一晩中太陽の沈まぬ白夜の町、もう時間の概念をなくしてしまおうという運動がスタート

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  • author Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US
  • [原文]
  • 湯木進悟
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一晩中太陽の沈まぬ白夜の町、もう時間の概念をなくしてしまおうという運動がスタート
Photo: Kjell Ove Hveding

本当に時計をぶっ壊す!

どうしてこんなにも時間に追われた生活を送らねばならないのだろう? いっそもう時間なんてなくなってしまえばいいのに…。だれだって、そんな願いを抱いたことはあるはずです。でも、本当に時間がなくなったら、ボクらはどうなってしまうのでしょうか?

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Photo: Jøran Mikkelsen

このほどノルウェーにある北極圏の田舎町Sommaroy(ソマロイ)におきまして、なんと町内から時間というものを廃止してしまおうとの法案制定を求める嘆願書が提出されました。この運動の中心となっているKjell Ove Hveding氏は、世界で初めて完全に時間に縛られない空間を法的に作り上げられたならば、したいときにしたいことができる生活を望む多くの人々を、世界中から引き寄せることができると訴えていますよ~。

時間になったら仕事に行かねばならず、仕事が終わっても、やはり時間に縛られ続ける生活を、たくさんの人が送っている。これをせねばならない。あれもせねばならない。こうして、人々からは気まま自由な生き方が忘れ去られてしまったのだ。天気がよく、日が昇れば、今日も生きられるという単純な人生が。

Hveding氏は、このように語り、もっと時間のことなど忘れて自然に生きていこう、と提案するにいたったと語っています。人口300人ほどの町のソマロイでは、夏は白夜で一晩中太陽が沈まず、それでも世界のほかの場所と同じ24時間のサイクルで生きていくために、町民は夜になると太陽光を遮断し、人工的に屋内を暗くして眠っているそうです。でも、これからは太陽が昇っているうちは、好きなように起きては眠り、たとえ夜中の3時であっても、どうせ外は昼間のように明るいんだから、楽しく生きていこうじゃないか!

なんて牧歌的な生活スタイルにあこがれる人も少なくはないのかもしれませんが、こうした願いが本当に実現するかどうかをめぐっては、かなり怪しいところもありそうです。そもそも子どもたちの学校はどうするのか? この町だけ時間をなくしても、町外の世界は時間通りに動いており、完全に外部との接触を断ちでもしない限り、結局は時間に合わせるしかないのでは? 公共の交通機関は? 健康への影響は大丈夫?

ちょっと考えるだけでも、問題山積しています。そもそも人体には24時間の自然なサイクルに合わせるメカニズムが備わっており、これはたとえ暗闇に覆われた洞窟内で何か月も暮らしても変わらなかった、とする研究結果だってあるくらいです。とはいえ、この嘆願書で示された、時間に追われる忙しい現代生活ではなく、もっと自然なゆったりとしたとライフスタイルにしようという考え方には、共感を覚える人も多いでしょうけどね。