3カ月前、筆者は初めての"リアルな"仕事を探していた。当時はシカゴに住んでいて、いい仕事があればどこへでも引っ越すつもりだった。

スターバックスで数日間を過ごし、何百という仕事に応募すると、最終的に1つだけ返信があった。

それはシカゴにある、自動車の販売代理店のオンライン・プレゼンスの構築を手伝う、デジタル・マーケティング・エージェンシーからだった。フルタイムの仕事は空きがなく、先方からはフリーランスとして自動車関連のコンテンツを書く気はないかと聞かれた。

最初、わたしはちょっとイラっとした。多くの時間を就職活動に費やしてきたのに、フルタイムの仕事ですらないのだ。この会社についてもう少し調べたあと、わたしはフルタイムの仕事探しを続けながら、このフリーランスの仕事に挑戦してみることにした。車も物を書くのも好きだったから、失うものは何もないと思ったのだ。

その数日後、会社から初めての仕事の依頼が来た。2013年のメルセデス・ベンツのSUVのラインナップに関する350字の記事だった。報酬はたったの15ドル(約1700円)。でも、わたしは当時、そんなに悪い話だとは思わなかった。パジャマのままソファに座って、1時間もかからずに仕上げられたのだから。

こうした自動車に関する記事を、わたしはノースカロライナ州シャーロットにある大手マーケティング会社のフルタイムのリンクビルディングの仕事に就くまで、1記事15ドルで書き続けた。

シャーロットで働き始めてから2、3カ月が過ぎて、もう一度、自動車の記事を書いてちょっとした副収入を得ようと思った。エントリーレベルの仕事で得られる薄給では手の届かないちょっとした贅沢をするのにいい副業だった。

その後、地元のオハイオ州クリーブランドに引っ越し、保険会社で新たなフルタイムの仕事に就いた。フリーランスのライターの仕事は副業として続けていたが、自分のポートフォリオを広げたくなって、新たなクライアント探しを始めた。

クライアントを3カ所増やすと、物書きで得られる収入が大幅に増え、自動車以外のことについても書くようになった。歯の治療や家の修繕、引っ越しなど、さまざまなトピックについて書いた。

わたしは自宅でのびのびと稼げるこの副業がとても気に入っていて、そのあとも4年以上続けた。新たなクライアントも定期的に見つかって、最終的には誰かのためにフルタイムで働くよりも、フリーランスで働く方が稼げるようになっていた。

ただ、仕事の前後や週末に記事を書いていたので、だんだんきつくなってきた。フルタイムの仕事を2つ持っているようなものだったので、夫はどちらか1つを選ぶよう、わたしを説得した。フルタイムの仕事と目が回るようなライターの副業を8カ月かけ持ちしたあと、わたしはフルタイムの仕事を辞め、フルタイムのフリーランサーになった。

2018年10月1日がフルタイムの仕事の最後の日で、わたしは心から、仕事を辞めたことは人生最良の決断だったと言える。今ではライターとしての収入を大きく増やし、より質の高い人生を楽しんでいる。スケジュールも収入も自分でコントロールできるし、家で仕事をするのが好きだ。

安定した給料も、健康保険や確定拠出年金、有給休暇もないが、わたしにとっては自分で自分を雇うメリットがデメリットを上回っている。

もし誰かが2013年のわたしに、1記事15ドルで書いている自動車に関する記事が独立への道を開くと教えてくれたとしても、わたしは何を言っているんだと笑っただろう。わたしに連絡をくれ、フリーランスのライターの世界を教えてくれたマーケティング・エージェンシーには本当に感謝している。おかげでわたしの人生はより良い方に変わったのだから。

[原文:A temporary side job I took for $15 at a time led me to a fulfilling career I never expected]