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0と1の連続から色彩豊かな映像を生み出す基本原理とは?

by dp792

スマートフォンやカメラの進化によって、誰でも手軽に高画質なムービーを撮影し、自宅で簡単に編集することができるようになりました。フィルムではなくデジタルのデータがどうやって映像という形になっているのかを、Facebookのソフトウェアエンジニアで映像プロデューサーでもあるT・J・クルシンスキ氏がブログで解説しています。

A Mental Model for Video
https://tjkrusinski.com/articles/general/mental_model


映像は静止画の連続であり、その1コマを構成する最小単位が「ピクセル」です。例えば、フルHDの映像規格である「1080p」の1080pだと、垂直方向に1080個、水平方向に1920個のピクセルが並びます。つまり、フルHDの映像フレームは全部で207万3600個のピクセルで構成されているというわけです。ピクセルが増えれば増えるほど、解像度が高くなるといえます。

by LoggaWiggler

ピクセルには画面内の座標のほかに色度や輝度といった色情報を示す数値が含まれ、この数値の幅が大きくなればなるほど、濃淡や色の表現の幅が大きくなります。例えばモノクロ映像の場合、ピクセルの情報が1ビット、つまり0か1しかない時の濃淡は以下のように白か黒しかありません。


4ビットになると、24=16段階の濃淡を表現できます。


そして、8ビットになると、28=256段階の濃淡が表現できるというわけ。ピクセルに含まれる情報のビット数は「ビット深度」と呼ばれ、一般的な映像のビット深度は8ビットです。


それに対してRGB形式のカラー映像では、R(赤)・G(緑)・B(青)という3原色を混ぜることで表現されます。RとGとBでそれぞれ256段階に色度を表現できるので、ピクセル1つにつき256種類×256種類×256種類=1677万7216種類もの色を作り出せることになります。もちろん10ビット、24ビットと、ビット深度が深くなるほど色深度が増しますが、人間の視覚が見分けられる色はおよそ1000万種類から1億種類といわれているそうで、10億色以上を作り出せる10ビットカラーよりもさらに上の色深度を求める必要はほとんどないといえます。

by Wikimedia Commons

ピクセルが構成する1コマのことを「フレーム」と呼びます。そして、1秒当たり何枚のフレームが連続するかを示したものが「フレームレート」です。一般的なテレビ放送はほぼ30fps(フレーム毎秒)や60fps、ヨーロッパなど一部地域でのテレビ放送は50fps、そして映画では24fpsとなっています。普通の人間には1秒間に何枚表示されるかを目視で数えられませんが、それでもフレームレートが異なると映像内の動きはまったく違って見えます。

同じ動きをするアニメーションを左から15fps・30fps・60fps・120fpsで並べて比較した以下のムービーを見ると、フレームレートが異なるとどれだけ動きに差が出るのかがはっきりとわかります。フレームレートが高ければ高いほどぬるっとした動きに見えますが、フレームレートが高いほど優れているというわけではありません。だいたい24fps~30fps辺りが人間にとって最も自然に見えるフレームレートだといわれています。

Framerate Comparison 15/30/60/120fps - YouTube


また、映像のフレームの表示方法には、フレームを1枚毎にすべて表示する「プログレッシブ(p)」という方式と、2枚のフレームを組み合わせて一度に映し出す「インターレース(i)」という方式が存在します。インターレースはデータ量が半分近くに抑えられるため、アナログ放送でも高解像度の映像を送るために生み出されましたが、画面にちらつきやノイズが出やすくなるというもろ刃の剣。近年は映像技術・通信技術の進歩によって、インターレース方式ではなくプログレッシブ方式が主流になりつつあります。例えば、フルHD規格である1080pの「p」はプログレッシブ方式であることを意味しています。

クルシンスキ氏は、自身が解説した内容はあくまでも映像の原理の一部であり、本当はもっと複雑だと述べています。そして「映像とは最終的に数値による光の表現であり、これらの数値がどのように配置されているのか、そして何を構成しているのかを知ることによって、映像を効率的に扱うことができます」と論じました。

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in 動画, Posted by log1i_yk

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