変に奇をてらうから、市民に歓迎されない音が作られるんです。
EUでは電気自動車(EV)の安全のため、合成された走行音を鳴らすことを猛烈に推し進めてます。しかしそのうちいくつかは間の抜けた音もあって、イギリス内では意見が割れているのだとか。
電気自動車はすべて音を流しながら走るように
BBCによると、今後EU内で製造される新しいEVには、偽の走行音を鳴らせる音響車両警報システム(AVAS)の搭載が義務付けられるそうです。そしてその規制では、古いエコカーもすべて、2021年までにAVASを搭載しなくてはならない...とのこと。
AVASは、クルマが時速11マイル(約18km/h)以下で走るとき、またはバックするときには、エンジンっぽいサウンドを出さないといけません。なぜならそれらの状況が一番、歩行者に近付いている時だからです。
さらに、サウンドは車がどのような行動をしているかを歩行者に対して伝え、エンジンに似た音を出すべき、という文言もあります。
盲導犬協会は歓迎
イギリスの慈善事業団体である盲導犬協会は、AVASを採用するためのキャンペーンを何年も続けてきました。彼らはこの規制を歓迎しているものの、EVはいかなる速度においても音を出し続けるべきだと話している、とBBCが伝えています。
クルマから流れる音はこんな音
以下は従来のエンジン音を、音楽的なタイプにアレンジした例です。
New regulations will require all new electric vehicles to feature a warning noise to alert pedestrians and cyclists.
— BBC Radio 5 Live (@bbc5live) June 30, 2019
🎧listen to the warning noise below⬇️ pic.twitter.com/EO6JPK0QUg
またTHE VERGEでは、2017年に日産が電気自動車用のサウンド「カント(canto)」を発表したことを取り挙げています。
ロンドン市が作らせたバス音が不評
ロンドンでは、すでに市内のEVバスの合成エンジン音を統一することに取り組んでおり、テック企業のAECOM社に、EVが自転車や歩行者らに発する警告音を開発するよう依頼しています。
月曜日のThe Guardianの記事では、ロンドンのEVバスが新しい走行音を実装し始めるのは今秋からになるものの、その音はすでに批判されているそうな。
聞いた人の感想
またThe Guardianでは、盲導犬協会の代表ジョン・ウェルズマン氏が、先月ロンドンで行われたイベントにてAECOMがデザインした走行音を聞いた、ともあります。その感想がこちら。
合成エンジン音は、パイプで泡を吹いているような音でした。あれでは効果ないですね。あと、車両の速度に応じて急速に増減する、メールの通知音のようななビープ音もありました。あれはとてもイライラさせられるものでしたね
そのプレゼンにて、交通機関は6種類の音源を鳴らしたそうです。ウェルズマン氏いわく、それらは「どれもがすごく宇宙船っぽかった」そうなので、代わりにロンドンで有名な2階建てバス「ルートマスター」の録音を使ったらどうか? と提案したのだそうです。
視覚障害者である私は、1マイル離れた先を走る、旧ルートマスターが何処にいるか判断することができます。なぜならそれらはとても特徴的だったから。ですが、それは彼らが提案していることはないのです
英国王立盲人協会の政策・キャンペーン担当者のゾーイ・コートニーさんは、The Guardianに対して、「その音がどんなものであろうと、それが国全体に採用され、弱視や全盲の人たちが、それが何であれ音の意味を理解できるようにして欲しい」と語りました。
たくさんの種類の奇妙な音が、たくさんの別々の企業によって作られる危険性があるので、何が自動車で何がそれ以外なのか、街中で理解するのがとてつもなく大変なんです
おそらくこれからイギリスの道路は、これまで以上にメロディアスになるでしょう。願わくば、視覚障害であろうとなかろうと、歩行者たちには珍妙な音源にとって意味を持って欲しいものです。
そういえば、イギリスの高級車であるジャガー初のEVもまた、エンジンを唸らすとSFっぽいワープ音が鳴り響くようになっていましたよね。 全体的にそういう流れなのでしょうか? イギリス伝統のSFドラマ『ドクター・フー』の影響とか?
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