各社が一斉に参入した「キャッシュレス決済」。普及のカギを探るべく、今回6人の若者との座談会を収録しました。世界の「キャッシュレス社会」に関して研究を行っているサイバーエージェント次世代生活研究所・所長の原田曜平さんは「若者たちは『自分だけ使うと悪目立ちする』と話す。企業は『みんなが使っている』と演出する必要がある」と指摘します――。(前編、全2回)
原田曜平さん(撮影=プレジデントオンライン編集部、以下すべて同じ)
【座談会メンバー】
法政大学国際高校3年・赤峰沙枝、早稲田大学3年・牧之段直也、中央大学2年・小川莉歩、日本女子大学2年・千葉愛子、青山学院大学3年・浅見悦子、青山学院大学2年・里村萌恵。

500円目当てに1回だけ使って終わり

【原田】現在、サイバーエージェント次世代生活研究所では、キャッシュレス社会の研究を行っています。日本と世界のキャッシュレス決済事情やキャッシュレスサービスの最新店舗を調べ、日本の未来はどんなキャッシュレス社会になるのか、中国のようにQRコードが普及するのか、欧米や韓国のようにクレジットカードやデビットカードがさらに普及するのかなどを分析しています。

また、日本がキャッシュレス社会になった近未来、日本の小売りの店舗やそこにおけるサービスはどのようなものになるかを研究・分析し、サイバーエージェントの得意先である小売りやメーカーと共同し、未来の店舗作りや新しい販促活動に役立てようとしています。

さて、今日は、「キャッシュレス決済」が、どれだけ今の高校生や大学生たちの間で広がっているのか。また、彼らが「キャッシュレス決済」にどんな意識を持っているのか。そんなことをじっくり聞きたいと思って高校生と大学生に集まってもらいました。

「キャッシュレス決済」には大まかに分けて3種類あります。最近話題のスマホを使った「QRコード決済」。国内では「PayPay」「LINE Pay」「楽天Pay」「ORIGAMI」などがありますね。キャッシュレス先進国である中国で圧倒的に普及している「Alipay(アリペイ)」や「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」も、このタイプです。

次に、ICカードやスマホを端末にタッチする「非接触型」。交通系の「Suica」や「PASMO」、流通系の「WAON」や「nanaco」などがあります。「Apple Pay(アップルペイ)」「Google Pay(グーグルペイ)」もこの仲間ですね。

そしてクレジットカード。VISA、マスター、JCBといったブランドがあります。

今日は主にQRコード決済の話を中心に議論していきたいと思っているのだけど、皆さんはこの座談会のために、周囲の友達にも決済サービスの知名度や使用状況をリサーチしてきてくれたんだよね?