ハイエンドからお手頃版まで、選択肢ももりもりに。
新しいCPUとかGPUが発表されると、PCメーカーもそのPCを使うゲーマーも、それらがをPCに実装される日へのカウントダウンを始めます。Intelの新世代プロセッサとNvidiaの新GPU、そして新たに加わったAMDのチップのローンチと時を同じくして、ASUSのゲーミングノートPC、ROG(Republic of Gamers)シリーズもほぼ全モデルが一挙にアップグレードされました。米GizmodoのSam Rutherford記者がハンズオンしています。
薄型ゲーミングノート「ROG Zephyrus」ライン
まずは、薄型ゲーミングノートPCの「ROG Zephyrus」ラインから。2019年版にはS、M、Gの3つのモデル(すべて15インチ)があります。本体は3モデルとも共通で、中身のグレードがそれぞれ違います。
Zephyrus S GX502
Zephyrus S GX502は、17インチの「Zephyrus S GX701」の後継的存在で、15インチに詰め込める最高のテクノロジーを体現しています。CPUは第9世代のIntel Core i7-9750H、GPUはNvidia RTX 2070、ディスプレイのリフレッシュレートは240Hzで応答速度がたった3mm秒となっています。色の世界的な基準を作っているPantoneの協力を得て工場で色再現のキャリブレーションをしたり、Nvidiaのディスプレイ同期技術G-Sync対応だったりで、とにかく美しさと反応の速さにこだわった感じです。
Zephyrus M GU502
次に15インチのZephyrus M GU502はもう少し控えめなメインストリーム向けのものです。CPUは同じIntel Core i7-9750Hでディスプレイも240Hz/144Hzですが、GPUはNvidia RTX 2060、またはGTX 1660 Tiになります。
Zephyrus G GA502
Zephyrusラインのもうひとつ、Zephyrus G GA502は今のところ唯一価格が発表されていて、このラインの中では一番お手頃になっています。CPUはIntelじゃなくAMD Ryzen 7 3750H、CPUはNvidia GTX 1660 Tiで、ディスプレイも高額モデルみたいな240とか144Hzじゃなく120Hzになります。ただお値段1,200ドル(約13万4000円)であることを考えると、それでもかなりのお値打ちです。
15インチモデルは、どれも17インチのROG Zephyrus S GX701をベースとした筐体で、RGBキーボードライティングとかASUS独自の冷却機構といったゲーミングに特化した機能を備えています。冷却機構に関しては、ソフトウェアやゲームによって3つあるパワーモード(ターボ、バランス、サイレント)を指定することで、パワーと静かさどちらを取るか選べます。あとはZephyrus S GX701にあった、本体を浮かせて熱をこもりにくくさせるアクティブクーリングの仕組み(上の写真)も受け継がれています。
eスポーツ向け「Strix」ライン
eスポーツにフォーカスした「Strix」ラインからは、「Strix Scar III」と「Strix Hero III」の2モデルが出ています。名前が違うからには何かスペックの違いがあるのかと思いきや、Scar IIIとHero IIIの違いは外観のスタイリングのみです。Scar IIIはグレイのガンメタルにカーボンファイバーのデッキ、Hero IIIはミッドナイトブラックのペイントにサイバーテキストの装飾があります。
Scar IIIとHero IIIは最高でCPUをIntel Core i9-9880Hに、GPUをNvidia RTX 2070にでき、サイズはそれぞれ15インチと17インチの展開です。15インチのディスプレイはリフレッシュレートを最大240Hzに、17インチのほうは最大144Hzにできます。
Scar IIIとHero IIIに関しては、中身のパーツより外から見てわかる部分が面白いかもしれません。ひとつは本体をぐるりと囲むRGBのライトバーで、全体がインベーダーみたいに光ります。もうひとつ、BMWのDesignworksとコラボした「Face Off」プロジェクトによって誕生した「キーストーン」なるアクセサリーも気になります。キーストーンは物理的なNFC端末で、Scar III、Hero IIIの本体にカチっとはめられます。ここに、ゲームプロフィールやライティング設定、パフォーマンスモードといったものを保存できます。
キーストーンにはShadow Driveと名付けられた隠しパーティションまであって、重要なファイルを暗号化して保存できます。と、なんだかサイバーパンキーで楽しいんですが、突き詰めるとUSBメモリ以上に何かできるわけじゃないです。
それから、ストリーミング中にビデオ電話したりする手段も確保されてます。これらのノートPCには外付けWebカメラが同梱されていて、ASUSいわく、たいていの内蔵Webカメラより画質が良いそうです。
さらに、ディスプレイのリフレッシュレートはそこまでじゃなくていいとか、とにかくお値段を抑えたいという人には、Strix Scar IIIとHero IIIのお手頃バージョンにあたる「Strix G」もあります。最低価格は1000ドル(約11万円)からです。
ROGシリーズ以外もアップデート
最後に、ROGファミリーの一員じゃないのですが、お財布に優しい「TUF」ラインもアップグレードされました。新しい15インチと17インチモデルのCPUは、Ryzen 5または7、GPUはNvidia GTX 1660 Ti、筐体は米軍仕様の810Gテストにクリアした堅牢性能です。残念ながらTUFの正式価格もまだ発表されていないのですが、仮にStrix Gの1,000ドルというラインを下回るのだとしたら、ゲーミングPCとしてはすごく安価な選択肢となります。
…以上、なかなかたくさんありましたね。しかもこれだけじゃ足りないとばかり、Intelの第9世代チップは17インチのZephyrus Sとか17インチROG G703、ROG Mothershipにも搭載されるそうです。
ASUSは米国ナンバーワンのゲーミングノートPCブランドとして、ユーザーに対しなるべく多くの選択肢を用意しようとしているように見えます。今回、15インチと17インチでそれぞれ3つ(数え方によっては4つ)のラインを刷新したわけで、それだけやれば彼らの思いは果たせたんじゃないかと思います。ただそれぞれの違いがもっとわかりやすかったら良かったかな、という気もちょっとしてます。