実写版「リトル・マーメイド」に黒人歌手を起用。Twitterでは賛否の声

    ディズニーが、企画中の実写版映画「リトル・マーメイド」で、主演のアリエル役に、歌手・女優のハリー・ベイリーを起用することを発表。Twitterでは賛否の声が上がっている。

    ディズニーは7月4日、企画中の実写版映画「リトル・マーメイド」で、主演のアリエル役に、歌手・女優のハリー・ベイリーを起用することを発表した

    CBSによると、ディズニーが、オリジナルの作品では白人として描かれているキャラクターに、劇場版の実写映画で有色人種の俳優をキャスティングするのは、今作が初めて。

    19歳の新アリエル「夢が叶った」

    アリエル役に抜擢されたハリー・ベイリーは、アメリカ・ジョージア出身の19歳。姉のクロイ・ベイリーとともにビヨンセが運営する事務所に所属し、R&Bデュエット「Chloe x Halle」として音楽活動をしている。

    2019年のグラミー賞新人賞にもノミネートされ、注目を集めているアーティストだ。

    ロブ・マーシャル監督は「広く探し求めた結果、ハリーは、多くの人に愛されるこの象徴的な役を演じるために必要な信念、心、若さ、純粋さ、誠実さ、そして素晴らしい歌声を兼ね備えている人物だということは明らかでした」とコメント。

    ハリーもTwitterに、自分と同じ褐色の肌、黒髪、黒い瞳のアリエルのイラストとともに「夢が叶った…」と投稿し、喜びを表明した。

    Twitterでは賛否

    白人風のキャラクターを中心に描いた物語が多く、多様性に欠けると指摘されてきたディズニーが、黒人女性を主演に起用したことを受け、Twitterでは称賛の声が上がった。

    「ハリー・ベイリーのアリエル最高!」

    I am /here/ for Halle Bailey as #Ariel #TheLittleMermaid

    「ドレッドヘアで黒人の10代女性がディズニープリンセスを演じるなんて、本当に夢みたい。彼女の姿をスクリーンで見ることが、あらゆる世代の黒人の女の子たちにとって、どれほど意味があるか想像してみて」

    Halle Bailey, a Black teens who wears locs, being cast as a Disney princess is what dreams are made of. Imagine what just seeing her onscreen will do for this generation of Black girls.

    「この重要性がわからない人も多いかもしれないけど、これからは黒人の女の子たちが自分たちと同じ黒人のアリエルを見て育つことができるんだよ。それって本当にすごいこと」

    ariel being played by halle bailey makes me so emotional some really dont understand the importance of representation [especially when things are so predominately whitewashed] all the young black girls are going to grow up watching an enchanted black little mermaid thats so major

    一方で、オリジナルの作品では、明るい肌、赤毛、青い瞳で描かれているアリエルに、アフリカ系アメリカ人の女性がキャスティングされたことに対して、否定的な意見も少なくなかった。

    「間違ってたら訂正してほしいんだけど、アリエルって…白人だよね?」

    @chloexhalle Correct me if im wrong, but isnt ariel... like white?

    「本当にやめて~~~!リトル・マーメイドは白人で、目が青くて、赤毛なの。ディズニーの作品を台無しにするのはやめて」

    @chloexhalle PLEASE NOOO! The little mermaid Is a white, blue eyes, redhead. Stop ruinning Disney Classics. I have not doubts that you are an amazing and beautiful actrice, but a live version should be as the original movie was... 😔

    「リトル・マーメイドを見て育った私たち白人の女の子たちは、本物に忠実なアリエルを見せてもらえるべきだった。ディズニーの決断は間違ってる」

    Us white girls, who grew up with The Little Mermaid, deserved a true-to-color Ariel. Disney, you made a huge mistake by hiring Halle Bailey. This is going in the TRASH.

    「私は若い黒人女性ですが、ハリー・ベイリーの起用には反対。あの役は赤毛の白人の女性が演じるように作られていた。それだけのこと」

    i’m a young black woman but i still have to disagree with halle bailey being cast as ariel im #TheLittleMermaid . the role was originally intended to be played by a white woman with red hair. that’s just how it was meant to be. periodt.

    フィクションで「多様性」が体現される重要性

    黒人俳優のキャスティングをめぐっては、1997年にテレビ放送された「シンデレラ」で、黒人シンガーソングライターのブランディが主演に起用され、大きな注目を集めた。

    一方、主演にアフリカ系アメリカ人の子役を起用し、ウィル・スミスなども出演した映画「ANNIE/アニー」(2014年)では、1982年に公開された原作を愛する多くのファンから不満の声が上がった。

    多くの人が楽しむテレビや映画などにおいて、様々なバックグラウンド、属性を持った人物が登場し、実社会に存在する「多様性」が体現されているかどうかは、常に注目の的となっている。

    特に、ディズニー作品のように幼い頃から慣れ親しみ、世代を超えて愛される作品に「自分と同じ属性を持ったキャラクター登場している様子を見ること」は、自分が社会の重要な一員であることを実感するために必要なことだと考えられている。

    メキシコ文化を描き、アカデミー賞2冠に輝いたディズニー/ピクサー映画『リメンバー・ミー』で共同監督を務めたリー・アンクリッチは、フィクションの中で多様性が体現される重要性について、こう語っている

    「「私たちは『リメンバー・ミー』で、すべての子どもたちが、自分と同じ姿で、同じ言葉を話し、同じ暮らしをしているキャラクターが登場する作品を見て育つことができる社会に向かって、一歩前進しようと試みました」

    「なぜなら、社会の片隅にいる人たちもみな、ここに居場所があると感じる価値があるからです。だから、彼らが物語の中で体現されることは、とても大事なことなんです」