座りっぱなしは心臓に悪い? いや、悪いのは座ってアレを見ることかもしれない

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座りっぱなしは心臓に悪い? いや、悪いのは座ってアレを見ることかもしれない
Image: Shutterstock

見ちゃうよね。

長時間座っているのは体に悪い! 心臓に悪い! 早死にする! と昨今よく言われ、スタンティングデスクやら、一定時間経つと立って体を動かすよう通知してくれるアプリやらが市民権を得てきました。しかし、同じ「長時間座る」という動作でも、何をするために座っているのかによって、どうやらその悪影響ぶりが異なるとかなんとか。

アメリカ心臓協会ジャーナルに、先日掲載された論文は、コロンビア大学医療センターで助教授を務める運動生理学者のKeith Diaz氏が率いるチームが発表したもの。同じ座るでも何がより悪いのかという点だけでなく、長時間座りっぱなしによる健康リスクに関する論文の多くが、主に白人を対象に調査されている中、人種によってそれは異なるのか?という視点から黒人にフォーカスして調査した珍しい内容になっています。

テレビ視聴時間と心臓関連の病気の関係

Diaz氏いわく、黒人は白人と比べ心臓病で死に至るリスクが30%高い。今回、解析されたデータに使われたのはJackson Heart Studyと呼ばれるプロジェクト。ミズーリ州ジャクソン地区周辺の中年住人5000人を2000年から長期で記録しているデータで、黒人の心血管ヘルスに関しては米国最大規模のプロジェクトです。3500人の被験者から、日々のテレビ視聴時間と就業中座っている時間を聞き取りし、8年にわたって健康状況を追跡調査。その結果、1日4時間以上テレビを見る人は、テレビ視聴時間2時間未満の人に比べて心臓関連での死亡リスクが50%も大きいことがわかりました。調査期間中、テレビ時間が短い人たちの中で心臓関連の病気にかかった、またはそれで亡くなった人たちが7.5%だったのに対し、視聴時間の長い人たちは13%。絶対的なリスクとは言えないまでも、なかなかの数字差です。この研究で興味深いポイントとなったのは、同じ座るという動作でも就業時間での座る時間の差は、心臓簿湯リスク、または死亡のパーセンンテージに大きく差がでなかったということ。

長時間座る労働=健康リスクではないとする論文は、Diaz氏のものが初ではありません。座ることと心臓の健康リスクは直接関係はないという意見もあります。では、今回の調査結果をDiaz氏はどう考えているのでしょうか? 仕事で座っているのと、テレビ見るために座っているのは何が違うのでしょう?

Diaz氏いわく「職場では、コピーとったり印刷したり、同僚のデスクまで話をしに行ったりと、細々と立ち上がることが多々あります。我々は、これをアクティビティスナックと呼んでいますが、この細々した動きのおかげで座ることで生まれるリスクが軽減されている可能性があります。一方で、テレビを見ているときは、長い時間動かずに座りっぱなしですよね」また、テレビを見ている時にありがちな行動も関係しているのではとDiaz氏は指摘。ありがちな行動=おやつですね。食事しながら、スナック菓子食べながら長時間座っていることがさらにリスク増につながっているというのです。白人よりも黒人の方が平均テレビ視聴時間が長いというのも、この論文をサポートするデータの1つ。

一方で、論文ではテレビ視聴時間が長くとも、一定の運動でそのネガティブさを打ち消すことができるとも指摘しています。テレビをよく見ていても、週の運動時間が150分以上あれば、心臓に関する健康リスクが高まることはないのだとか。

米Gizmodoのメール取材で、Diaz氏はこう締めています。「テレビを見るなと言っているのではありません。晩ご飯食べてテレビを見るのではなく、食事の後、夜の散歩にでかけてからテレビを見るなど、適度な生活が好ましいと考えているのです」

Source: Journal of American Heart Association