「Aphantasia(アファンタジア)」という初めて目にした単語に惹かれてBBCの記事を興味深々で読んでみたところ、びっくりしました。
アファンタジアは、頭の中で視覚化ができない
アファンタジアとは、頭の中で視覚的なイメージが描けない症状を指すそうです。
この名前が付けられたのは2015年、名付け親は、イギリスのエグゼター大学医学部のジーマン教授。アファンタジアを研究しています。
ピクサーの共同創設者であり元社長のエドウィン・キャットマルさんは、瞑想を始めたとき、ビジュアライゼーションができず、自分の症状に気づくことになりました。
50人に1人は、アファンタジアかも
キャットマルさんが周りに聞いてみると、『リトル・マーメイド』のトップアニメーター、グレン・キーンさんもそうでした。
「BBC」記事によると50人に1人はアファンタジアを持っていると考えられており、原因はまだ謎。
また、彼がピクサーの社員を調査したところやはり視覚化ができないアーティストが何人もいたそうです。
つまり、アファンタジアだからといってアート系の才能がないというわけではないのです。
キャットマルさんの言葉です。
私が思うには、「みなさん、(アファンタジアを)言い訳にはできません。
どんな違いがあろうと良い仕事はできるんですよ」ということなんですね。(中略)視覚化は、創造性や想像力と一緒くたにされていますが、同じものではありません。
アファンタジアの人は夢を見るの?
そこで湧き上がってきたのは、「アファンタジアの人は視覚的な夢を見るのか」という疑問でした。
「Reddit」では、アファンタジアの人たちが夢についてシェアしていました。
ほとんど夢を見ない人もいるようですが、夢をはっきりくっきり見ても、目覚めたら夢を視覚的に覚えていないという意見が多くありました。
目に見えないからといって、存在しないわけではない
社会には、アレルギーの人、嗅覚や味覚がない人、慢性痛を抱えている人、目に見えないけれどいろいろなことを抱えている人たちがいます。
自分が健康だから他の人も同じだと思っていたというよりは、そんなことをまったく考えたこともなかった子ども時代を経て、いまでは、いろいろな人が、いろいろな状況が存在していて、それが普通なんだと思うようになりました。
それに気づいた大きなきっかけは、米国系航空会社に勤務していたときのトレーニングでした。
それは、Americans with Disability Act of 1990(障害を持つアメリカ人法、またはアメリカ障害者法)、略してADAのトレーニングで、四肢が欠けているといった目に見える障害はもちろん、目に見えない障害や症状についても、お客さまがそうだと言う時にはADAに則った対応をしなければならないというものだったのです。
アファンタジアが病気や障害の一種と見なされているのかどうかはわかりません。
頭の中で視覚的な想像ができないことは能力というよりその人の個性だと考えたいという点では、上に紹介したキャットマルさんと同じ気持ちです。
目に見えない多様性だって尊重する
多様性というと、男女格差やLGBTQ、人種問題などがすぐ思いつきます。
でも、大多数の人とは違う、目に見えない要素を持つ人もいるということにもっと目を向けると、自分と違ういろいろな人を受け入れることができ、バリアフリーの視点が広がることでしょう。
ディスクレクシアの記事でもそう感じましたが、最後にジーマン教授の言葉で締めくくりたいと思います。
視覚化できるかどうかがその人を定義するのではないと、皆さんに知ってほしいですね。思考のプロセスは違っていても、その人の仕事ぶりとは関連がないのです。仕事のやり方はいろいろあるのですから。
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