会議で、いつもメールチェックなどの内職をしている人はいないでしょうか。もちろんこれはNG行為です。
一方で、内職できるようなダラダラした会議にしている主催者、進行役にも責任はあります。
実際、効率的に仕事をしている人にとって、ダラダラした会議ほど、ムダな時間と感じています。1回の会議が1時間とすれば、1日3回会議をすれば、1日3時間。
いくら自分1人が資料作成や段取りの効率をよくしても、ダラダラした会議が3時間もあれば、個人の努力も水の泡です。会議中に内職をしたくなる気持ちにも同情できます。
だからこそ、会議は「内職なんてしている場合ではない」そんな緊張感のある状態にしなければならないのです。
現在、1回の会議に1時間をかけているなら、30分で済ませるようにしてみてください。目指すは倍速です。実は、難しくありません。
そこで、今回は、私のタイムマネジメント研修や書籍でも紹介する会議やミーティングの効率化を図るノウハウを紹介します。
伊庭 正康 株式会社 らしさラボ 代表取締役
セールストレーナー、ストレスコーピングコーチ。リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社 らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理など、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。近著『計算ずくで目標達成する本(すばる舎)』『できるリーダーは、「これ」しかやらない: メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』 『仕事の速い人が絶対やらない段取りの仕方』(日本実業出版社)』『数字を上げる人のセールストーク・営業のキホン(すばる舎)』など著書多数。「無料メールセミナー」も好評。
当日、配布資料の説明をしない
まず、資料を読む時間をなくしてみてください。読む時間をムダと考えます。
2日前までには資料を配布し、参加者には「質問、意見」を考えてから参加してもらいます。
すると、会議ではこう変わります。
「お忙しいところ、読んできていただき、ありがとうございます。まず、不明な点はなかったでしょうか? では、質問のある方はいらっしゃいますか?」
倍速会議の資料ルール2つ
- 資料は2日前までに配布する。
- 資料を簡単にする。読み手のことを考えると1枚がベスト。多くても3枚程度。読み手にも配慮しておきましょう。
こうすることで、会議を短縮できることはもちろん、参加者もあらかじめ質問を考えて参加できるようになります。
アジェンダ(所要時間込み)とタイムキーパーは必須!
話し合う前に「アジェンダ(予定議事)」と「所要時間」は明確にしておきましょう。
「今日の議題は、この5つ。それぞれの所要時間はこう考えていますが、よろしいですか?」
「他に持ち込みの案件はないですか?」
これだけでOK。決めたアジェンダ、所要時間を厳守すべく、進行していきます。
それでも、議論が白熱し、まとまらない時も少なくないでしょう。
その時は、そこで打ち切り、会議終了後、関係者同志で決めてもらいます。最優先すべきはアジェンダなのです。
加えて、参加者の中から、必ずタイムキーパーを決めてください。延長を予防できます。さらにタイマーを「投影」もしくは「タブレット」で映せば完璧です。
参加人数は、7人以上に増やさない
会議は出来るだけスモールに!参加者が7名を超えてはいけない。1時間の会議でキチンと話し合うなら、4~5人が適正だ。
Keep the meeting as small as possible. No more than seven people.
Four or five people is the only way to make sure everyone has the chance to talk in a 60-minute meeting.
「Harvard Business Review」より引用翻訳
これは、大手企業のコンサルティングやビジネスパーソンのトレーナーを務める大家、ポール・アクステル氏のノウハウを紹介した記事からの抜粋。人数が増えすぎると「議論の質」が下がることを意味するものです。
まず、何かを決める際は、7名までに抑えると決めておくといいでしょう。
実際、これより参加者が多いと、発言をしたくてもできない人が生まれたり、議論が不十分なままに会議が終わってしまったりすることも。会議の参加人数は絞って、参加しない関係者には、後で決まったことを伝えればいいのです。
また、普段から発言しない人は、呼ばないことも検討してもよいでしょう。
「会議で発言しない人はノーバリュー(価値がない)」、これがグローバルスタンダードです。
実は、本人の責任ばかりとは言えません。そもそも参加対象とする必要があるのかどうかを疑ったほうがよいでしょう。
でも、適正な対象者でありながら発言がないなら、発言をするよう促し、それでも改善されないなら、厳しいようですが、次回から会議へ招集しないかどうかも検討した方がよいでしょう。
結果的に、参加者の会議への意欲を高めることになります。
スマホ、タブレット、PCで内職する人へ
今、会議ではタブレットやPCを見ながら会議に参加するのが一般的。
でも、時にメールチェックや資料の閲覧などの内職をしている人もいます。集中力を欠いた状態で参加してもらっても困りますし、何より周囲に悪影響を与えます。
だからといって、「出ていけ」ではあまりに厳格すぎます。おすすめは、「内職できないくらいに、意見や質問を求めるようにする」ことがベスト。
内職する人の気持ちは「今は、内職しても問題ないかな」と計算してやっているもの。
「内職している場合ではないな」と思える会議にするようにすることが最善の抑止力になるでしょう。
会議の質を高めるためには、「内職をしている場合ではない」と思える会議でないといけないのです。
今回、紹介したノウハウを実践していただければ、集中力の高い会議になります。何より会議の効率化に必要なのは、参加者の「緊張感」なのです。
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Source: Harvard Business Review
Image: Shutterstock.com