スマートフォンって高すぎる! そういう人のための中価格帯端末です。
今月頭に海外で発売されたMotorola(モトローラ)のMoto Z4は499ドル。ありかなしか、米Gizmodoがじっくりレビューしました。
Samsung(サムスン)、Apple(アップル)、Huawei(ファーウェイ)などが、1000ドルのスマホを出し続ける中、Motorolaはその逆の道を邁進中。2年前にMoto Z2 Force、750ドル端末をリリースして以来、今やMotorolaが作る1番高い端末は500ドルのMoto Z4。
Moto Z4
これは何?:モジュール方式の中価格帯スマートフォン
価格:499ドル
好きなところ:OLEDの大きいディスプレイ、バッテリー持ちとパフォーマンス、Android 9のシンプルなつくり、ヘッドフォンジャックあり
好きじゃないところ:ディスプレイ内臓型指紋認証が使いづらい、端末の本領を発揮されるにはカスタマイズしないとダメ、Night Vision撮影はビミューにブレる
ミドル端末といえど、Motorolaが世に送りたいのはプレミアムなプロダクト。バジェットフォン=安価スマホレビューの中でも高評価だったMoto G7(300ドル)と比較すると、6.39インチOLEDスクリーン、高画質カメラ、ロングライフバッテリーとかなりアップグレードされています。Zシリーズ史上最高。ヘッドフォンジャックが復活しているのも、一部ユーザーにとっては嬉しいはず。また、ハイエンド端末の専売特許だったディスプレイ内臓指紋認証があるのもすごい。
良いところ:ディスプレイ、プロセッッサ、バッテリー、日常使いには十分!
まずは良いところから触れていきましょう。500ドルという価格を考えると、Z4のOLEDディスプレイは優秀。明るさは最大589ニットながらも色が綺麗。画面にノッチがあるものの、全画面ディスプレイにすることで500ドルという価格が一気にあがるならノッチのままでよし。Pixel 3aや3aXLと比較すると、ベゼルが薄いので使えるディスプレイエリア自体は大きいと思います。
SoCはQualcommのSnapdragon 675、RAMは4GB、ストレージ容量は128GB。再度比較しますけど、Pixel 3aの2倍のストレージなのも特筆しておきます。また、microSDカードで容量追加できる仕様もいい。
ハイエンド端末に見られるSnapdragon 855よりも、Z4のSnapdragon 675は性能は落ちるものの、スマートフォンの使い道は主にウェブ観覧とSNSという人ならば何も気にすることはなし。ウェブ観覧パフォーマンスをチェックするWebXPRTによれば、Z4のスコアは258。ちなみに、LG G8が284、Galaxy S10は驚異の361。Galaxy S10は置いておいて、258は十分満足できるスコアと言えます。
不満を持つとしたら、それはやっぱり『PUBG Mobile』や『Auto Chess』などのパフォーマンスが必要なゲームをプレイしているとき。この場合、ゲームの設定にもよりますが、かなりのラグがでることも。
ステレオスピーカーが搭載されているのに驚くものの、実際の音質はまぁ普通。Motorolaがヘッドフォンジャックを廃止して約4年、Z4でカムバックしているのは特筆すべき点ですね。一度なくしたものを復活させるのはなかなか難しいのでしょうが、これはよくやったと思います。
Zシリーズ最大となるバッテリー3,500mAhにも触れないわけにはいきません。Gizmodoのバッテリーテストでは、持ちが13時間49分。Pisel 3a XL(12時間43分)よりも約1時間、Pixel 3a(11時間51分)より約2時間長い結果となりました。圧勝なのは14時間37分というOnePlus 6Tですけれど。
スマートフォンの肝、カメラに不満
Z4に搭載されたカメラは、前面のセルフィーカメラが25MP、リアカメラが48MP。どちらのカメラにも、4つの素子をまとめて1つのピクセルとして扱うピクセルビニング技術を採用。これによって、暗所撮影がより綺麗にとれるようになります。
カメラで不思議なのは、前面カメラのデフォルトが6MPになっており、設定でフル画質の25MPに切り替えることができるのですが、リアカメラにはフル画質で撮影するオプションが見当たらないこと。どういうこと?
Z4のカメラでは、撮影後すぐ、つまり編集なし無加工でIntagramにアップしたくなるような写真をとるのは正直なところ難しいです。比較端末のPixel 3aの方がいい。ディティールや光の飛び、コントラストなどなどPixel 3aには及びませんでした。
昨今、暗所撮影モードは当たり前ですから、Z4にもNIght Visionと呼ばれる専用モードがあります。が、あることにはあるけれど、残念と言わざるを得ません。
暗いところで撮影すると、画像にシャープさがなくなります。そのくせ対して明るくもなってません。ユーザーに多くの機能を提供したいというMotoloraの姿勢は賞賛するものの、この価格帯でのベストカメラ賞とはいかず。
残念なところ:指紋認証リーダー
Z4でもっとも残念なこと、それはディスプレイ内臓の指紋認証。個人的にはこの仕様は好きなのですが、Z4に限っていえば悪い方向に…。
この手のタイプをあれこれレビューしてきましたが、その中でもZ4の反応の悪さはピカイチ。完璧に作動することもあれば、アンロックするのに3~4回タップしないと反応してくれないことも。特に、明るい屋外で仕様した場合、トラブル発生度がアップしたように思います。
カスタマイズの必要性
Z4はカスタマイズしやすいモジュールシステムが特徴の1つ。ただ、その特徴がまったく活きていないと感じます。
Z4の力を最大限引き出すためには、このシステムを使いたい。なのに、Motorolaのカスタマイズ(Mod)リストを見ると、そんなに魅力的なものはなく…。せいぜい惹かれるのは、Moto GamePad、JBL SoundBoost 2、あとはPolaroid Insta-Shareプリンタくらい。
ただ、Z4の価格がすでにPixel 3aよりも100ドル高いことを考えると、200ドルのプリンタを買ってまでカスタマイズする気はなくなります。
1つ期待するとすれば5G Motoカスタマイズ。今はまだ使えませんが、将来的な意味で。
5Gの現状を見ると、5G端末を年内に買う必要は感じません。が、来年再来年の5Gの可能性を考えると、プラス200ドルの後付けカスタマイズで5Gが使えるようになるのは嬉しい。端末を買い換えることを考えれば、かなり安上がりとなります。まぁ、5G MotoはVerizonのみ対応という難点もあるのですが、ここは対応拡大を期待。Verizonの5G対応も、5Gスタート時は、Verizon経由でZ4を購入したユーザーに限るという制限がついており、これもさらなる難点なのですが。
ミドルレンジ端末の中では、高い?
最後にもう1つ。ハイエンドスマートフォンが1000ドルを超えていく中、499ドルという中価格端末の存在はありがたい。ありがたいけれど、これミドルレンジ端末としては高い方だと思います。
Xiaomi Mi 9やNubia Red Magic 3など中国系ライバルの存在はもちろんですが、個人的には、Z4買うなら400ドルのPixel 3aやOnePlus 6Tを買うかな。Pixel 3aの方が安いうえにカメラはいいし、OnePlus 6Tの方が見た目がいいしパフォーマンスもいいし。
Moto Z4は悪い端末ではありません。とくに、カスタマイズパーツでこれは!と思うのがある人は買いでしょう。が、カスタマイズに興味ないなら特には…。Motorolaは、そろそろ根底からZシリーズをテコ入れする時に来ているのではないでしょうかね。
まとめ
・暗所撮影モードNight Visionがあるものの、いまいち仕事していない。
・500ドルで美OLEDスクリーンやステレオスピーカー、ディスプレイ内臓指紋認証があるのは驚いたけど、いまひとつ。
・ヘッドフォンジャック復活!
・5G MotoカスタマイズはVerizon経由でZ4を購入した人だけって残念すぎる。
・Motorolaのナノコーティングによって撥水加工がされているものの、過大評価するなかれ。
…悪くない、良い!とは言っているものの、正直なところこのレビューを読んで欲しいとは思えないですね。価格の割にいろいろ詰め込まれてはいるけれど、そのどれもが満足いくほど仕事をしていないならば、仕事できる少数精鋭にすればよかったのではって思っちゃう。
個人的には、現代のスマートフォン文化の命でもあるカメラに期待できないとなるとねぇ…。