今日でAmazon誕生25年。デビュー当時はみんなこう言っていた…

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今日でAmazon誕生25年。デビュー当時はみんなこう言っていた…
Image: David Ryder/Gettyimages

潰れる潰れると言われ続けたAmazon(アマゾン)も今日でやっと25歳!

1994年7月5日創業で1995年にネットで公開になった当時は「オンライン書店」でした。まさかここまで生き残って栄えるとは、誰が思ったでしょう。

今の人から見たら恐竜タコスタンド猫舐めブラシまで売りまくる巨大勢力になった今の姿からは昔のほうが想像つかないと思うので、デビュー当時の記事を少しサンプリングしてみますね!

1995年11月デビュー当時の紹介記事

まず早初期の記事ですけど、通信社ナイト・リッダーは1995年、「Amazonというネットストアができた。買えない本はない」と全米各紙に伝えています。

巨大な本屋ができた。といってもシアトル中どこを探してもない。本棚を見て買いたいときには、インターネット接続が必要だ。

いやあ、「インターネットが必要だ」という文章に時代を感じますね。そう。当時は接続が従量制とかで、「インターネット」と聞くだけで「自分には関係ない話だな」と思う人も多かったんです。このネット黎明期、Amazonは100万タイトル超からのスタートでした。

今読むと「???」となるところ

・本はクレカで買えるけど、抵抗のある人は電話で教えてもいいし、FAXしてもいい。

・送料3ドル+1冊95セントの手数料がかかる(今はPrime会員は一定額以上無料)。

一般のリアクション

”情報スーパーハイウェイ”に出現した書店に対する一般の反応は、なんだかよくわからないけど「本が死ぬほどある」というものでした。1995年10月22日、フロリダの地方紙Tallahassee Democratはこう紹介しています。

試しにジョン・スタインベック幻の小説『The Sea of Cortez』を検索してみたら、Amazon.comの検索機能によって、ものの数秒で在庫ありと表示された。

『The Sea of Cortez』は『怒りの葡萄』が売れまくって発禁騒動になり、うんざりしたスタインベックが活動を一時休止して友だちと海の生き物を調べていたときの記録を、友だちの死後、追悼出版した本。売れることをまったく想定していない超マイナー本ですよ。「こんなものまであるのか!」という新鮮な驚きが伝わってきますね。

当時はそれだけマイナー本探しが大変でした。ない本は書店で取り寄せなきゃならなくて、そこで絶版と言われたらどん詰まり。だけどAmazon.comは絶版でも中古のリサイクルで買えます。本好きな自分的にはそこが一番の感動ポイントだったかも。

ジェフ・ベゾスは「若き天才プログラマー」と書かれていた

Wall Street Journalは1996年5月16日の記事でウォール街の「若き天才プログラマー」ジェフ・ベゾスがオンラインストアを立ち上げた、と紹介しています。利用者からのコメントも好意的。

ベゾス氏によると、リピ客からの発注が全体の6割を占めるという。カリフォルニア州コスタメサの大学勤務Don K. Pierstorff教授(60)もそのひとりで、「これまで行った書店でAmazonが一番」と語る。教授が買った書籍はここ数か月で12冊におよぶ。

大学の教科書購入でAmazonを初めて使った人も結構な数いると思います。

ベゾスは「既存の書店は潰れない」と怪しいまでに繰り返していた

一方、風当たりが強かったのが書店からの反応です。そこでベゾス氏は不安をなだめるように、機会を捉えては、「ブリック・アンド・モルタルの書店が倒産することはない」と繰り返し言っていました。1996年9月のChristian Science Monitorにも「われわれは競合では決してない」と言っています。

「人は外に出たがる生き物だということを忘れてはならない。自分も書店にはよく行くし、それはこれからもやめない。店で本だって買う。手で触れるのはやっぱりいい」

まさかその手で街中の書店を消し去ってしまう(アメリカは本当にそう)ことになろうとは思っていなかったんでしょうか。それともどう取り繕っても未来は一本道、ならば自分は全力で取り繕うという心境だったのか…。

1997年IPO。ネガキャンもローンチ

Amazonが株式上場を果たしたのが1997年5月15日。しばらく潰れないことが明らかになると、懐疑派からは悪口が堰を切ったかのように出はじめました。フォレスターリサーチのGeorge Colony記者は「Amazon.toast(アマゾン破滅)」と見出しを打っているし、1999年に株価が急落したときにはWall Street Journalも「Amazon.bomb(アマゾンクラッシュ)」と書き立てているし。

1997年1月5日付けの記事でSlateは「Amazon.Con(アマゾン詐欺)」と書いてます。「詐欺」はきついなーと思って署名を見たらJonathan Chait記者とStephen Glass記者ではないですか…! 「イラク侵攻支持はリベラルの総意」だと言っていたトンデモ記者がChait記者で、Glass記者は史上最悪の虚報記者です。あまりのひどさに、2003年には「Shattered Glass(割れたガラス)」という氏の名前をもじったタイトルで映画化もされています。

このふたりがどうAmazonを紹介しているのかと言いますと…

Amazonがシアトル市内に所有する「メガ倉庫」には本が200タイトルぐらいしかない。在庫がないものは受注してから仲買いや出版社から仕入れるから、やっていることは書店と一緒だ。書店は200タイトル以上あるからまだましだ。「地球最大の書店」と自称するのはやめて、「地球最小の書店」と呼ぶべき。

ひょえ~。さらに、購入プロセスにもあれこれ注文をつけています。

欲しい本をクリックして「ショッピングカート」に入れて決済に進むと、「セキュアなNetscapeサーバー」によってクレジットカード情報が暗号化される。それが終わると、「ご注文は簡単です」と表示されるが、とんでもない。回りくどい文章の終わりのところでこうAmazon自身、白状しているのだ。「簡単に使えるように努力しましたが、初めての人にはかなりややこしいと思います」。本当にその通りで、Amazonを使おうと思ったら画面が次から次へと現れて、やれ送料だの、返金規定だの、在庫の免責事項だの、料金だのと続く。やっと終わったと思ったら、Amazon倉庫発送後3~7日かかるという。「翌日エア便」を選んでも次の日には届かないのである。


Amazonにアクセスしてから本を買い終えるまでにかかったオンラインの時間は37分12秒。慣れたら縮むだろうけど。

不満分子はどの世にも…。

最後に笑う者

これだけ叩かれたベゾスですけど、今の資産価値は1550億ドル(約16兆7110億円)で、ビル・ゲイツを超える世界No.1のビリオネア。Amazonは米国の印刷書籍市場の42%、デジタル書籍市場の88.9%、オンライン小売市場の半分、オンラインとオフラインを含めた小売市場の7.7%を支配しています(最新のデータより)。2017年にはWhole Foodsを買収し米国内第5位のスーパーとなり、Amazon Web Servicesもクラウド市場の40%を支配中。

ただの書店だと思ってる人は、もう誰もいません。

さよならGAFAM:Amazonやめてみる→ムリでした

ホントにムリだこれ。GAFAM(ガファム)ってご存知ですか? G: Google、A: Apple、F: Facebook、A: Amazon、M...

https://www.gizmodo.jp/2019/01/i-tried-to-block-amazon-from-my-life-it-was-impossible.html