高くなったぶん、中身も盛りだくさんに。
OnePlusが最新フラッグシップスマホ「OnePlus 7 Pro」を発表しました。OnePlusといえばハイスペックながらシンプルで低価格、というイメージでしたが、OnePlus 7 Proは669ドル(約7万3000円)からと、今までのOnePlusの価格帯より一段高く設定された感じです。果たして中身はそれに見合っていて、ファンはそれを受け入れられるんでしょうか? 米GizmodoのSam Rutherford記者がレビューしています。
ここ数年OnePlusは、余分なものを排除しながらもハイエンドなスペックと硬派なデザインのスマホとして、SamsungやHuaweiといったAndroidスマホ大手を脅かすようになりました。最高のパフォーマンスを競合より何万円も安く提供しようとするOnePlusは、たくさんの人から歓迎されてきました。
でもOnePlus 7 Proは、これまでの路線とはちょっと違います。669ドル(約7万3000円)からとOnePlus史上最高の価格設定で、その分スペックもぜいたくです。ポップアップするセルフィーカメラとか、ノッチのない全面ディスプレイ、背面のトリプルカメラといった華々しい仕様は、今までの「巨人に挑む小さな勇者」みたいな構図にあてはまらない感じがします。「コスパ最高のミッドレンジ」というポジションを切り開いてきたOnePlusですが、あえて高めのフラッグシップを投入してきたのは正解なんでしょうか?
短く言うと、正解です。まったくもって正解です。OnePlusの価格がじわじわ上がってきたこの数年、スマホ市場全体ではベイビー・フラッグシップ群ともいうべき、Galaxy S10eとかiPhone XR、Honor View 20といった700ドル(約7万7000円)前後の戦線が形成されてきました。この価格帯のスマホは、かつてハイエンドなスマホが10万円超えとかじゃなくせいぜい7万円、8万円程度だった時代を覚えてる人、スマホにそれほど多くを求めてない人のためにあります。今似たような値段のスマホがいろいろありますが、その中でもOnePlus 7 Proは、僕が買う気になれるスマホです。
OnePlus 7 Pro
OnePlus 7 Proとは?:OnePlus最新のフラッグシップスマホ
価格:670ドル(約7万3000円)から
好きなところ:全画面なディスプレイ、最高のスペック、インスクリーンの指紋リーダー、背面のトリプルカメラ、ブルーがきれい、バッテリーもすごい、有線充電はすごく速い
好きじゃないところ:ワイヤレス充電できない、防水性能は公式にはない、暗所撮影がそれなりレベル
魅せられる美しいディスプレイ
OnePlus 7 Proには、見た瞬間から魅了されます。前面には巨大な6.7インチの3120 x 1440のディスプレイ(Samsungが提供)が輝き、リッチで鮮やかな色を放っているだけでなく、そのリフレッシュレートは今あるスマホのディスプレイの中でももっとも滑らかな90Hzです。単にメニューをスクロールしたりアプリを切り替えたりといったつまらない作業だけでも流れるような動きが見られて、なんだかうれしくなります。
その美しさに目が慣れてきたあたりで、OnePlus 7 Proのディスプレイにはノッチもパンチホールも、その他余計なものがないことに気がつきます。まるで突然ノッチのない未来にワープして、昔はどうしてそんな余計なものがあったんだろう?と不思議に思うような感覚です。OnePlus 7 Proのディスプレイには強力なブルーライトフィルターもあり、睡眠を邪魔する光を遮ってくれます。OnePlus 7 Proのディスプレイは素晴らしすぎて、これだけでもOnePlus 6Tより価格が100ドル上がった理由にできそうなくらいです。でももちろん、すごいのはこれだけじゃありません。
ディスプレイの上に薄く見えるのは銀色のイヤピースで、これは下部にあるスピーカーと連動し、OnePlusとしては初のステレオサウンドを生み出しています。もともと速かった充電速度も22.5ワットから30ワットに増強、名前もDash ChargeからWarp Chargeへと一次元アップした感があります。実際どれくらい速いかというと、まったくゼロのバッテリーを15〜20分くらいで50%までチャージできます。充電容量は4,000mAhで、連続動作テストで13時間36分持ちました。これはGalaxy S10eの13時間20分という記録より15分長く、丸1日十分持ちそうです。
あとはOnePlus 7 Proのこのブルー(Nebula Blueという名前がついてる)について一言言っておきたいです。ガラスの背面にはいくつかのレイヤーがあってそれぞれ違う形で光が吸収されるので、独特のフロスト感があります。スマホ全体の色展開に関してはHuaweiがベストかもしれませんが、OnePlus 7 Proのブルーは2019年に見た中で一番魅惑的です。
OnePlusはこれまでのスマホに関する問題点の細かいところにも修正を入れていて、バイブレーションモーターもより強力なものに換えてきました。便利なスクリーンレコーダー機能では、OnePlus 7 Pro上でやっていることを何でもそのまま記録できます。ちなみにこの機能は素のAndroid OSにはまだ入ってません。OnePlusはスクリーン内にある光学指紋リーダーのサイズと読み取り速度も改善しているので、実用的には先代にあったタッチセンサーと同じように使えます。
好きじゃないところも、多少
とはいえ、OnePlus 7 Proにはワイヤレス充電がなく、この点には正直憤りすら覚えました。これまでのOnePlusだったら、ワイヤレス充電なんて余計なコストになるからねってことで流してたんですが、7万円超えのお値段とか「Pro」が名前に入ってることとか考えると対応してほしかったです。OnePlusは、今ある最速のワイヤレス充電器でも有線のWarp Chargeほど速くないと言ってて、その通りなんですが、ワイヤレス充電は速度のためというより便利さのためにあるんですよね…。逆にそれさえあれば、OnePlus 7 Proはこの価格帯ではもはやダントツのベストになれたと思います。
ワイヤレス充電問題に比べれば、防水・防塵性能に関して公式なIP認証を受けてないことは個人的にそんなに気になりません。OnePlusいわくOnePlus 7 Proは多少の雨とか水はねくらいには耐えるそうです。とはいえ、どこまで大丈夫なのかもう少し具体的な表現をしてくれるとか、またはやっぱり何らかの保証があるとかすればさらに良かったとは思います。
気になるカメラ性能やいかに
OnePlus 7 Proの背面にはトリプルカメラが搭載され、メインセンサーは4800万画素を誇ります。もうひとつは1600万画素の超広角、3つ目は800万画素の3倍ズームです。この布陣によってOnePlus 7 Proの写真ツールは新たな次元に達し、大きなカメラを持ち歩く必要性がまたひとつ減りました。でもPixel 3とかGalaxy S10・S10e(S10との違いは3つ目の望遠レンズの有無のみ)といったメジャーどころと比べると、OnePlus 7 Proは画像クオリティの点でまだ出遅れています。
たとえば下にある食べ物写真を撮り比べてみたところ、OnePlus 7 Proはシャープネスやコントラスト、色彩度といった点でPixel 3やGalaxy S10より若干落ちるのがわかりました。Pixel 3やGalaxy S10のお値段を考えれば、画質の差には目くじらを立てることはないかもしれませんが、とにかく違いがあることを認識しておいたほうがいいです。といっても、Instagramにポストしたときにその違いがでるのかどうかはわかりません。
OnePlus 7 Proのもっと問題なのは、暗い場所で撮るときです。Nightscapeモードをオンにしないで暗い環境で撮ってしまうと、他のフラッグシップスマホに比べてソフトで粗い感じになってしまいます。Galaxy S10やPixel 3では、SamsungやGoogleのHDR処理、AIを使った技術がやはり効いています。
でもNightscapeモードを使えば、OnePlus 7 Proもある種の環境ではかなり善戦していて、難しい夜景を撮ったときにはPixel 3とほぼ互角でした。上のシャッターの絵みたいに、暗い場所の明るさを若干ながらPixel 3よりうまく上げていたりもしました。
あとは3倍光学ズームレンズも、Huawei P30 Proの50倍ズームには及ばないとはいえ、スマホとしては3倍くらいがちょうど良い感じがします。解像度は少し下がるんですが、それでも写真は十分シャープでした。
ポップアップカメラってどうなの?
でもカメラ関連では、長年のOnePlusファンならOnePlus 7 Proのポップアップカメラに問題を感じるかもしれません。写真の撮れ方がダメだってことじゃなく、OnePlusがこれまで続けてきた「必要なものしかない」っていう考え方から一番大きく逸脱している部分だからです。でもこのカメラのおかげでノッチなしの全面ディスプレイが実現できてるわけだし、あんまりセルフィーを撮らない僕みたいなタイプにとっては妥協できる問題です。
あとOnePlus 7 Proでは指紋認証じゃなく顔認証を使いたい人はそれも可能で、顔認証のときはこの小さなカメラが本体からひょこっと出てきます。認証プロセスはAppleのFace IDよりちょっと遅いんですが、イラっと来る感じはないです。本体が落下しているのを検知したらポップアップカメラを自動的にしまう機能も付いています。カメラを出した状態で空中に放るとその動作を確認できるはずですが、お勧めはしないです。OnePlusいわくこのセルフィーカメラは30万サイクル使えるそうで、これは毎日150回使うとしても5年間持つということです。ポップアップカメラのせいでOnePlus 7 Proを敬遠してしまう人も多いかもしれませんが、これのおかげでノッチがなくなると思えば僕的には有意義だと思います。
2019年ベストのコスパ
最後に、OnePlusらしい中身のハードウェアについて。OnePlus 7 ProはSnapdragon 855プロセッサ搭載、読み書きの速いUFS 3.0ストレージ対応、RAMは6GB、ベースのストレージは128GBです。これが足りなければRAMを8GB、ストレージを256GBにして700ドル(約7万7000円)、またはRAMが12GBで750ドル(約8万2000円)となります。ゲーマー向けにパフォーマンスを一定させるべく、水冷システムやRAM Boostモードも追加されました。僕が気に入ったブルーのモデルは8GB・256GBモデルにアップグレードしなきゃいけないのがちょっと難です。
コストパフォーマンスにおいて、OnePlus 7 Proは今あるスマホの中で余裕でベストのひとつになれます。OnePlusのスマホとしては機能もスペックも一番リッチなモデルでこのコスパを実現してるのがすごいです。このコスパに近いスマホが今唯一あるとしたら、Pixel 3と同等のカメラ体験を400ドル(日本価格4万8600円)でもたらしてくれるPixel 3aくらいです。
それでもOnePlus 7 Proの美しい全面ディスプレイとか背面のトリプルカメラ、スタイリッシュなデザインを考えると、僕はこっちに惹かれます。OnePlus 7 Proはあえてフラッグシップと真っ向からは戦わず、ベイビー・フラッグシップという新しいカテゴリに照準を合わせつつも、結局大手メーカーたちを彼ら自身の領域の中で打ち負かしているようです。
まとめ
・700ドルのOnePlus 7 ProはOnePlus史上一番高いんですが、その価値はあります。
・ポップアップカメラと背面の3つ目のカメラなしのOnePlus 7もあります。
・トリプルカメラ搭載は素晴らしかったんですが、Nightscapeモードを使っていてもやっぱりSamsungやGoogleのフラッグシップスマホのほうがきれいに撮れることが多かったです。
・OnePlus 7 Proが高いって怒ってる人、米国じゃOnePlus 6Tの価格が30ドル下がって550ドル(約6万円)になりましたよ!