Oculus Questレビュー:これはVRにとってのWii Fitです

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  • author 武者良太
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Oculus Questレビュー:これはVRにとってのWii Fitです

公園ランニングもジム通いもいいけど、Oculus Questダイエットもね!

VR(ヴァーチャル・リアリティ)は興味あるけど敷居が高そう。そんなイメージを抱いている方も多いと思うんです。たしかに、PlayStation VR(PS VR)などはPS4と接続するためのケーブルがジャマ。VR好きが待ち望んでいたHTC Viveのワイヤレス化は、無線設備規則に反するので日本では認可できなくて無念。

お手軽な、それでも本格的なワイヤレスVRゴーグルってないのかな、という数多の人々の願いを叶えるかのごとくキラりと登場したのが「Oculus Quest」です。

いやいや、2018年にもOculus Goがリリースされたじゃないのさ。今度のOculus Questは何が違うの?

QuestはVRをイスから開放した

強引にたとえてしまえば、Oculus Goはプレステです。イスに座ってコントローラをもって、ジョイスティックやボタンでキャラクターを操作する、ザ・据え置きゲーム機。空間内の移動は基本的に手にしたコントローラに任せるしかありません。

でもOculus Questは、Wiiなんです。イスから立ち上がり、地面を踏みしめ、コントローラを振ったりバランスボードに乗ったりと、身体を動かして遊べるヤツなんです。

さらにいうと、リアルに歩けるんです。

だだっ広いコートでOculus Questをプレイするレポート。すごく楽しそうですけど、ゴーグルを脱ぐときレンズに太陽光がモロに入ると、有機ELパネルがダメージをうけてしまいます。良い子は真似しちゃダメ!

広いスペースをまるごと使って、歩いて走ってのプレイも可能なんです。

vr_motion_tracking_3dof
3DoFの図解。X/Y/Zの3軸の「回転」を認識できるので、自由度3つです。
Image: いらすとや

具体的には、Oculus Goは前後の傾き、左右のパン、左右の傾きを認識してくれる3DoF(Degree of Freedom=自由度)型。自分を取り巻く世界を、自分のいる位置・高さから自由に見渡すことができます。

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X/Y/Z軸の「移動」も加わり、自由度が6つになったのが6DoF。
Image: いらすとや

Oculus Questはさらに上下の動き、左右の動き、前後の動きも認識する6DoF型。しゃがんでローアングル、ジャンプしてハイアングルな視点でVR世界を見ることができますし、実際に歩いて移動することも可能です。

YouTubeなどのVRコンテンツ、360度全周囲動画などを見るためのビューワーとして使うならOculus GoでもOKですが、それはVR世界に頭だけ突っ込んだ状態です。よりハマれる最新のコンテンツに触れたいなら、全身でVR空間に入れるOculus Questがグーだし、これからのVRギアのスタンダードになるでしょうね。

VR空間内のブツを握れるTouchコントローラ

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コントローラが1つだけだったGoとは異なり、QuestはRift Sと同様に2機のTouchコントローラが付属。コレを両手で持って操作します。
Photo: 武者良太

Oculus GoよりOculus QuestのほうがVRマシンとして新世紀ってる。そのもうひとつの理由にTouchコントローラの存在があります。

人差し指のトリガー、中指のボタン、親指で操作するジョイスティック&ボタンの数々で、VR空間内にあるオブジェクトをつかんだり、振ったり、投げたりが自由自在。プリインストールされているチュートリアルアプリ「First Steps」では、右手に卓球のラケット、左手にボールを持ち、ボールを高く放り投げて落ちてきたところをラケットで打つことが体験できます。

いわばPlayStation Moveモーションコントローラーを一歩進めたスタイルです。コントローラを認識するための外部センサーなしで両手・両腕の動きをVR空間内に投影できる仕組みに、僕らが立っている地平がゲーム機進化論まっただなかにあることを感じさせます。

文字で書くと「そんなんもうあるでしょ」と感じるかもしれません。でも、この一連の所作をワイヤレス機でできるようになったのはかーなーりスゴいこと。だって、今までのOculus QuestクラスのVR体験って、太っといケーブルがあって動いているうちに絡まるか、重いPCを背負わないとダメで、一人ではセッティングするのも面倒なシステムだけだったんだから。

GoogleのDaydreamやOculus Goのような、ゴーグル+コントローラーだけのお手軽さで、ミドルレンジのVRコンテンツが場所を選ばずお手軽に楽しめるようになった。これは立派なイノベーションです。

カメラを通してリアルワールドも歩ける

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Photo: 武者良太

ゴーグル前面のカドに4つのボタンみたいなものがあります。これ、実はカメラレンズなの。このカメラで周囲の景色を、ゴーグル内で映し出せるようになっています。

主に設定時のみ使う機能ですが、視界に入る実世界はモノクロかつ低解像でノイズまみれ。リアルワールドのはずなのにグリッチだらけ。Lo-Fiさでいっぱいですが、これがまたワクワクするポイントなんですね。実世界が壊れてからのhello, VR worldが。

本来VRゴーグルは仮想世界しか見えなくなるモノでした。そこにMicrosoft HoloLensのようなMRゴーグルのメリットをもたせたのは高評価ポイント。だって装着したまま歩けるんだもの。

VR空間内を"歩く"には2m×2m以上のスペースが必要

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Photo: 武者良太

前後左右に歩いて移動することでVR空間内でも歩いて移動できるOculus Quest。これ、VR PARK TOKYOやVR ZONE SHINJUKUといったVRゲームセンターでしか体験できなかったようなゲームがプレイできるってことで、そりゃもう大騒ぎです。

Oculus Questオーナーの友だちで1つの部屋に集まって、VR剣戟アクションゲーム 『ソード・オブ・ガルガンチュア』の3人プレイ+オンライン1人参加で4人同時プレイを試してみたのですが、お互いに声をかけあって強い敵を取り囲んで戦うなど、これマジVRモンハン。もうちょっと進化したら、『ソードアート・オンライン』そっくりな全没入型のゲームもできちゃうんだろうなと、期待度も右肩上がりすぎ。

とはいえ、こういったゲームをプレイするには、障害物のない2m×2m以上のプレイエリアスペースが必要です。

Quest自体の設定はカンタン。床を掃除してからOculus Questを装着して、Touchコントローラでプレイエリアの境界線を描くだけ。境界線近くまで移動すると眼前にメッシュ状の壁(ガーディアン)が見えてくるから、気をつけていればエリア外に出る危険性はまずありません。

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Photo: 武者良太

家の中だと2m×2mのスペースが取れない場合、屋外で使いたくなるかも。しかしOculus QuestとTouchコントローラは赤外線で通信しているようで、晴天下だとコントローラがマトモには動かなくなりました。曇り空の日は比較的動きの取りこぼしが少なかったので遊べるかも?

Oculus Questダイエット、流行るんじゃないかな

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Oculus Quest一式。他にも2mくらいの長いUSB Type-C充電ケーブル、15W(5V×3A)のUSB Type-C ACアダプタ、Touch用単3乾電池2本、メガネスペーサーが付属します。
Photo: 武者良太

指先の反射神経だけではなく、上半身のフィジカルな動きも重要になってくるOculus Questには、ライトセイバーを振り回してオブジェクトを切り裂くリズムゲームの『Beat Saber』や、リアルボクシングゲーム『Creed: Rise to Glory』など、思う存分汗をかけるゲームがいっぱいそろっていてステキー!

今までにもPS VRなどでリリースされていたゲームたちですが、ワイヤレス&オールインワンでプレイスポットを選ばない自由度の高さが、別のゲームじゃないかって思える要因になるくらいに快適で汗かいてまた気持ちよくて!

どこにでも持ち運べて、(天候状態などの条件はありにしろ)どこでもプレイできるVRギア。しかもフィットネス効果のあるタイトルが多い。ときたら、これ、Wii Fitの代わりになりますよ。モバイルWii Fit、いやOculus Fitって言ってもいいんじゃないだろか。

とりあえず最近運動不足だなあと思っている方は、悪いこといいません。これは、買い!

...と前のめりに褒め称えてしまいましたが、ちょい気になるところもある。本体が重いんです。だからバンドをしっかりと締め上げないと、勢いよくアタマを振ったときに外れそうになっちゃう。ここ、要注意点です。

Source: Oculus

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