リーダー」という言葉を聞いて、どのような人を思い浮かべますか。高い志、崇高な理念、人を惹きつける魅力など、「選ばれし者」のイメージが強いかもしれません。

IBMのWebメディアMugendai無限大では、そんな「牽引型」のリーダー像から、「共感型」と呼ばれる新しい姿へのシフトを提唱する方が登場していました。

誰でもリーダーになれる」という発言の真意は、一体どこにあるのでしょうか。

日本でおなじみの「牽引型」リーダーだけでは社会の多様化に対応できない

ロングインタビューに登場していたのは、人気漫画『宇宙兄弟』をモチーフに、新しい時代のリーダー像を綴った著書、『宇宙兄弟「完璧なリーダー」は、もういらない。』を執筆した、株式会社ナガオ考務店代表・長尾彰さん

長尾さんが「チームビルディング」に興味を持ったのは、大学時代のワークショップのとき。高校時代の部活動2年半で得たものが4泊5日で得られたからです。

「チーム」ということの意識に加えて、プログラムの中でチームの関係性を作り、物事を上手く進めるファシリテーターの重要性に気づき、仕事にしたいと思ったそう。

現在は「組織開発ファシリテーター」という肩書きで、15年以上に渡り、企業や教育現場などで3000回以上のチームビルディングを行ってきました。

長尾さんいわく、これまでの日本企業では牽引型リーダーの存在が大きかったそうで、その理由について以下のように語っています。

「牽引型リーダー」をトップとするほうが、従来の日本企業の組織構造に合っていたからだと思います。義務教育から、校長・教員・生徒といった権威的な組織構造で運用する日本社会の特色かもしれませんね。

でもその構造では、トップの意思決定が間違っていたら全部が間違ってしまうし、多様化の時代において、同質化、平均化された考えしか生まなくなってしまう。

長尾さんは、そんな「牽引型リーダー」を尊重しつつも、多様化が進む現代において「すべてがそうである必要はない」として、共感型のリーダー像を提唱しているのです。

目指すべきリーダーは「完璧ではないけど欠かせない人」

牽引型から共感型へ。変わりつつある「理想のリーダー像」とビジネスへの向き合い方
Image: Mugendai(無限大)

インタビュー中、長尾さんは一貫して「リーダー」という役割に気負いすぎる必要はないと繰り返します。その上で、「リーダーという単語は、何をリードするのか不明なまま使われることが多い」と指摘。

ビジネスの現場でも、クリエイティブな場面や事務的な場面などさまざまな局面があるのに、リーダーとなると一人の強い牽引型な人をイメージしてしまいがちだと語ります。

そのように、いきなり周囲をグイグイと引っ張っていくのはとても難しいこと。長尾さんは、まずは隣の人や身近な人に話し、みんなで共感を育んでいくところから始めようと語ります。

具体的なリーダー像としてあげるのは、「『宇宙兄弟』の六太」「『釣りバカ日誌』のハマちゃん」「『スターウォーズ』のハン・ソロ」など、完璧ではないけど欠かせない存在であるキャラクターたち。

そして、「自分がリードしたい人や、みんなが一緒になって何をしたいのかが明確なら、誰でもリーダーになれる」と語ります。

本音のコミュニケーションから生まれる「共感型」リーダー

牽引型から共感型へ。変わりつつある「理想のリーダー像」とビジネスへの向き合い方
Image: Mugendai(無限大)

そんな共感型リーダーを目指すための第一歩として、長尾さんは「やりたくないことははっきり断る」ことを挙げます。

もちろん、ただ「嫌だから」ではなく、「もっと良い方法がある」「違うやり方でやりたい」と、自分の意見を伝えることが重要なためです。

そうして自分の意見を表明したら、「いや、それは違う」といった反論が来るかもしれません。

でも、そういった意見に対して真摯に向き合い、話し合って擦り合わせる行為こそが「共感型リーダー」には必要であると長尾さんは指摘し、以下のように語っています。

「話し合う」プロセスをみんなで持つことが重要です。そうやって、お互いが上下関係なく、その人にしか発揮できないリーダーシップをとっていくことこそが、これからの組織において大切なことなのです。

働き方や考え方が多様化する現代。チームのリーダーには、柔軟性や協調性といったスキルがますます求められるようになるのかもしれません。

新時代のリーダー像について、長尾さんの著書を読んだ方もそうでない方も、続きはMugendai無限大よりお楽しみください。


Image: Mugendai(無限大)

Source: Mugendai(無限大)

Reference: Amazon.co.jp