ポッコリお腹の見た目や言葉の響きには愛嬌さえ感じられる「メタボ」。
糖尿病診断ガイドライン2013によれば、メタボリックシンドローム(代謝に課題ありの症状)と診断されると、まず動脈硬化の可能性が疑われます。
さらに、2型糖尿病発症のリスクが3~6倍、心臓発作や脳卒中など心血管疾患で亡くなるリスクが1.5~2倍に跳ね上がるのです。
こうした健康リスクを早期発見するべく特定健診に取り入れられたのが、お腹周り(腹囲)の測定ですが、同じことが首周り(首囲)でも予測できることがわかってきました。
メタボの診断基準
ポッコリお腹の中で何が起こっているかというと、e-ヘルスネットによれば、内臓脂肪の蓄積により、生理活性物質の分泌異常が起こり動脈硬化が進行。糖尿病、高血圧、脂質異常症などを引き起こします。
そして健康長寿ネットによれば、メタボと診断されるのは、おへそ周りを測ったときに、男性で85cm以上、女性なら90cm以上かつ、以下の条件のうち2つ以上にあてはまる場合になります。
- 高血圧(最大血圧130以上、最小血圧85以上)
- 脂質代謝異常(高トリグリセリド血症:中性脂肪値150以上、低HDLコレステロール血症:HDL値40未満)
- 高血糖(空腹時血糖値110以上)
※単位はmg/dL(デシリットル)
腹囲の測定は、高価な測定器具も医療知識もなしに健康リスクを判定できる点で優れた手法ですが、満腹のときと空腹のときでは結果が変わってしまうのが難点。
また、測定中だけお腹をへこませるチートもできてしまいます。そこで首周りを測る方法に着目したのが以下の研究内容です。
メタボと首囲の関係
アジア太平洋心臓病学会(APSC)と欧州心臓病学会(ESC)は共同で、首の太さとメタボリックシンドロームとの関連性を発表しています。
これによれば、メタボリックシンドロームの26人(16%)を含む成人160人を調べた結果、高血圧、糖尿病、高脂血症のいずれかを患っていた場合、首囲が大きかったとのことです。
そして、首囲が大きい人たちは、メタボリックシンドロームの条件である、高トリグリセリド血症および低HDLコレステロール血症、空腹時血糖の上昇も見られました。
ちなみに、メタボリックシンドロームの基準となる首囲は、男性で40cm以上、女性で36cm以上だったようです。
メタボリックシンドロームの診断基準は国によって違うため、フィリピンの参加者による結果をそのまま日本人に当てはめるのは難しいかもしれません。
ただ、アドベンチスト・メディカル・センター・マニラの医師、Gines氏によれば、同じような体型をしている他のアジア諸国の人にも適用可能だろうとのことです。
首痩せのコツ
もし首周りの長さが健康リスクの目安になるとすれば、これを活用しない手はありません。着ることで隠れてしまうお腹と違い、首の太さはひと目でわかるもの。
では、腹囲や首囲が大きくならないようにするには、あるいはすでに大きい場合にはどうしたらいいのか。
それにはやはり食事と運動が基本です。
実際には、お腹や首だけの部分痩せは難しいので、カロリーを調整して全体的に体重を落としていくことになります。
e-ヘルスネットによれば、メタボリックシンドロームの改善には3~6カ月で体重の5%を減らすのがいいとのこと。
摂取カロリーや運動量を管理するアプリをうまく使って、プランを進めてみましょう。
その際、定期的に首囲を記録していくと、モチベーションを維持しやすいかもしれません。
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Image: Geinz Angelina/Shutterstock.com
Source: MedicalXpress, 糖尿病診断ガイドライン2013, e-ヘルスネット(1, 2,), 健康長寿ネット