• リモートワーカーは、家庭を犠牲にし、長時間働いてでも、上司に献身的であることを証明しようとすることがカリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究で明らかになった。
  • リモートワーカーは「常にオン」の状態にあり、同じプロジェクトに参加するためだけに社内にいる従業員に比べると、より奇妙な時間にミーティングに出席する。
  • この研究は、増加しつつあるアメリカのリモートワーカーに関係している。

リモートワークとは、家から出る必要はなく、きちんとした服装をする必要もないことのように思える。

しかし、現実には、多くのリモートワーカーは、社内で働く従業員と同じ給料と昇進を獲得するためによりハードに働いていることが分かった。

Organizational Science誌に掲載されたカリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の2人の研究者による研究論文は、オフィスに「物理的に」出勤する従業員の方がリモートワークをしている従業員よりも献身的、生産的、そしてハードに働くと見なされていることを明らかにした。

この調査によると、すべての従業員にとって、ハードに働くことと貢献度がより良い評価とより早い昇進につながっている。

リモートワーカーは自分たちも献身的であることを示すために、「常にオン」であることを強いられており、また社内で働く同僚よりも奇妙な時間にミーティングに出席する。

すべて(社内にいる従業員と)同じ機会を得るためだ。

これは、極めて多くの人に影響を与えているトレンドだ。

アメリカでは勤務時間の半分以上を在宅で行っている従業員の数は、過去12年間で115%増となり、2005年の180万人から2017年には390万人になっている。

論文の共著者でUCSBの経営学、ポール・レオナルディ(Paul Leonardi)氏によると、これはリモートワーカーが特に、退職やオーバーワーク、燃え尽き症候群などのリスクにさらされていることを意味している。

「リモートワーカーは、昇進してキャリア上の目標を達成することができたとしても、その過程ですでに“倒れかけていて”、ワークライフバランスを犠牲にしているだろう。矛盾しているが、リモートワーカーはキャリア上の目標を達成した後でさえ、よくキャリアに対する不満を述べている」とレオナルディ氏はBusiness Insiderに語った。

これは以前に行った「対面する時間」についての調査結果を進展させたもので、ウォータークーラーの横や会議の場でこそ、上司との信頼関係を築くことができる。

レオナルディ氏と共著者のイオアナ・C・クリステア(Ioana C. Cristea)氏は、フォーチュン100社の2社、SunTechとAutoworksがリモートワーカーをどう受け止めているかを調査した。

その結果、リモートワーカーは勤務時間に大きなズレがあることに加えて、献身的であることを示すために家族を犠牲にしたり、時間外労働をする傾向があることを発見した。

リモートワーカーが上司との対面時間を増やすことに役立つツールがいくつかある。

ミーティング中にカメラをオンにしたり、メールにすばやく対応したり、ビデオ会議に積極的に参加することで、マネージャーに仕事へのコミットメントをアピールできるとレオナルディ氏は述べた。

同氏はまたマネージャーに、リモートワーカーとの勤務時間のズレを最小限に抑え、最大労働時間と休暇を守るようアドバイスしている。


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Image: Getty Images

[原文:More people are working from home than ever before, but a hidden drawback can keep them from getting promoted

BUSINESS INSIDER JAPANより転載(2019.06.29)