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「App Storeは独占禁止法違反だとユーザーがAppleを訴えることは可能」と最高裁判所が判決

by Wolf Gang

Appleが運営するアプリストアであるApp Storeは、アプリの販売額から多額の手数料を徴収しており、企業やユーザーの中からは不満の声も挙がっています。4人のユーザーが提起した「Apple Inc. v. Pepper」訴訟では、「App Storeが独占禁止法だとしてAppleを訴えることが可能かどうか」という争点が長年にわたって議論されてきましたが、アメリカ合衆国最高裁判所は「ユーザーがAppleを独占禁止法で訴えることは可能」という判決を下しました。

Supreme Court deals Apple major setback is App Store antitrust case
https://www.cnbc.com/2019/05/13/supreme-court-rules-against-apple-in-app-store-antitrust-case.html

Supreme Court says Apple will have to face App Store monopoly lawsuit - The Verge
https://www.theverge.com/2019/5/13/18617727/apple-v-pepper-antitrust-illinois-brick-supreme-court-case-loss

Apple Inc. v. Pepper訴訟では、Appleは「iOS端末がApp Storeからしかアプリを購入できない」という独占的な販売状況を利用し、App Store上で販売されているアプリの価格を不当に高騰させていると原告側が主張しています。AppleはApp Store上で配信しているアプリの販売額の30%を手数料として徴収しており、過去には音楽ストリーミングサービスを提供するSpotifyが、EUの独占禁止法規制当局に訴えを起こすケースも発生しました。

Spotifyが「Appleの高すぎる手数料は公正な競争を妨げる」と独占禁止法違反を欧州委員会に訴える - GIGAZINE


AppleはApple Inc. v. Pepper訴訟について、以前から「『イリノイ・ブリック判例』に基づけば、App Store経由でアプリを購入したユーザーがAppleを独占禁止法で訴えることはできない」と主張し、訴訟そのものが成り立たないと主張していました。アプリはあくまでも開発者が価格を設定して販売しているものであり、ユーザーと開発者の仲介をしているに過ぎないAppleを、「間接購入者」であるユーザーが独占禁止法で訴えることはできないとAppleは主張してきたわけです。

しかし、最高裁判所はイリノイ・ブリック判例の論理はAppleとApp Storeの場合には適用されないとして、ユーザーがAppleを独占禁止法で訴えることは可能という判決を下しました。最高裁判所のBrett Kavanaugh判事は、「Appleの線引きは道理にかなっていません」と述べ、Appleの論理は類似の訴訟をはねのける以外の意味を持たないとコメントしています。

今回の最高裁判所の判決により、Apple Inc. v. Pepper訴訟が本格的に内容の議論に移行するだけでなく、ほかのiOSユーザーがAppleを独占禁止法で訴えることもできるようになりました。なお、最高裁判所は今回の判決があくまでも「iOSのユーザーが訴訟を起こすことができるかどうか」についてのものであり、実際にAppleが独占禁止法に違反しているかどうかは別問題だと注意を促しています。たとえばAppleは、「ユーザーには別のモバイルOSが運営するアプリストアからアプリを購入する自由があり、App Storeは独占禁止法には当たらない」とも主張しており、この点については最高裁判所も言及していません。


Appleの広報担当者は、「App Storeはどのような指標から見ても独占的ではありません。私たちは安価で安全、そして信頼できるプラットフォームを消費者に与え、世界中の開発者に大きなビジネスチャンスを提供していることに誇りを持っています」と述べました。

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in モバイル,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

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