地球の自然破壊を止めるするにはどうすれば良いの?

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  • author Brian Kahn - Gizmodo Earther
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  • Rina Fukazu
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地球の自然破壊を止めるするにはどうすれば良いの?
Image: Angelica Alzona (G/O Media)

1番重要なのは、これらをアイデアに留めず実行すること。

今月はじめ、100万種の生き物が絶滅の危機にあるという信じられないニュースがありました。しかもそれは、ほかでもなく人間のせいであるというのだから、なにも寝耳に水な話ではないとはいえ心にグサッとくるものがありました。

でもこれに関して、責めるべきはあなたでも私でもありません...つまり、個々人というよりも人類全体の行動が積み重なって集合的に、地球の自然破壊に結びついていることが指摘されています。しかし同時に、これは絶対に変えられない運命ではないという希望を持つことはできます。

地球環境に配慮した食生活に変えるなど、コツコツ努力することで変えられる部分もありますが、それだけでは十分でないのも事実。では、どんなマインドセットで、どんな社会システムを目指せば地球にとって良いインパクトを残せるのか。専門家に意見を求めるGiz Asksシリーズ、今回は自然破壊の最悪のシナリオを回避するために重要なことは何か、科学者の方々を中心に話を伺ってみました。

「自然破壊が経済成長に不可欠」という考え方をやめる

Sandra Díaz:生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)共同議長、アルゼンチン コルドバ国立大学の生物学者

わたしたちは、生活のあらゆる面が自然によって支えられていて、自然がなければ今あるもののすべてが成り立たないことをまず理解すべきです。このことを、ひとりひとりの生活の一コマ一コマで実感することが重要ですが、特に経済においては、ビジネスのやり方、インフラの開発の仕方を見つめ直す必要があります。自然破壊が経済成長において避けられないものだと考えるのをやめて、すべての産業において、自然に配慮することで環境破壊に歯止めをかけることができるでしょう。

ビジネス、建設、貿易、旅行、農業、鉱業などにおいて、何かを達成するたびに自然への影響はどうか考えてみて、もし悪い影響があるのならば状況を改善するための報酬と罰をちゃんと用意することが重要です。もし良い影響を残せるならば、ほかの手段よりも確実に優先づけるようにしましょう。もし中立的であるならば、それをポジティブにするために何ができるか自分自身に尋ねてみましょう。

パラダイムを根本的に変える

Patricia Balvanera:生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)論文著者、メキシコResearch Institute in Ecosystems and Sustainabilityの生物学者

基本的に、補助金、資金移動、補助つきクレジット、減税、商品や工業製品の価格など、環境や社会的なコストを隠すような、持続不可能な生産や無駄な天然資源の使用など、有害な経済的手段に対処する必要があります。自然や社会の崩壊は、現在の支配的なパラダイムを根本的に変えることで止めることができます。

これまで経済成長、消費、生産、利益を追及していたのに対して、将来に向けて持続可能性、レジリエンス(回復する力)、社会的責任を重視することが求められます。

3つの“I”を実行していく

Patricia Miloslavich:IPBES論文著者、ベネズエラ シモン・ボリーバル大学South American Research Group on Coastal Ecosystems議長

非常に重大な変革を行なう必要があります。ここでいう変革とは、社会として物事を進める方法の変化を指します。このためには、3つの“I”を実行していく必要があります。

Integration(インテグレーション) - すべての利害関係者とすべての人々の統合。わたしたち一人一人がソリューションの一部であり、市民、科学者、政治家、意思決定者、すべての立場の人々がソリューションを共有する必要があります。協働して問題に取り組み、すべての人々が参画することで目的にかなったソリューションが生まれるはずです。

Innovation(イノベーション) - 持続可能で環境にやさしい技術や製品を開発することで、私たちのニーズに対応しつつも、崩壊の主な要因を減らしたり、良い影響を生んだりすることさえ可能となります。自然破壊の要因には、大部分が陸地と海洋の利用における介入と拡大、生物資源の利用、汚染(化学的および固体 - プラスチック)、気候変動、そして侵入種があります。

Information(インフォメーション) - 知らないことを管理することは難しいので、情報収集は鍵となります。生物多様性と生態系のモニタリングは、意思決定に役立つデータを収集するための長期的かつ持続可能な方法だといえます。

大規模景観保護というアプローチ

Katarzyna Nowak:The Safina Center特別研究員

大規模景観保護(LLC)は、気候変動や生物多様性の喪失を軽減するための最善のアプローチだといえます。

北米におけるLLCの取り組みとして、Yellowstone to Yukon Conservation Initiativeは景色の継続性、生物多様性の保全、国境を越えたコラボレーションとして5つのアメリカの州、2つのカナダの州、2つのカナダの準州、そして30以上の先住民グループとの恊働を推進しています。イエローストーンからユーコン地域では、多様な野生生物の生息や移動のための環境が維持されています。LLCは、保全という課題にどう対処するかをスケールアップすること、すなわち国境や領域、管轄区域、セクターなどを超えて連携することです。LLCのアプローチは多様な参加者を巻き込み、官民のパートナーシップを実現しています。

自然を価値あるものにする

Andrew Marshall:オーストラリア サンシャイン・コースト大学ARC Future Fellow at the University of the Sunshine Coast特別研究員

自然を価値あるものにすることが重要だと考えます。

途上国全体の取り組みとして必要なのが、(1)生活や家族の将来にとって自然が重要であるとの理解を深めてもらうよう働きかけること、(2)持続可能な利用、観光などを通じて、自然に実質的な経済的価値をもたらす所得創出スキームを開発したり奨励したりすること。

先進国では、一般的に自然の価値についてよく理解はされているものの、政府が公的支援と産業界の支援なしに行動できないなどより複雑だといえるでしょう。政府の任期が短すぎることから、環境に関して賢明な決定を下すことができないと考えています。支持者にとって短期的な経済的影響があるため、環境政策を進めることを恐れているようにも見えます。

そのため環境に関する政策決定は、中央政府に代わるレベルで行なわれるのが良いと考えています。たとえばヨーロッパでいうEUがすでに法的な責任をとれるように。また逆に、もっとちいさな自治体が意思決定を行なうのも手だといえます。

もちろん、すべての個々人が環境を意識した行動をすることも重要です。無駄を減らして、再利用・リサイクルを実行すること、乗り物もエコを気にすること、外に出て自然に触れることを勧めます。