生活していく上で、「ここから先はダメ」という境界線を引く必要があります。

たとえば、今の私。この記事を書きながら、もう57回も私の膝によじ登ろうとしている我が子に邪魔されています。

子どもがしていいことと悪いことの境界線をはっきり引いて、それを子どもにわからせないと、子どもの安全も確保できません。

それに、親も境界線が必要です。

ボランティア活動を期待してくるPTAの役員や、夜「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」と電話してくる同僚に、じょうずに「NO」を言えないと、家庭生活が乱されてしまいます。

でも、きっちり境界線を引くことに慣れていないと、どこから手をつければいいのかわからないのも事実。著書『Oh Crap! I Have a Toddler』を近日上梓予定の育児専門家、Jamie Glowackiさんが、家庭の中に境界線を引く方法をシェアしてくれました。

育児のパートナーと一丸となり守る境界線

パートナーがいる場合は、困っていることをじっくり話し合ってみたほうがいいとGlowackiさんは言います。

子どもの自由にさせると良くないと感じていることを話し合いましょう。就寝時のルーティンやテレビを見る時間のことが問題になっているようです。

どんな境界線を設けてもいいのですが、肝心なのは、それを育児のパートナーと一緒に必ず守り、2人が同じ態度で子どもに接すること。

片方がその境界線を尊重しているのに、もう片方が無視していると、子どもはどちらの言うことも聞かなくなります。

でも、言うは易く行うは難しです。たとえば、子どもが人を叩いたり髪の毛を引っ張ったりしたときは、私はきっぱりした態度でやめさせますが、娘は笑うだけです。

それで私は、「笑いごとじゃないのよ。そんなことをしてはいけないわ」と娘に言いますが、娘はまた笑い、手をふり挙げて私を叩こうとします。

私はその手を途中で止めて、人を叩いてはいけないという家のルールを繰り返し言ってきかせます。

すると、娘は床に寝転んで大げさに泣くんです。

こうなると、私もちょっと厳しすぎたかなと思ってしまいます。Glowackiさんは、子どもが怒りや悲しみといったネガティブな感情を抱いても気にし過ぎてはいけないと警告しています。

「子どもがネガティブな感情を抱くと、親は急いで何とかしようとしますが、子どもはどこまでやっても許されるか試しているのです。

ですから、親が寛大過ぎると、子どもはますます駄々をこねてこちらを試してきます。しっかり境界線を引いておくと、それが子どもの感情の歯止めにもなるでしょう」とGlowackiさん。

子どものコミュニティ活動で消耗し過ぎないための境界線

子どもの成長と共に、子どもが属するコミュニティも大きくなり、遊び仲間、学校、部活、塾が発生します。

親は新しいアクティビティや社交サークルが増えるたびに消耗するエネルギー量が増えます。コミュニティを築きながらも、境界線を引く方法をGlowackiさんに聞いてみました。

どのようなコミュニティも、5人ぐらいの人たちですべての仕事を回しています。これは学芸会、バザー、PTA、スポーツのチームなど、あらゆる場面に当てはまります。

もし自分がその5人の中の1人になっているなら、過剰に仕事をし過ぎて恨みに思うことがないように気をつける必要があります。

「NO」と言えるようになるには練習が必要です

最初は、「ごめんなさい。今週金曜日の学級パーティ用のカップケーキを焼くことはできないの。次の機会にね」という感じで、簡単な場面から始めてみましょう。

一方で、「NO」を言う癖がついて、何に対しても自動的に「NO」と言わないように注意しましょう。

仕事を家庭に持ち込まないための境界線

私生活に仕事を持ち込まないための境界線も必要です。

フルタイムの仕事をしていても、子どもが誕生して父親になったことを機に、きっぱりと境界線を引いた男性もいます。

彼は、

  • 自宅で仕事はしない
  • 仕事が終わったら職場の社内政治に関わらない
  • 会社のスマホに24時間束縛されない

と決めて、仕事と家庭を完全に分けることにしています。

これは、自己裁量の度合いが低い仕事をしていたり経済的に不安定だと難しいかもしれませんが、誰でも仕事と家庭の間に引ける境界線は存在します。

それは、職場を出たら精神的にも仕事を離れて家庭に持ち込まないということです。気持ちを切り替える5分間の儀式を導入すれば、夕方自宅に到着したら、9時から5時のストレスフルな社員の顔でなく、愛情深く忍耐強い親の顔になることができます。

では、自宅勤務の人はどうしたらいいのでしょうか。

仕事の時間を確保して子どもが仕事場に侵入しないようにするのはかなり大変です。

この場合は、ドアが境界線になってくれます。

『Secrets of the Remote Workforce』の共同著者、Teresa Douglasさんは、「STOP」と書いた紙をドアに貼ることで、「ママは中断されずに仕事をしなければならない」ことを忘れがちな子どもに視覚的に思い出させるようにしているとニューヨーク・タイムズに語っています。

これは、もちろん、自宅に子どもの世話をしてくれる人が別にいる場合か子どもが一定の時間独りで過ごせるぐらい大きくなっている場合の話です。

自宅で仕事をしていて、子どもを完全にシャットアウトできないときは、小さなスペースを作るコツがあります。

これは、物理的な境界線を引くことであったり、子どもの気をそらすテクニックであったりします。

また、仕事の上司や同僚に、子育てをしながら仕事をしている状況をはっきり知らせておきましょう。

「NO」と言えずに自己犠牲を重ねていると恨みになる

急ぎの仕事があるとき、子どもが私の膝に乗りたがったらどうすべきかGlowackiさんに聞いてみました。

子どもを膝に乗せていても気にせずタイプできるなら、それはそれでいいでしょう。

でも、内心に恨みをためるようになり、夕食のとき子どもがミルクをこぼしたとき、それが爆発したりするのは、最悪です。

誰かが境界線を越えたとき、人はそういう反応になるものですし、一緒に仕事をしているほとんどの親御さんたちがそうなるのを見てきました。

境界線が無いと、恨みがたまってきて、ちょっとしたことで過剰反応してしまい、「あの人、頭が変なんじゃない」と思われてしまうことがあります。

親だからといって、周りのみんなのニーズを満たすために独りで犠牲になる必要などありません。自分の「限度ライン」を決めて、しっかりと守りましょう。

Glowackiさんいわく、子どもの安全確保と発達のための境界線、親がリラックスしてセルフケアするための境界線、エネルギーを消費させる家庭外の人たちに対する境界線を引くことが健康な生活の鍵です。

あわせて読みたい

職場で仕事の邪魔をしてくる「有害な同僚」への対処法3つ

職場で仕事の邪魔をしてくる「有害な同僚」への対処法3つ

子どもをお風呂に入れながら本を読んであげると「一石三鳥」|育児ハック

子どもをお風呂に入れながら本を読んであげると「一石三鳥」|育児ハック


Image: Lifehacker US

Source: Amazon.co.jp, BBC, The New York Times

Anna Lee Beyer – Lifehacker US[原文