次々と目の前に現れる仕事に追われ、息つく暇もない毎日を過ごしていらっしゃる方は決して少なくないはず。

そこでご紹介したいのが、『時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』(ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー 著、櫻井祐子 訳、ダイヤモンド社)です。

『時間術大全』(原題:MAKE TIME)は、クレイジーなまでの忙しさをペースダウンする方法、大事なことのために時間をつくる方法に関する本だ。

いまほど忙しい思いをせず、気を散らされずに、いまこの瞬間をもっと味わうことはできると、僕らは信じている。能天気だと思われるかもしれないが、僕らは大まじめだ。(「INTRODUCTION これが『時間オタク』の全技術だ」より)

Googleで「スプリント(デザインスプリント)」を生み出し、Gmailの改良に貢献してきたジェイク・ナップ、そしてYouTube、Googleなどで、デザイナーとして「時間」を再設計するミッションに没頭してきたジョン・ゼラツキーによる共著。

つまり本書は、両者の経験が軸になっているわけです。

数年前、僕らは時間という目に見えないものを「デザイン」できることに気がついた。

でもその気づきをテクノロジーや事業機会として開拓するより先に、僕らの人生のいちばん意味のあるプロジェクトやいちばん大事な人たちとの時間にあてはめることにした。(「INTRODUCTION これが『時間オタク』の全技術だ」より)

時間をデザインしてしまえば、多忙な毎日を改善できるという考え方。きょうはそのなかから、「レーザー戦術」に注目したいと思います。

「レーザー」とは、精神状態を表したもの。レーザーモードの状態にある人は、レーザー光線が標的に照射されるように、「いまこの瞬間」に注意が向いているものだというのです。フローの状態に入り、いまこの瞬間に集中して没頭できるということ。

そんな状態になるための策のなかから、スマホに焦点を当てた「スマホの『主』になれ」を見てみることにしましょう。

「気が散らないiPhone」を試す

著者が時間と注意を取り戻すために実行した戦術のなかで、いちばん単純かつ強力なものは、スマホからメールなどの無限の泉(※)アプリを削除することだそうです。

(※:コンテンツが絶えず補充されるため、時間を奪うことになる要因)

事実、彼らは2012年から「気が散らないiPhone(無限の泉を取り除いたiPhone)」を使っているものの、アプリのない日々を耐えしのぐのではなく、よい仕事をし、毎日を満喫しているのだとか。

つまり無限の泉を全部取り除いても、スマホが魔法のデバイスであることに変わりはないというわけです。(122ページより)

「気が散らないiPhone」のつくりかた

1:「ソーシャル系アプリ」を削除する

著者はまず最初に、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターなどを削除することを勧めています。

日常的にSNSを使用している人にとっては勇気のいることですが、あとで気が変わったら簡単に再インストールできるわけですから、それほどの大ごとではないと考えるべきなのかもしれません。

2:「その他の無限の泉アプリ」を削除する

ゲーム、ニュースアプリ、YouTubeのようなストリーミング動画アプリなど、おもしろいコンテンツを無限に供給してくるアプリをすべて削除。

つい更新してしまったり、知らないうちに時間を無駄にしているアプリを消してしまおうということ。

3:「メールアカウント」を削除する

メールは魅力的な無限の泉であり、多忙中毒の脈動する心臓部。外出中にスマホできちんとした返事を書くのは大変なので、気苦労の種にもなります。

しかも遅れを取らない用にスマホでメールをチェックしているのに、遅れをとっていることを確認するだけで終わっていたりもするものです。

でもスマホからメール機能を取り除けば、かなりのストレスも一緒に取り除けることに。

メールアカウントはたいていデバイスに深く組み込まれているので、メール機能を無効にするだけでなく、スマホの設定からメールアカウントも削除すべきだといいます。

「本当にメールアカウントを削除していいですか?」など、脅すような警告が表示されてもひるむべからず。

気が変わったときのために、必要なアカウント情報を記録しておけばいいわけです。

4:「ウェブブラウザ」を無効にする

最後に、気を散らすものの万能選手であるウェブブラウザも無効にすること。

そのためには、設定に分け入って機能をオフ(機能制限)にする必要があるそうです。

5:「それ以外のすべて」を残す

無限の泉以外のアプリには、いいものがたくさんあります。

マップのアプリや音楽ストリーミングアプリなど、人を注意散漫の渦に引き込まず、生活を間違いなく便利にしてくれるものがそれ。

つまりはツールアプリと、使いたくてうずうずしないアプリは残しておくということです。(124ページより)

24時間、トライしてみる

「気が散らないiPhone」は一生使い続けることを誓う必要はなく、実験として試すことも可能。そのため著者は、「24時間、1週間、1か月でいいからやってみよう」と提案しています。

メールやブラウザがどうしても必要になるときもあるでしょう。そういう状況になったら、その用事に必要なアプリを一時的に有効にすればOK。

そして用事が終わったら、その機能を「オフ」にすればいいだけ。肝心なのは、スマホに使われるのではなく、主体的に使うことだという考え方です。

気が散らないiPhoneを、あなたもきっと気にいると思う。始めたばかりの読者もこう言っている。

「機能を減らしたスマホを1週間使っているが、最高の気分だ。もっと不便かと思っていたが、そうでもなかった」(127ページより)

気が散らないiPhoneのなにより大きな見返りは、主体性を取り戻せることだと著者は言います。

デフォルトをコントロールしてしまえば、スマホを自分のしもべにすることが可能で、本来はそうあるべきだということです。(126ページより)


たとえばこのように、ユニークで斬新なアイデア満載。

ピンときたものを試してみるだけでも、時間を有効に活用できるようになるはずです。

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Photo: 印南敦史

Source: ダイヤモンド社