ファーウェイの次は…DJIのドローンを標的に定めるかのような警告が米国内で準備中か

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  • author Patrick Howell O'Neill - Gizmodo US
  • [原文]
  • 湯木進悟
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ファーウェイの次は…DJIのドローンを標的に定めるかのような警告が米国内で準備中か
Image: Grzegorz Czapski/Shutterstock.com

これはもう宣戦布告ですか?

もはや引き返せない貿易戦争の様を呈している、米国中国の関係悪化ですけど、さすがに世界でも指折りのスマートフォンメーカーとなったHuawei(ファーウェイ)を全面的に排除するトランプ大統領の政策は、予想を上回る大混乱を引き起こしているようです。でも、これで終わりかと思いきや、ますます今後も圧力は過激になっていくのやもしれません。

中国製ドローンを注意

CyberScoopの報道によれば、新たに米国土安全保障省(DHS)傘下の国家保護・プログラム総局(CISA)は、中国製ドローンに注意するようにとの勧告を準備している模様。その理由は、ドローンの収集データが、社外からもアクセスできるようになっている危険性があり、情報漏えいやデータの不正流出に発展しかねないためとされているそうです。

勧告では中国のドローンが主題で、DJIの社名を具体的には挙げていないものの、いまや中国のDJIのドローンは、世界でも最大シェアの製品シリーズとして、米国内でも広く普及しています。しかも、これまでにもDHSの局員は、DJIが、同社のドローンやソフトウェアによって入手したデータを、中国政府へと勝手に送っているとの懸念を表明。それを受けて、DJIが、その容疑を全面的に否定する対応を余儀なくされてきた経緯がありました。

DJIは第三者機関にて調査

今回の報道を受け、DJI広報担当者のAdam Lisbergさんは、早速このようにコメントしています。

DJIでは、安全性最重要視されており、我が社の技術の安全は、これまでも米政府機関や主要企業から、なんら問題はないとの認定を独自に受けてきました。顧客に対して、どのようにデータが収集され、保存され、送信されるのか、完全に自らコントロールできる体制を常に提供しています。政府やインフラの要所を担う企業の顧客に向けては、さらに安心感を高めるため、DJIに対してさえ、ドローンから一切のデータを送信できない仕様の製品も提供しており、DHSが準備しているとされる今回の勧告があっても、まったく不安を抱く必要がない体制を築くように努めてまいります。

またDJIは、米国サンフランシスコに本社があるKivu Consultingに依頼して、本当に収集データやフライトログなどの情報が、安全に管理されているかどうかを調査することを求めました。そして、こうした第三者機関調査でも、なんら問題は認められなかったと公表していたのですが…。

ロシアは、我が国のシステムをかく乱しようとしてきた。しかしながら、中国が目指しているのは、自国の究極かつ長期にわたる利益を画策し、我が国のシステムを自由自在に操ろうというものだ。

今年に入って、CISAChris Krebs長官は、このようにも警告してきました。Huaweiへの厳しい制裁措置に飽き足らず、もし実際に正式に勧告が発動されれば、次はDJIの完全排除という悪夢のようなシナリオも、ますます現実味を帯びてきます。なお、米国側が中国企業をターゲットにしている印象ばかりが際立ちますが、そもそも中国政府は、GoogleやFacebookを中国市場から排除する政策を取り続けてきました。この応酬の落としどころは、いったいどこに定まっていくのか、固唾を飲んで見守るばかりです。

Source: CyberScoop