ロシアによるTwitter世論操作は綿密な構成で大成功していた

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  • author Patrick Howell O'Neill : Gizmodo US
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  • Kaori Myatt
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ロシアによるTwitter世論操作は綿密な構成で大成功していた

まんまと罠に。

よく聞かれるロシアの情報操作。本当だったんですね...。

これが本当だとしたら、組織ぐるみで情報操作して世論を動かすことが可能ということ...なんて恐ろしい。投票ボイコットや怒りの扇動など、さまざまな偽の情報がTwitterを飛び交っていたとは。

米ギズモードのPatrick Howell O'Neillの報告です。


2016年のアメリカ大統領選挙でロシアが世論操作をした件について、以前報告されていたよりもずっとその構成が緻密で大規模なものであることが、米のサイバーセキュリティ企業Symantec(シマンテック)の新しい報告で明らかになりました。

Twitter(ツイッター)が発表したデータによれば、ロシアが情報操作のために使用したアカウントは3900個あり、 2018年10月のつぶやきは1千万ツイートにも上るそうです。Symantecの分析によれば、アカウントが作成されてからつぶやきが発信されるまで平均177日間かかっており、そこには実行前に綿密な計画があったことをうかがわせます。これらのアカウントは2016年の8月にほとんどすべてのアカウントが一斉に活動を停止するまで、それぞれ平均で429日活動を続けているとされています。

これらのアカウントは自動で運用されたものもあり、Twitterに削除されることを恐れて人間が運用したものもある模様です。

「ほとんどのアカウントは主に自動生成されていましたが、人間の介入が頻繁に入ったことが明らかであり、オリジナルコンテンツが発信されたり、使いまわしたテキストに少し編集が加わったりしています。明らかに削除されないように、人間が投稿していることを装った操作であることがわかります」とSymantec社のジリアン・クリアリー氏は語ります。「ニセのニュースアカウントが設定されて、ブログの活動をモニタリングしたり、自動的にニュースブログを発信したり。補助アカウントがこれらのメインアカウントのツイートをリツイートしていました」

メインアカウントの多くは、当時ローカルニュースを装っていました。当時米国ではどんどん新しいローカルニュースが出てきていた時代であり、全国ニュースやその他の情報源と比較して国民から信頼を寄せられていました

Symantecは次のような数値を発表しています:

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Illustration: Symantec

ツイッターボットの行動解析

ロシアの情報操作キャンペーンの解剖図です。

調査によれば偽アカウントたちは合計1千万のツイート、640万人のフォロワーを持ち320万人をフォローしていました。

偽アカウントの合計数は3836で、そのうちメインのアカウントは123、残りは補助アカウントとしてメインのツイートをリツイートしていました。

11月8日の大統領選まで8月から大きくツイートの数が増えているのがわかります。

(Symantec社調べ)



この報告では、どのようにしてプロパガンダが拡散されたか、その戦略を提示しています。@TEN_GOPはテネシーの共和党員を装って、600万件以上のつぶやきをツイートしています。そのリツイートのほとんどはロシア以外の国で行われたものでした。

ロシアのインターネット調査会社によれば「情報操作キャンペーンは米国の政治を両端で狙ったものであり、そのことは影響を与えたアカウントにも反映されています」もっともリツイートされた英語のアカウントのトップ20は保守派と自由派で同じくらいの比率だったとのこと。

この情報操作で標的としたのはさまざまな政党にわたり、昨年の調査では、IRAのアカウントが黒人投票者に大統領選をボイコットするよう呼び掛けていることもわかっています。

「このプロパガンダキャンペーンのスケールと影響は、あらゆる国の投票者にとって非常に懸念すべきことです」研究者は調査の中で「2016年の大統領選の二の舞は避けなければなりません」と警鐘を鳴らしています。