中型犬サイズでシンプルなローバーです。
月面探査計画「HAKUTO-R」を推し進めている、日本の株式会社ispace。以前の記事にて、彼らはSpaceXのファルコン9ロケットでランダー(月着陸船)を運び、月面探査を行なうとご紹介したことがありました。
HAKUTO-Rとは
HAKUTO-Rはこの計画にはふたつの任務があります。ひとつは人工衛星のようなランダーを月周回軌道へ投入すること、そしてもうひとつはそれを月面着陸させ、探査車ローバーで採取したデータを地球に送る、というものです。
以前はCGによるイメージでしたが……その後、HAKUTO-Rの小型のローバーがどのように開発されているのか、Bloombergが女性技師に密着取材を行ない、進展具合がわかるようになっています。
動画に登場したのは、2017年に入社されたエンジニアの今村紅音さん。そしてスポンサーとなる企業のロゴが、いくつかプリントされたローバーです。
ムーンバレー計画
ispaceの目的は月にある水を見つけ、それを基に新しい経済圏「ムーンバレー」を作ることとの説明がありました。ローバーは月面の写真や動画、そしてマッピングデータを地球に送る役目を担います。
ispaceは、それらのデータを基に月面に植民地を作ろうと考えており、地球と定期便を飛ばし、現地で産業も行なおうと計画しているのです。その概要が、こちらの動画でご覧いただけます
JAXAでテスト
この映像では、試作機をJAXAに持ち込み、月に似せた環境で走行させ、検証しつつデータを取る様子が映りました。実際に走らせると直進しなかったり、微妙に車輪を空回りさせながら坂を登ったりと、いろいろ課題も見えたようでしたね。しかしロケットの打ち上げは決まっているので、けっこう時間との戦いのようです。是非とも間に合って欲しいところです。
宇宙開発は女性に優しい?
日本が抱える問題のひとつで、子供を持つ女性の働きにくさについても触れられていましたが、今村さんは機械工学を修了後、日系重工メーカーや、米系石油サービス企業に勤めました。そして出産を機に育休を取ったり時短勤務をしているうち、仕事に遅れを取っている、会社でもお荷物になっていると感じ、悩みに悩んで一時は専業主婦になることも考えたのだそうです。
ですがそんな紆余曲折を経て、現在ハッピーにお仕事をされているようです。それは外国人も多い、比較的新しいベンチャー企業だからなのかもしれません。今村さんのように頭脳も経験もやる気もある女性を家庭に押しやっていては、才能の機会損失になりかねませんよね。こういう人たちこそ、社会がバックアップして最前線に出るべきだと感じました。
後半、娘さんが友達と月面探査の話をしている姿に、未来の女性技師の姿が見えた気がしました。親の背中を見て子供が育つのも、親が働ける環境があってこそです。
ということで、2040年に月面都市建設を目指すispaceにとって、このロ-バーがその第一歩になるわけですね。
NASAもAmazonも月を目指している
NASAもまた、地球と月との間にある月周回軌道を往来する「月軌道プラットフォーム:ゲートウェイ」を作り、2024年にまた人間の、女性宇宙飛行士を月面に降り立たせようと計画しています。そしてAmazonのジェフ・ベゾスもまた、宇宙基地の建造を計画して地球の製造業を月面で行うことを画策していますよね。
どんなに遅くとも、頓挫さえしなければ私たちが生きている間に月面開発がかなりのところまで進みそうな流れがあります。昔の人たちが思い描いた未来到達まで、あと少し! です。
Source: YouTube (1, 2, 3) via Fresh Gadgets, HAKUTO-R, ispace